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早産児

執筆者:Arcangela Lattari Balest, MD, University of Pittsburgh, School of Medicine
レビュー/改訂 2024年 1月
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やさしくわかる病気事典

早産児とは、在胎37週未満で生まれた新生児のことです。生まれた時期によっては、早産児の臓器は発達が不十分な場合があり、子宮外で機能する準備がまだできていません。

本ページのリソース

  • 早産の既往、多胎妊娠(双子など)、妊娠中の栄養不良、定期的な出生前ケアの不足、感染症、生殖補助医療(体外受精など)の利用、高血圧などがある場合、早産のリスクが高くなります。

  • 臓器の発達が不十分な場合、早産児では呼吸したり哺乳したりすることが難しく、脳内出血、感染症や他の異常が起こりやすくなります。

  • 母親に子宮の収縮を鈍らせたり止めたりする薬を投与することで、早産を短期間遅らせることがときに可能です。

  • 非常に早い時期の早産が予想される場合、母親にコルチコステロイドを注射して胎児の肺の発達を促すとともに、脳内での出血(脳室内出血)の予防に役立てます。

  • 予定日より非常に早く生まれた、出生体重も非常に低い早産児では、発達障害などの異常がみられるリスクが極めて高くなります。

  • 一部の早産児は後遺症がある状態で成長しますが、大半で軽度の問題しかないか、長期的な問題は残りません。

新生児の一般的な問題の概要も参照のこと。)

在胎期間とは、妊娠週数のことを指します。在胎期間は、母親の最終月経開始日と分娩日の間の週数を数えて算出します。この期間は多くの場合、例えば妊娠期間に関してさらなる情報が得られる初期の超音波検査の結果など、医師が得るその他の情報に基づいて調整されます。在胎期間が40週間になる日が、出産予定日です。

新生児は在胎期間によって分類され、在胎37週未満で生まれた場合は早産児です。早産児はさらに以下のように分類されます。

  • 超早産児(extremely preterm):在胎28週未満で出生

  • 極早産児(very preterm):在胎28週以上、32週未満で出生

  • 中等度早産児(moderate preterm):在胎32週以上、34週未満で出生

  • 後期早産児(late preterm):在胎34週以上、37週未満で出生

米国では、乳児の約10人に1人が正期産の時期より前に生まれます。未熟性が高いほど、重篤かつ生命を脅かすような合併症のリスクも高くなります。

超早産での出生は、新生児の死亡原因の中で最も多くみられるものです。極早産児として生まれた新生児では、長期的な問題を抱えるリスクが上昇し、特に発達の遅れ脳性麻痺学習症がみられます。とはいえ、早産児の大半は長期的な問題を抱えることなく成長します。

早産の危険因子

早産の原因はしばしば不明です。早産には多くの危険因子が知られていますが、早産の大半で原因を特定できません。

過去の妊娠に関連する危険因子:

現在の妊娠に関連する危険因子:

母体の健康または既往歴に関連する危険因子:

早産児の症状

早産児の体重は通常約2500グラム未満で、500グラムほどの児もいます。症状は様々な臓器が、どの程度未熟であるかによって異なります。

超早産児は、自分の力で臓器を良好に機能させることができるようになるまでの、新生児集中治療室(NICU)への入院期間を長く必要とする傾向にあります。

後期早産児では、成熟するのに時間を要する器官系は、あるとしても少数です。後期早産児は体温と血糖をうまく調整することができ、乳をよく飲み、体重が増えるようになるまで入院することがあります。

