アダプトゲンとは何ですか?
「アダプトゲン」とは、身体の「ストレス」への対処を助けるといわれている特定の食物やサプリメントを表す用語です。ストレスは心理的(心のもの)である場合もあれば、身体的(体のもの)である場合もあり、感染や毒性物質が原因の場合もあります。アダプトゲンの概念は、研究者たちが、極度の身体活動や厳しい環境において持久力を向上させ、疲労を軽減する方法を探していた際に生まれました。彼らは植物や食物に由来する様々な製品の研究を始めました。
アダプトゲンを支持する人たちは後に、活力や気分の改善、ホルモンの異常の是正、血糖の安定化、記憶力や思考過程の改善、老化の遅延、その他数多くの有益なこと、さらにおそらくは寿命の延長やがんの治療にまで、アダプトゲンの可能性を広げました。
アダプトゲンとよく呼ばれる物質には以下のものがあります。
(サプリメントの概要も参照のこと。)
アダプトゲンには効果がありますか?
アダプトゲンとみなされている物質は非常に多岐にわたっているため、この分類全体について研究することは不可能です。それぞれのアダプトゲンを個別に評価する必要があります。
また、何を「ストレス」とするのかもあいまいなままです。例えば、以下のものが考えられます。
精神的ストレス(家族や仕事のプレッシャーなど、ほとんどの人が「ストレス」と考えるもの)
身体的ストレス(長距離のハイキング、極度の寒さや暑さへの対処など)
細胞ストレス(細胞が微生物や毒素による攻撃、酸素や栄養素の欠乏に反応するときのストレス)
これらのストレスは非常に異なるため、1つの食物や物質がそれぞれのストレスに同様の影響を与える可能性は低いでしょう。
アダプトゲンを裏付けると主張する科学的調査研究の多くでは、ストレスに反応して細胞が放出する化学物質(コルチゾールなど)を測定します。その前提は、ストレスに反応する化学物質を減らすものはすべて良いということです。しかし、それが本当かどうかは分かりません。細胞(と身体)はストレスに反応する必要があり(実際、ある程度のストレスは有益であると広く考えられています)、ストレスに反応する化学物質を減少させる物質は、実は単に細胞の自身の防御を妨げているだけかもしれません。
アダプトゲンの研究で調査されているその他の物質としては、神経ペプチドYなどの神経系タンパク質、様々な酵素、特定の神経伝達物質(セロトニンやドパミンなど)、免疫系の追加免疫、炎症を軽減する物質(抗酸化物質など)などがあります。しかし、ガラス管の中の細胞で物質を測定することに限定された研究はすべて、その後実際にヒトで改善することを確かめる研究を行わなければなりません。アダプトゲンに関するそのような検証的な研究ははるかに少なく、実施される研究はしばしば質が低く、確実な答えが示されていません。
推奨事項
一般に、ある物質について多くの主張がされているほど、それらすべてが真実である可能性は低いと考えるべきです。生活でかかえる多くの問題を解消すると主張されているサプリメントや食品で、それが叶う可能性は低いでしょう。個々のアダプトゲンについて、主張されている具体的な効果を裏付ける科学的根拠を確認する必要があります。
良い場合でも、アダプトゲンの便益を示す科学的根拠は弱いでしょう。最悪の場合、一部のアダプトゲンは安全ではないかもしれません。良好な健康は主に健康的な栄養と身体活動に依存することを覚えておいてください。アダプトゲンと考えられているサプリメントやボタニカル製品を摂取しても、不健康な食事や運動不足を補うことはできません。