中国,モンゴル,朝鮮半島原産の多年草植物であるオウギは,中国伝統医学において何世紀にもわたり使用されてきた。一般的に他のハーブと併用され,多くの病態に用いられる。
(栄養補助食品の概要とNational Institutes of Health (NIH): Astragalusも参照のこと。)
効能
オウギは,上気道感染症,アレルギー性鼻炎(花粉症),喘息,慢性疲労症候群,慢性腎臓病など多くの病態に有用であると言われている。
また,免疫系を強化し,生理的および精神的ストレスを予防するとも言われている。
オウギは血流を改善し,創傷治癒を促進するために外用で使用される。
エビデンス
ヒトにおいてオウギが何らかの病態の治療に効果的であることを示した質の高い研究はない(NIH: Astragalusを参照)。
慢性腎臓病の治療におけるオウギのシステマティックレビューでは,22の研究に1323例が登録され,そのうち241例が透析を受けていた。全体として,研究の質が低かった。この解析では,オウギは従来の治療の補助療法として,タンパク尿の軽減ならびにヘモグロビンおよび血清アルブミンの増加に有望な効果があることが認められた。しかしながら,研究の質が高くなかったため,得られているエビデンスに基づいて決定的な結論を下すことはできなかった(1)。
有害作用
オウギの有害作用はまれであるが,発疹,そう痒,鼻症状,または胃の不快感が生じることがある。
オウギは免疫系を活発にすると考えられるため,関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の症状を悪化させる可能性がある。
オウギは妊娠中または授乳中に使用してはならない。動物試験から,オウギは母体および胎児に有毒である可能性があることが示唆されている。
薬物相互作用
オウギは,免疫系を抑制する薬剤と相互作用を起こすことがある。オウギは免疫系の活性化を促進させる可能性があり,それにより臓器移植後やがん治療に使用される薬剤など,免疫系を抑制する薬剤の有効性を低下させる可能性がある。
オウギはリチウムの排泄を減少させることがあり,その結果血中リチウム濃度が上昇して重篤な有害作用を引き起こす可能性がある。
(栄養補助食品と薬物の間で起こりうる相互作用の表も参照のこと。)
参考文献
1.Zhang HW, Lin ZX, Xu C, Leung C, Chan LS: Astragalus (a traditional Chinese medicine) for treating chronic kidney disease. Cochrane Database Syst Rev (10):CD008369, 2014.Published 2014 Oct 22.doi:10.1002/14651858.CD008369.pub2
より詳細な情報
有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。
National Institutes of Health (NIH), National Center for Complementary and Integrative Health: General information on the use of astragalus as a dietary supplement