すべての早産児において、免疫系も発達が不十分であるため、感染症にかかりやすくなります。

早産児の身体的特徴

  • 体が小さい

  • 体に比べて頭が大きい

  • 皮下脂肪が少ない

  • 皮膚が薄く、光沢があり、ピンク色

  • 皮膚の下に静脈が見える

  • 足の裏のしわが少ない

  • 頭髪が少ない

  • 耳が柔らかく、軟骨が少ない

  • 胸部組織の発達が不十分である

  • 男児:陰嚢のしわが少なく小さい、非常に早く生まれた新生児では精巣が降下していないことがある

  • 女児:大陰唇がまだ小陰唇を覆っていない

  • 間隔の短い速い呼吸(周期性変動呼吸)または無呼吸発作(20秒以上呼吸が停止する)、もしくはその両方が現れる

  • 吸啜(きゅうてつ)反射(反射的に乳を吸おうとする行動)と嚥下反射が弱く、調整がうまくできない

  • 身体活動度が低く筋肉の緊張が弱い(早産児は正期産児ほど安静時に腕や脚を引き上げない傾向がある)

早産の合併症

早産児にみられる合併症の多くは、発達が不十分で未熟な臓器や器官系が原因です。合併症のリスクは、未熟性の程度に伴って上昇します。また、感染症、糖尿病、高血圧や妊娠高血圧腎症などの早産の危険因子が母親にあることも、合併症のリスクにある程度影響します。

脳の発達不良

脳が十分に発達する前に出生した場合、いくつかの問題が生じます。具体的な問題としては以下のものがあります。

  • ムラのある呼吸:規則正しい呼吸をつかさどる脳の部分が未熟なため、早産児の呼吸にはムラがあり、呼吸中に短い中断があったり、20秒あるいはそれ以上呼吸が完全に止まったり(未熟児無呼吸発作)します。

  • 呼吸と哺乳の調整困難:のどと口反射をコントロールする脳の部分が未熟なため、早産児は吸うことや飲み込むことが正常にできず、呼吸と哺乳の調整が困難になります。

  • 脳出血:非常に早く生まれた新生児は、脳内で出血を起こすリスクが高くなります。

  • 運動能力、知的能力、社会的技能、および情緒的技能の発達の遅れ

発達不十分な消化管と肝臓

発達が不十分な消化管と肝臓により以下のようないくつかの異常が生じます。

  • 頻繁な溢乳(いつにゅう):初めのうち早産児は栄養をうまく取れない場合があります。吸啜(きゅうてつ)反射(反射的に乳を吸おうとする行動)、嚥下(えんげ)反射が未熟な上、その小さい胃がなかなか空にならないため、溢乳(逆流)がよくみられます。

  • 頻繁に哺乳に耐えられないことがある:早産児の腸は動きが非常に遅く、早産児ではしばしば、排便が困難です。腸管の動きが遅いために、早産児は与えられた母乳または人工乳を容易に消化できません。

  • 腸の損傷:非常に早く生まれた早産児では、腸の一部に重度の損傷が生じ、感染を起こす可能性がある重篤な病気が発生することがあります(壊死性腸炎と呼ばれます)。

  • 高ビリルビン血症:早産児には高ビリルビン血症が生じやすくなります。高ビリルビン血症では、新生児の肝臓でビリルビン(赤血球の正常な分解から生じる黄色の胆汁色素)を血液から除く処理に時間がかかります。このため、黄色の色素が蓄積して皮膚と白眼の部分が黄色くなります(黄疸)。出生後数日間、早産児は黄疸になりやすい傾向があります。通常、この黄疸は軽度で、新生児がより多くの栄養を摂取するようになり、排便の頻度が増すに従って治ります(ビリルビンは便として排泄されるため、便は最初黄色になります)。まれですが、非常に高い値のビリルビンが蓄積すると新生児に核黄疸が発生するリスクが生じます。核黄疸とは、脳へのビリルビン沈着が原因で起こる脳の損傷です。

発達が不十分な免疫系

非常に早く生まれた早産児には、感染症から体を守るのに役立つ血液中のタンパク質である抗体が少ししかありません。母親の抗体は妊娠の後期に胎盤を移行し、出生時に新生児を感染症から守るのに役立ちます。

