エキナセアは北米原産の野生の花であり,生物学的に活性のある様々な成分を含有する。
(栄養補助食品の概要も参照のこと。)
効能
エキナセアは免疫系を刺激すると言われている。感冒の初期段階で摂取すれば,感冒症状の持続期間が短縮すると言われている。適切に構成された試験ではこの効果は証明されていない。
外用製品は創傷治癒を促進するために用いられる。
エビデンス
一般的な感冒の予防および/または治療におけるエキナセアの役割に関する研究結果は一貫していない。結果が一貫しない最大の要因は,使用する植物原料の違い(ある植物の異なる部位,異なる種類の植物)およびサプリメントの最終的な組成のばらつきにある。
24の研究(4631例)を対象とした2014年のコクランレビュー(Cochrane Review)では,感冒の予防または治療を目的とした様々なエキナセア製品を評価した。予防に関する便益は示されなかったが,予防研究の事後的なまとめでは,10~20%の相対リスクの低下が示唆された。著者らは,一部の製品には弱い便益があると結論付けた(1)。ランダム化試験を対象とした2019年のシステマティックレビューとメタアナリシスでは,エキナセアが上気道感染症の予防と期間に及ぼす影響,および安全性が評価された。予防には有意な効果が認められたが,症状持続期間への影響や安全上のリスクは認められなかった(2)。しかし,限界は対象とした研究の不均一性であった。
有害作用
大半の有害作用は軽度で一過性であるが,めまい,疲労,頭痛,および消化管症状などがある。ほかに有害作用は知られていない。エキナセアはT細胞を刺激する可能性があるため,理論的には自己免疫疾患,多発性硬化症,AIDS,結核,臓器移植患者では禁忌である。ブタクサ,キク,マリーゴールド,ヒナギク,または関連するアレルゲンへのアレルギーがある患者には,アレルギー反応がみられる可能性がある。
薬物相互作用
エキナセアは一部のチトクロムP450酵素を抑制し,一部の酵素を誘導する;したがってこうした酵素によって代謝される薬物(例,タンパク質同化ステロイド,アゾール系抗真菌薬,メトトレキサート,エトポシド,その他の化学療法薬)と相互作用を起こす可能性がある。
(栄養補助食品と薬物の間で起こりうる相互作用の表も参照のこと。)
参考文献
1.Karsch-Volk M, Barrett B, Kiefer D, et al: Echinacea for preventing and treating the common cold.Cochrane Database Syst Rev (2) CD000530, 2014.doi: 10.1002/14651858.CD000530.pub3
2.David S, Cunningham R: Echinacea for the prevention and treatment of upper respiratory tract infections: a systematic review and meta-analysis.Complement Ther Med 44:18-26, 2019.doi: 10.1016/j.ctim.2019.03.011
より詳細な情報
有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。
National Institutes of Health (NIH), National Center for Complementary and Integrative Health: General information on the use of echinacea as a dietary supplement