ショウガ

執筆者:Laura Shane-McWhorter, PharmD, University of Utah College of Pharmacy
レビュー/改訂 2023年 1月
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ショウガ(Zingiber officinale)は抽出して錠剤にするか,生もしくは乾燥させて,またはジュースや油にして用いることができる。有効成分はジンゲロール(ショウガに風味および匂いを与える)およびショウガオールである。

栄養補助食品の概要National Institutes of Health (NIH): Gingerも参照のこと。)

効能

ショウガは,効果的な制吐薬および悪心抑制薬で,特に動揺病または妊娠に起因する悪心に効果的であると言われており,また,腸管の痙攣を和らげると言われている。ショウガは抗炎症薬や鎮痛薬としても使用され,2型糖尿病の管理に有益な可能性もある。

エビデンス

ショウガは,in vitroでは抗菌作用および血小板阻害作用を有する可能性もあるが,データは一貫していない。

10件のランダム化比較試験(918例)を対象とした2018年のメタアナリシスでは,術後の悪心および嘔吐の重症度をコントロールする上でショウガが有益となる可能性が示唆された(1)。13の研究(1174例)を対象としたメタアナリシスでは,ショウガは妊娠に関連した悪心の緩和にプラセボより有意に効果的であったが,嘔吐に対してはそうではなかったことが報告された。この解析では,悪心および嘔吐の低減に関してショウガとビタミンB6の間に有意差は認められなかった(2)。化学療法による悪心および嘔吐を対象にショウガを検討した2019年のシステマティックレビューとメタアナリシスでは,ショウガは化学療法による悪心やその他の関連する転帰に影響を及ぼさなかったと報告されたが,著者らはこれは研究の不均一性に起因した可能性があると結論している(3)。

ショウガの抗炎症および鎮痛作用は十分に証明されていない。しかしながら,8つの試験(481例)をまとめたレビューでは抗炎症作用を有する可能性が示唆され,変形性関節症など一部の病態で疼痛を軽減できる場合があるとされる(4)。5つの研究(593例)を対象とした2015年のメタアナリシスでは,ショウガは変形性関節症に対して中程度の効果しかないことが明らかにされた(5)。しかしながら,機能性月経困難症に対しては,ランダム化試験でショウガ粉末が有益である可能性が報告されている(6)。ショウガは2型糖尿病を対象に評価中であり,ヘモグロビンA1C値のわずかな低下を示す新たなエビデンスが得られつつある(7)。

有害作用

通常,ショウガは有害ではないが,食べたときに灼熱感を感じる人もいる。悪心,ディスペプシア,および異味症が起こる可能性がある。

薬物相互作用

理論的には,ショウガは出血性素因がある患者や抗血小板薬またはワルファリンの投与を受けている患者では禁忌である。(栄養補助食品と薬物の間で起こりうる相互作用の表も参照のこと。)

参考文献

  1. 1.Toth B, Lantos T, Heygi P, et al: Ginger (Zingiber officinale): an alternative for the prevention of postoperative nausea and vomiting.A meta-analysis.Phytomedicine 50:8-18, 2018. doi: 10.1016/j.phymed.2018.09.007

  2. 2.Hu Y, Amoah AN, Zhang H, et al: Effect of ginger in the treatment of nausea and vomiting compared with vitamin B6 and placebo during pregnancy: a meta-analysis.J Matern Fetal Neonatal Med 35(1):187-196, 2022.doi:10.1080/14767058.2020.1712714

  3. 3.Crichton M, Marshall S, Marx W, et al: Efficacy of ginger (Zingiber officinale) in ameliorating chemotherapy-induced nausea and vomiting and chemotherapy-related outcomes: a systematic review update and meta-analysis.J Acad Nutr Diet 119(12):2055-2068, 2019.doi: 10.1016/j.jand.2019.06.009 

  4. 4.Terry R, Posadzki P, Watson LK, et al: The use of ginger (Zingiber officinale) for the treatment of pain: a systematic review of clinical trials.Pain Med 12(12):1808-1818, 2011.doi: 10.1111/j.1526-4637.2011.01261.x

  5. 5.Bartels EM, Folmer VN, Bliddal H, et al: Efficacy and safety of ginger in osteoarthritis patients: a meta-analysis of randomized placebo-controlled trials.Osteoarthritis Cartilage 23(1):13-21, 2015.doi: 10.1016/j.joca.2014.09.024

  6. 6.Daily JW, Zhang X, Kim DS, et al: Efficacy of ginger for alleviating the symptoms of primary dysmenorrhea: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials.Pain Med 16(12):2243-55, 2015. doi: 10.1111/pme.12853

  7. 7.Huang FY, Deng T, Meng LX, et al: Dietary ginger as a traditional therapy for blood sugar control in patients with type 2 diabetes mellitus: a systematic review and meta-analysis.Medicine (Baltimore) 98(13):e15054, 2019.doi: 10.1097/MD.0000000000015054

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. National Institutes of Health (NIH), National Center for Complementary and Integrative Health: General information on the use of ginger as a dietary supplement

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