早産児では母親からの防御抗体が少ないため感染症の発生リスクが高く、特に血液の感染症(新生児の敗血症)や脳の周囲の組織(髄膜炎)のリスクが上昇します。出生後の治療に際して血管カテーテルや呼吸チューブ(気管内チューブ)などの侵襲的な器具を使用する場合、重篤な細菌感染症の発生リスクがさらに高くなります。

発達が不十分な腎臓

出生前は、胎児が出す老廃物は胎盤を通じて取り除かれ、その後は母体の腎臓によって排出されます。しかし出生後は、この作業は新生児が自分の腎臓で行わなくてはなりません。非常に早く生まれた早産児では腎臓の機能は未熟ですが、腎臓が発達するに従って機能も向上します。腎臓の発達が不十分な新生児は、体内の塩分やその他の電解質のほか、水分の量をうまく調整できない傾向がみられます。

腎臓の異常は発育不全および血液中への酸の蓄積(代謝性アシドーシス)につながる可能性があります。

発達が不十分な肺

早産児では出生前に肺が十分に発達する時間がありません。空気から酸素を取り込み、血液中から二酸化炭素を取り除く肺胞と呼ばれる小さな空気の袋は、妊娠期間の最後の3分の1(第3トリメスター【訳注:日本でいう妊娠後期にほぼ相当】)の始め頃まで形成されません。このような構造の発達のほかにも、肺の組織はサーファクタントと呼ばれる、脂肪でできた物質を生産する必要があります。サーファクタントは肺胞の内側を覆っており、呼吸サイクルを通じて肺胞が膨らんだ状態を保ち、呼吸をしやすくしています。サーファクタントがないと、肺胞は呼吸するたびにしぼんでしまい、呼吸をするのがとても難しくなります。通常、妊娠32週頃までサーファクタントは肺から生産されず、典型的に34~36週頃までは生産量が十分ではありません。

これらの要因は、早い時期に生まれた乳児には呼吸窮迫症候群(RDS)を含む呼吸の問題のリスクがあることを意味します。呼吸の問題がある新生児は、人工呼吸器(肺に出入りする空気の流れを補助する機械)による呼吸の補助を必要とすることがあります。予定より早く出生するほど、サーファクタント生産が少ないため、新生児が呼吸窮迫症候群を引き起こすリスクは高まります。

肺の構造をより急速に発達させるための治療はありませんが、十分な栄養があれば、肺は時間とともに発達し続けます。

サーファクタントの量を増やし、呼吸窮迫の可能性と重症度を低下させるために、以下の2つの方法があります。

  • 出生前:ベタメタゾンなどのコルチコステロイドは胎児のサーファクタントの産生を増やします。早産が予期される際(典型的に分娩の24~48時間前)に母親に注射されます。

  • 出生後:新生児の気管にサーファクタントを直接投与する場合があります。

気管支肺異形成症(BPD)は慢性の肺疾患で、早産児(特に生まれた時期が非常に早い早産児)に起こることがある病気です。BPDの乳児の多くは、呼吸窮迫症候群を発症し、人工呼吸器による治療を必要としたことがあります。BPDでは肺に瘢痕組織が生じ、乳児は継続的な呼吸の補助が必要になり、人工呼吸器が必要であることもあります。ほとんどの場合、この病気から非常にゆっくりと回復します。

早産児は、RSウイルスに感染した場合、重篤化するリスクが高くなります。RSウイルスへの感染を予防するために、一部の乳児にはニルセビマブと呼ばれる薬剤か、ニルセビマブが入手できない場合はパリビズマブと呼ばれる薬剤が投与されます。さらに、RSウイルスの流行時期に出産が予想される妊婦は、第3トリメスター【訳注:日本でいう妊娠後期にほぼ相当】の後半にRSウイルスワクチンの接種を受けることができます。妊娠中に接種するこのワクチンは、胎盤を通じて防御抗体が母親から胎児に移行するため、生後約6カ月間にわたり新生児をRSウイルスから保護するのに役立ちます(RSウイルスの予防も参照)。

