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骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序論

執筆者:Simeon A. Boyadjiev Boyd, MD, University of California, Davis
レビュー/改訂 2022年 9月
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先天異常とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは「生まれたときから存在する」という意味です。

顔面および四肢の先天異常はかなり多くみられます。体の特定の部分、例えば口(口唇裂または口蓋裂[こうがいれつ])や足(内反足)だけが侵されることがあります。多くの異常を伴う遺伝性症候群の一部である場合もあり、その例としては先天異常が顔面だけでなく他の多くの部位にも現れるトリーチャー・コリンズ症候群などがあります。

先天異常は以下のように分類されます。

  • 変形

  • 形成異常

変形とは、体の一部の形が変わることです。変形は、子宮内の胎児(例えば、一部の内反足)や出生後の乳児(例えば、頭蓋骨の変形)にかかる異常な圧力を原因とします。変形は約2%の出産でみられます。変形は、数日以内に治療なしで改善することもあれば、治療が必要になることもあります。

形成異常は、子宮内で胎児が発育していく過程で生じたエラーです。形成異常の原因としては、染色体異常単一遺伝子疾患、環境的な要因など(先天異常を引き起こすことが知られている物質である催奇形物質など)があります。形成異常は遺伝的な要因と環境的な要因が組み合わさることでも起こります。一部の場合では、原因は不明です。生まれつき形成異常がある乳児は約3~5%です。

先天性多発性関節拘縮症とは、子宮内で関節の動きが制限されることによって生じるまれな先天性疾患の総称です。動きが制限されることにより、多くの関節が弯曲した状態で「固まり」ます。

頭蓋顔面異常は、胎児が母体内で成長する際に頭部や顔面の骨の成長や発達に異常があることによって生じます。顔面で最もよくみられる異常は、口唇裂と口蓋裂です。他の異常はに生じることがあります。頭蓋骨に生じる頭蓋顔面異常としては、大頭症(頭蓋骨が大きすぎる)、小頭症(頭蓋骨が小さすぎる)、頭蓋縫合早期癒合症(頭蓋骨同士のつなぎ目が早期に閉じる)などがあります。

股関節や関節の異常としては、発育性股関節形成不全膝関節の脱臼などがあります。

四肢の異常には多くのものがあります。腕や脚が欠損していたり完全に形成されないことがあります。手や足の一部またはすべてが欠損していることがあります。例えば、手や足の指の数が少ないことや多いことがあります。内反足(内反尖足)は、足と足首の形や位置がねじれる異常です。他の足の異常としては、内転中足内反中足外反踵足(がいはんしゅそく)、扁平足などがあります。

O脚とは、膝が外側を向いているように見える状態です。X脚とは、膝が内側を向いているように見える状態です。脚に生じるその他の異常としては、太ももの骨の最上部がねじれた状態(大腿骨捻転)やすねの骨がねじれた状態(脛骨捻転)などがあります。

筋肉の異常は生まれたときから存在していることがあります。新生児の出生時に、個々の筋肉や筋肉群が欠損していたり、筋肉の発育不全がみられることがあります。筋肉の異常は、単体で発生することもあれば症候群の一部として発生することもあります。

首や背中の異常は、軟部組織や骨の損傷が原因です。次の2つが最も多くみられる異常です。

脊椎の異常としては、まれに生まれつきみられる脊柱側弯症や、出生時に発見される可能性が高い特定の椎骨の異常などがあります。いくつかの遺伝性症候群には、その異常の1つとして脊柱側弯症が含まれています。患児が成長するにつれて、脊椎の異常によって生じる脊柱の弯曲は急速に進行することがあります。医師は脊椎の状態を綿密にモニタリングします。

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