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下部食道輪は、下部食道に狭窄(きょうさく)を起こし、ほとんどの場合は生まれたときから存在します。
食道は、のど(咽頭)と胃をつないでいる管状の臓器管です。(食道閉塞の概要も参照のこと。)
一部の下部食道輪は、胃酸逆流や飲み込みが不完全だった錠剤に起因する食道の炎症(びらん性食道炎)によって生じることがあります。
正常な下部食道の直径は約2センチメートルです。しかし、下部食道輪(硬い組織の輪)によって直径が約1.25センチメートル以下にまで狭まることがあり、固形物が飲み込みにくくなることがあります。この症状は年齢を問わず始まりますが、通常は25歳以降に始まります。嚥下困難は消長を繰り返し、特に肉や乾燥したパンを食べたときに悪化します。
しばしば、嚥下困難の原因を調べるために内視鏡(柔軟な管状の機器)で食道を観察する検査(内視鏡検査)を行った際に、下部食道輪が発見されます。食道造影検査でも下部食道輪が写し出されます。この検査では、バリウムという液体状の造影剤を飲んでもらってから、X線撮影を行います。バリウムによって食道の輪郭が描き出され、異常が見やすくなります。
食道輪
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この写真には、食道輪が写っています。食道輪は、粘膜の滑らかな輪で食道を狭くします。
Photo provided by David M.Martin, MD.
食べものをよく噛みくだいた上で少量の水とともに飲み込めば、通常は症状を予防できます。内視鏡を口とのどから食道に挿入して狭窄部を修復したり、先端が丸い器具(ブジーと呼ばれます)を用いて食道を広げたりします。まれですが、収縮している食道輪を手術で拡げることもあります。
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