発達が不十分な眼

網膜は、眼の奥にある光を感じる組織です。網膜は、その表面の血管から栄養を受け取っています。妊娠期間中、これらの血管は網膜の中心から縁へと成長していき、成長は満期近くまで完了しません。

早産児(特に非常に早い時期に出生している乳児)では、血管が成長を停止したり異常に成長したりする場合があります。多くの早産児は通常より多くの酸素を必要としますが、このことも網膜の血管の異常な成長につながる可能性があります。異常な血管が出血を起こしたり、瘢痕組織が生じて網膜が引きつれたりします。この病気を未熟児網膜症といい、出生後に生じます。最も重症の場合には、眼の後部で網膜剥離(もうまくはくり)が起こり、失明します。

早産児で、特に在胎31週未満で生まれている場合、典型的には定期的に眼を診察し、血管の異常な成長がないかを調べます。網膜剥離のリスクが高い場合、レーザー療法を行うか、ベバシズマブという薬剤を投与することがあります。

早産児では近視(近眼)、左右の眼の向きのずれ(斜視)、またはその両方などのほかの眼の問題が発生するリスクも高くなります。

血糖値、ミネラル量、ホルモン量の調節困難

早産児は哺乳に困難を抱える上、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)を正常に保つことも難しいことから、しばしばブドウ糖溶液を静脈から投与したり、授乳を少量ずつ頻繁に行ったりします。定期的に授乳しないと、早産児の血糖値が低下(低血糖)する場合があります。低血糖の新生児の多くは、特に症状が現れません。なかには、筋緊張の低下、乳を十分に飲まない、神経過敏などの症状が現れて元気がなくなる新生児もいます。まれにけいれん発作が起こることもあります。

早産児は、感染症または脳内の出血がある場合や、静脈内にブドウ糖を過量投与された場合に血糖値が高い状態(高血糖)になりやすい傾向があります。しかし、高血糖の症状はめったに現れず、新生児に投与するブドウ糖の量を制限するか、短期間インスリンを使用することによりコントロールすることができます。

早産児(特に超早産児)は、代謝性の骨疾患を発症することがあります。代謝性の骨疾患は、骨に含まれるミネラル量の減少を意味します。カルシウムとリンの大半は妊娠25~40週の間に蓄えられるため、早産児ではミネラルの貯蔵量が不十分な場合があります。

早産のために甲状腺ホルモンが十分に分泌されない(甲状腺機能低下症である)早産児もいます。ときに、早産児の一時的な甲状腺機能低下症を、永続的な先天性甲状腺機能低下症(これは通常、甲状腺の発達の異常に起因する)と区別するのは困難です。早産児では、甲状腺ホルモンによる治療が一定期間必要になる場合があります。児には最初、症状がみられない場合があります。その後、甲状腺機能低下症の診断や治療がなされずにいると、様々な症状が出現します。活動性の低下(嗜眠)、食欲の減退、皮膚が黄色くなる(黄疸)、筋肉の緊張の低下、便秘、心拍数の低下などがみられることがあります。最終的には、まだ治療されないままであれば、乾燥して冷たい斑状の皮膚、特徴的な顔つき(扁平な鼻すじ、顔の腫れなど)、粗い髪、腹部の腫れ、低血圧、赤血球数の減少(貧血)、舌の腫大などの症状が乳児に現れる場合があります。

心臓の異常

早産児によくみられる問題の1つに、動脈管開存症があります。動脈管は、心臓から出ている2つの太い動脈である肺動脈と大動脈をつないでいる血管です(正常な胎児の循環を参照)。正期産児では、生後数時間から数日で、筋肉でできた動脈管の壁によって動脈管が閉じます。しかし早産児の場合、動脈管が開いたままのことがあり、結果として肺に血液が過剰に送られ、心臓に負荷がかかります。

ほとんどの早産児では開いている動脈管はいずれ自然に閉じますが、早く閉じるように薬剤を投与することもあります。一部の例では、開いている動脈管を閉じる手術が行われます。

