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マロリー-ワイス症候群

執筆者:Kristle Lee Lynch, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania
レビュー/改訂 2024年 2月
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マロリー-ワイス症候群とは、下部食道と胃の上部が接合する部分の組織の表層に裂傷ができた状態のことです。

本ページのリソース

  • 激しい嘔吐によって裂傷が起きることがあります。

  • 症状は嘔吐物中に血液がみられることなどです。

  • 診断は上部消化管内視鏡検査の結果に基づいて下されます。

  • 必要な場合は、出血を止める処置が治療に含まれます。

食道は、のど(咽頭)と胃をつないでいる管状の臓器管です。(食道の概要食道損傷の概要も参照のこと。)

マロリー-ワイス症候群は、激しい嘔吐、レッチング、またはしゃっくりの際に起こります。裂傷により血管が破れることがあり、そうなると出血が起こります(消化管出血も参照)。

マロリー-ワイス症候群は、当初はアルコール使用症の患者で報告されましたが、激しく嘔吐するあらゆる人で起こりえます。

知っていますか?

  • 激しい嘔吐によって食道に裂傷が生じることがあります。

マロリー-ワイス症候群の症状

マロリー-ワイス症候群の最初の症状は、通常、嘔吐物中に鮮紅色の血液がみられることです。血液を嘔吐する症状は吐血といいます。

嘔吐時に食道に裂傷が生じると、胸部の下側に鋭い痛みを感じる場合もあります。

マロリー-ワイス症候群の診断

  • 上部消化管内視鏡検査

嘔吐後にその嘔吐物中に血液がみられる場合、マロリー-ワイス症候群が疑われます。出血量が少ない場合、出血が自然に止まることがあるため、医師は検査を先延ばしにすることがあります。

出血がひどいか自然に止まらない場合は、上部消化管内視鏡検査を行います。上部消化管内視鏡検査では、内視鏡と呼ばれる柔軟な管状の機器を用いて食道を調べます。上部消化管内視鏡検査では、出血部位を観察するとともに、しばしば同時に治療することが可能です。

マロリー-ワイス症候群の治療

  • 出血を止めるための処置

ほとんどの場合、出血は自然に止まりますが、ときに内視鏡検査を行い、止血のための措置を講じる必要がある場合もあります。処置としては、出血している血管を熱で焼灼する、クリップで締めつけて閉じる、薬剤を注入するなどがあります。

別の方法として、血管造影検査で観察しながら、出血している血管にバソプレシンやアドレナリンを注入して出血を止めることもあります。

失血量が多い場合は輸血が必要になります。

裂傷を修復する手術がまれに必要になります。

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