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S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)

執筆者:Laura Shane-McWhorter, PharmD, University of Utah College of Pharmacy
レビュー/改訂 2024年 3月
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S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)は人体、主に肝臓において自然に産生される化学物質です。また、合成のサプリメントが製造されています。

サプリメントの概要も参照のこと。)

S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)の効能

S-アデノシル-L-メチオニンはうつ病変形性関節症、胆嚢や肝臓の病気の治療に有効といわれています。変形性関節症の患者の機能改善に役立つ可能性があります。また、SAMeは注意欠如多動症(ADHD)や線維筋痛症の治療に役立つと主張する人もいます。

S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)に関する証拠

これまでの科学的研究では、SAMeについて主張されているほとんどの便益は明確に確認されておらず、さらなる研究が必要です。

しかしながら、2002年の分析でレビューされた2つの研究では、SAMeは変形性関節症の機能制限(痛みではなく)の治療において非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)と同じくらい効果的で、NSAID使用によくみられる副作用はないことが示されました。

一部の研究では、SAMeと抗うつ薬の併用は、 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による治療で緩和しなかったうつ病の患者に有用でしたが、この効果は後の研究では確認されませんでした。

S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)の副作用

重篤な副作用の報告はありません。双極症の患者では、躁エピソードが起こりうるため、S-アデノシル-L-メチオニンは使用してはいけません。

SAMeの副作用はまれであり、実際に生じたとしても、通常は吐き気、ガス、下痢、便秘、口腔乾燥、頭痛などの軽微な問題です。

S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)との薬物相互作用

クロミプラミンなどの特定の抗うつ薬をSAMeと併用すると、セロトニン濃度が上昇することがあり、その結果、発熱、錯乱、心拍数の増加、不安、振戦、その他の症状を特徴とする重篤な疾患であるセロトニン症候群を引き起こすことがあります。SAMeはレボドパの濃度(パーキンソン病の患者において欠乏)を低下させることもあるため、レボドパの濃度を上昇させることによるパーキンソン病治療を目的とする薬剤の有効性を低下させることがあります。

S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)に関する推奨事項

SAMeをクロミプラミンなどの特定の抗うつ薬と併用する予定の人は、セロトニン濃度が上昇してセロトニン症候群を来す可能性があるため、そのリスクについて主治医に相談すべきです。SAMeはパーキンソン病の治療に使用される特定の薬剤の効果を低下させうるため、パーキンソン病の人はSAMeを避けるべきです。全体として、SAMeはほとんどの人にとって安全なようです。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国国立衛生研究所の国立補完統合衛生センター:S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe):詳細(S-Adenosyl-L-Methionine (SAMe): In Depth

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