体温調節が困難

体温は脳によって維持されています。早産児は脳が成熟していないため、体温の調節に問題が生じます。

早産児は正期産児と比べて、体重当たりの皮膚の表面積が大きいため、体温が急速に失われ、正常な体温をうまく保つことができない傾向にあり、特に寒い部屋にいるときやすきま風があるとき、窓の近くにいて外が寒いときなどに体温調節が難しくなります。早産児は温かく保っておかなければ体温が下がります(低体温症)。低体温症の新生児は、良好な体重の増加がみられず、ほかにも複数の合併症がみられる可能性があります。低体温症を予防するために、早産児は保育器またはラジアントウォーマー下で保温します(新生児集中治療室[NICU]を参照)。

早産児の診断

  • 在胎期間および新生児の外観

  • スクリーニング検査

早産の診断は、新生児の在胎期間について最適な推定に基づいて下されます。在胎期間は、母親の最終の正常な月経開始日と分娩日の間の週数を数えて算出します。ときに、妊娠初期に撮影した胎児の最初の超音波画像を確認することにより、在胎期間を算出することがあります。出生後の新生児の外観も、医師が在胎期間を推定するのに役立つことがあります。

新生児を診察し、必要な血液検査、臨床検査、聴覚検査、眼の検査、および画像検査をルーチン化された新生児の評価およびスクリーニング検査の一環として行います。これらのスクリーニング検査は、新生児の成長に合わせて、また退院前に頻繁に繰り返す必要がある場合もあります。

早産児の治療

  • 合併症の治療

早産児の治療では、発達が不十分な器官に起因する合併症を管理します。具体的な病気はすべて、必要に応じて治療します。例えば、呼吸の問題を補助するための治療(肺疾患に対する人工呼吸器やサーファクタント治療など)、感染症に対する抗菌薬、貧血に対する輸血、眼の病気に対するレーザー手術などを早産児が受ける場合や、心臓の異常のために心エコー検査のような特別な画像検査が必要になる場合もあります。

両親は、できるだけ多く新生児に面会し、スキンシップをはかることが勧められます。新生児と両親が肌と肌を触れ合わせること(カンガルー・ケアとも呼ばれます―新生児集中治療室[NICU]を参照)は、可能な場合はつねに新生児にとって有益で、親子の絆を深めます。

毛布、キルト、枕、ぬいぐるみなどのふわふわした物体は、乳児突然死(SUID)のリスクを上昇させる可能性があるため、すべての乳児のベビーベッドから取り除くべきです。うつ伏せで眠ることも乳児突然死症候群(SIDS)のリスクを上昇させるため、自宅では睡眠のたびに、うつ伏せではなくあお向けに寝かせるようにします(SIDSの予防および安全な寝かせ方[Safe to Sleep]キャンペーンも参照)。

極早産児

極早産児には数日、数週間、または数カ月にわたる新生児集中治療室でのケアが必要になります。自分で呼吸できるようになるまで、呼吸用のチューブや人工呼吸器(肺に出入りする空気の流れを補助する機械)が必要になることがあります。

栄養チューブを介した胃への栄養補給に耐えられるようになり、最終的には口から栄養摂取ができるようになるまでは、静脈から栄養を摂取します。早産児にとって母親の母乳が最良の栄養源です。また、母乳の使用によって壊死性腸炎という腸の問題および感染症の発生リスクが低下します。母乳にはカルシウムなどの一部の栄養素が少ないため、極低出生体重児では、強化剤と混合する必要がある場合があります。早産児用に作られたカロリーの高い特別な乳児用人工乳も、必要があれば使用できます。

極早産児は、規則正しい呼吸をつかさどる脳の部分が発達するまで、カフェインなどの呼吸を促進する薬剤を必要とすることがあります。

正常な体温を維持することができるようになるまで、保温のために保育器で過ごす必要があります。

超早産児

超早産児は、極早産児とすべて同じケアを必要とします。極早産児のように、超早産児も自力で呼吸でき、口から栄養を摂取でき、正常な体温を維持でき、体重が増えるようになるまで退院できません。

