メラトニンは脳の中央部にある松果体から分泌されるホルモンで、睡眠・覚醒サイクルを調整します。サプリメントに使用されるメラトニンは動物由来のものもありますが、ほとんどは人工的に合成されたものです。メラトニンを薬剤とみなし、医薬品として規制している国もあります。
(サプリメントの概要も参照のこと。)
メラトニンの効能
メラトニンに関する証拠
メラトニンのサプリメントが睡眠・覚醒サイクルに作用することを示す証拠があります。そのため、メラトニンのサプリメントは、時差ぼけや一時的な不眠の症状がある一部の人にも役立ち、最長で6か月間摂取されています。しかし、メラトニンにより慢性の不眠症を効果的に治療できるという科学的根拠はほとんどありません。
メラトニンの副作用
頭痛、めまい、吐き気、眠気、一過性の抑うつが起こることがあります。メラトニンは既存の抑うつを増強させることがあります。メラトニンを長期間使用しても安全かどうかは不明です。メラトニンは医師の指示の下で使用するのが最善で、特に小児に使用する場合に重要です。てんかんの人では、発作が増える可能性があります。メラトニンは自己免疫疾患を悪化させる可能性があります。また、メラトニンは妊よう性を低下させる可能性があり、メラトニンが妊娠中や授乳中に安全かどうかは不明です。
メラトニン含有量は製品によって異なり、製品ラベルに必ずしも製品中のメラトニン量が正確に記載されているとは限りません。
メラトニンの重大な副作用を経験する人が増えており、小児が誤ってメラトニンを摂取した場合など、ときに入院が必要になります。
米国睡眠医学会は、認知症の高齢者に対してメラトニンのサプリメントを避けるよう推奨しています。メラトニンは若い人よりも高齢者で活性を長く維持し、日中の眠気を引き起こすことがあります。
メラトニンとの薬物相互作用
メラトニンがワルファリンの効果を高め、出血のリスクを増大させる場合があります。
メラトニンはベンゾジアゼピン系薬剤など特定の薬剤の鎮静作用を増強することがあります。
メラトニンは抗てんかん薬の作用を弱め、けいれん発作のリスクを増大させる場合があります。
メラトニンはメタンフェタミンの副作用を増大させることがあります。
メラトニン濃度に影響を及ぼしうる薬剤もあります。例えば、フルボキサミン、エストロゲン、キノロン系抗菌薬はメラトニン濃度を上昇させることがあります。逆にメラトニン濃度を低下させる薬剤もあります(例、抗てんかん薬のカルバマゼピンや抗菌薬のリファンピシン)。
メラトニンに関する推奨事項
睡眠障害がある人や、時差ぼけを治療または予防したい人はメラトニンを試すことができますが、ほとんどの人(特にメラトニンを繰り返し使用しようと考えている人)は、まず主治医に相談すべきです。メラトニンは、認知症やてんかん、自己免疫疾患の患者、妊娠を試みている女性、ワルファリンを服用中の人は服用してはいけません。
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
米国国立衛生研究所の国立補完統合衛生センター:メラトニン:知っておくべきこと(Melatonin: What You Need To Know)