イワベンケイとは何ですか?
イワベンケイの植物学名はRhodiola roseaです。
この植物の根および地下茎(根茎)は、東欧、北欧、アジアの一部で伝統医学の実践に使用されています。
この植物は、北極根、黄金の根、ナガバノイワベンケイ、イワキリンソウなど、多くの別名で知られています。
この植物の根と根茎の抽出物を乾燥させ、アルコールに溶かして薬用化合物を調製します。
典型的な用量は144~200mg、1日2回です。(しかしながら、処方薬とは異なり、サプリメントの最適な用量に関する科学的根拠や、市販の製剤で宣伝されている用量が正確であるという証拠は、多くの場合ほとんどありません。)
(サプリメントの概要も参照のこと。)
イワベンケイについてどのような効能が主張されていますか?
イワベンケイには効果がありますか?
イワベンケイを含め、一つの化合物が単独で、多様な健康上の便益を有する可能性は非常に低いでしょう。したがって、複数の便益を確認する科学的根拠が得られる可能性は非常に低いでしょう。
細胞を用いた研究では、イワベンケイに含まれる化合物であるサリドロシドには脳に有益な効果があり、脳腫瘍細胞を破壊する可能性があることが示されています。
動物を対象とした研究では、イワベンケイが認知機能を改善しうることが示唆されていますが、これらの試験には重大な弱点があります。
ヒトを対象とした試験において、イワベンケイについて主張されている健康上の便益を示す科学的根拠は限られています。
これらの試験のほとんどは小規模で質が低く、一部の科学的根拠は矛盾しています。
ヒトを対象とした試験では結論は得られていませんが、以下のようなイワベンケイの便益の可能性が示されています。
持久力(運動能力、作業能力、認知能力など)が向上する
ストレスの多い状況で疲労を軽減する
不安や抑うつを緩和する。従来の抗うつ薬よりも有益性は低いものの、副作用は少ない。
エピルビシン(化学療法薬)による心臓の障害を軽減する
イワベンケイの起こりうる副作用にはどのようなものがありますか?
イワベンケイにはどのような薬物相互作用がありますか?
イワベンケイを処方薬の抗うつ薬と併用すると、心拍数が非常に速くなることがあります。
イワベンケイは血糖値を下げる可能性があるため、血糖値が下がりすぎることがあります(特にインスリンやその他の糖尿病薬を使用している場合)。
イワベンケイは血圧を下げる可能性があるため、すでに血圧が低い人や血圧を低下させる薬剤を服用している人では、血圧が下がりすぎることがあります。
イワベンケイは、抗凝固薬のワルファリンや一部の抗炎症薬などの、特定の薬物の濃度を上昇させることがあります。
イワベンケイは多発性硬化症などの一部の自己免疫疾患で用いられる免疫抑制薬の効果を打ち消す可能性があります。
その生化学的な作用に基づくと、イワベンケイは他の多くの薬物と相互作用する可能性がありますが、それが問題を引き起こすかどうかは不明です。
推奨事項
イワベンケイは、主張されている健康への有益な効果がヒトを対象とした質の高い試験では確認されておらず、また副作用や薬物相互作用のリスクを上回らないことから、一般的に推奨されません。
妊婦や授乳中の女性、小児、ならびに自己免疫疾患の人はイワベンケイの摂取を避けるべきです。
特定の薬剤(糖尿病やうつ病の治療薬、降圧薬、抗凝固薬、特定の自己免疫病態における免疫抑制薬など)を服用している人は、イワベンケイを摂取する前に主治医に相談すべきです。