退院

早産児は通常、医学的な問題が十分にコントロールされ、かつ以下の状況になるまで、病院で管理されます。

  • 特別な補助なしに十分な量の母乳、人工乳、またはその両方を摂取できる

  • 体重が着実に増加している

  • ベビーベッドで正常な体温を維持できる

  • 呼吸の停止(未熟児無呼吸発作)または治療を必要とする心拍数の低下がみられなくなった

多くの早産児は、在胎期間で35~37週の時期になり、体重が2~2.5キログラムになると、退院できる状態です。ただし、これには大きな個人差があります。入院期間の長さは、長期的な予後に影響しません。

早産児では、車のチャイルドシートに乗せている間に呼吸が止まったり(無呼吸)、血液中の酸素レベルが低くなったり、心拍数が低くなったりするリスクがあるため、多くの米国の病院では、早産児が退院する前に、早産児をチャイルドシートに乗せた状態で呼吸心拍をモニターする試験を行っています。この試験は、チャイルドシートに乗るときの半分横になった姿勢で、乳児が安定した状態かどうかを判断するためのものです。通常は、両親が準備したチャイルドシートを使用して試験を行います。早産児においては、この試験で異常がなかった場合も含め、予定日になり、チャイルドシートに確実に耐えられるようになるまで、チャイルドシートに乗せて移動する間は運転していない大人が常に監視すべきです。子どもの顔色を観察する必要があるため、車での移動は日中に限るべきです。長時間の移動は45~60分毎に区切り、子どもをチャイルドシートから下ろして姿勢を変えられるようにします。

調査では、多くのチャイルドシートが最適に取り付けられていないことが分かっており、資格をもつチャイルドシート点検者によるチャイルドシートの点検が勧められています。米国内で点検を受けられる場所は、米国道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration)を通じて見つけることができます。点検サービスを提供している病院もあります。チャイルドシートの取付けに関するアドバイスは、資格をもつチャイルドシートの専門家によってのみ行われるべきです。

米国小児科学会は、チャイルドシートは車での移動のためのみに使用すべきで、乳児用椅子やベッドとして使用すべきではないと勧告しています。多くの医師は親に対し、自宅での最初の数カ月間は、早産児をゆりかごやバウンサーに乗せないようにすることも勧めています。

退院後には、早産児は発達に問題がないか注意深いモニタリングを受け、必要に応じて理学療法、作業療法、および言語療法を受けます。

早産児の予後(経過の見通し)

早産児の生存率と全体的な予後は劇的に向上しましたが、発達の遅れ、脳性麻痺、聴覚障害や視覚障害、注意欠如多動症(ADHD)、学習症などの問題は、依然として早産児では正期産児より多くみられます。予後を決定する最も重要な因子には以下のものがあります。

  • 出生体重

  • 未熟性の程度

  • 早産の24~48時間前に母親にコルチコステロイドが投与されたかどうか

  • 出生後に発生する合併症

早産児の性別も経過が良好になる可能性に影響を及ぼし、未熟性の程度が同じであれば、男児より女児の方が予後は良好です。

在胎23週未満で生まれた場合、生存することはまれです。23~24週で生まれた乳児は生存できる可能性がありますが、その大半に何らかの神経学的な問題がみられます。在胎27週以降に生まれた乳児は、その大半が神経学的な問題なく生存できます。

早産の予防

定期的な出生前ケアを受けることに加え、危険因子または妊娠の合併症を特定し治療すること、そして喫煙、飲酒、または違法薬物の使用をしないことが、早産児が生まれるリスクを抑える最善のアプローチでしょう。ただし、早産児が生まれるリスクを上昇させる条件の多くは、避けられないものです。いずれの場合でも、早産しかけている、または破水したと思う妊婦は、適切な評価と治療を手配するために直ちに産科医に連絡すべきです。

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