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大頭症

執筆者:Stephen J. Falchek, MD, Nemours/Alfred I. duPont Hospital for Children
レビュー/改訂 2023年 7月
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大頭症は、頭部が大きい状態を意味する専門用語です。

  • 大頭症は、遺伝性疾患やその他の病気によって引き起こされる場合もあれば、1つの特徴として遺伝する場合もあります。

  • 診断は、出生前であれば定期的な超音波検査によって、出生後であれば頭囲の測定によって下されます。

  • 通常は脳の異常を探すための画像検査と、原因を調べるための遺伝学的検査を行います。

  • 大頭症の治療では通常、手術が行われます。

脳と脊髄の先天異常の概要も参照のこと。)

大頭症の乳児は、同じ月齢のほかの乳児と比べて、頭囲がかなり大きくなっています。

大頭症は以下に分類されます。

  • 不均衡型:頭の大きさが小児の体格相当の大きさを超えているもの。

  • 均衡型:頭部の大きさが体格相当に見えるもの(つまり、小児の体格が大きく、頭も大きい)。

頭が大きいか、頭蓋骨が大きくても、多くの場合は健康です。

大頭症の最も一般的な原因は家族性大頭症で、この場合は、頭蓋骨と脳の成長にみられる特徴のために、頭が大きいという性質が家族内で受け継がれています。

異常な大頭症は、脳の増大(巨脳症)、水頭症(脳内に液体がたまった状態)、頭蓋骨の過成長(頭蓋骨増殖症)などによって引き起こされます。これらの病態は、遺伝性の病気や出生前または出生後に発生した病気の結果である場合があります。

合併症もみられることがあり、例えば、弱視、歯並びの異常、口および顎の異常に関連した言語障害などがあります。

大頭症の診断

  • 出生前:超音波検査

  • 出生後:頭囲の測定を含む身体診察、ときにMRI検査

  • 遺伝子検査

出生前では、第2トリメスター【訳注:日本でいう妊娠中期にほぼ相当】の後期または第3トリメスター【訳注:日本でいう妊娠後期にほぼ相当】の早期に定期的に行われる出生前超音波検査の際に、ときに大頭症と診断されることがあります。

出生後では、定期的な身体診察の際に乳児の頭囲(頭部の最も大きい部分の周囲の長さ)が測定されます。このとき、その子が生活している地域の同じ性別、同じ月齢、同じ民族の乳児における正常範囲と比べて著しく頭囲が大きい場合、大頭症と診断されます。少しだけ頭が大きいという特徴が親子間で遺伝する場合があることから、大頭症の診断を下すにあたっては、医師は親や祖父母の頭囲も考慮に入れます。

大頭症がある場合、医師は通常、異常がないか調べるために脳のMRI検査を行います。医師は新生児と親の診察も行って、大頭症について可能性のある原因を探した後、疑ったあらゆる原因について検査を行います。ときに、原因特定の参考にするために医師が血液検査を依頼することもあります。

この先天異常がある乳児に対しては、遺伝専門医が診察を行うことがあります。遺伝専門医とは、遺伝学(遺伝子と、特定の性質や形質が親から子にどのように受け継がれるかについての科学)を専門とする医師です。乳児の血液サンプルの遺伝子検査を行い、染色体や遺伝子の異常がないか調べることがあります。この検査は、特定の遺伝性疾患が原因なのかどうかを判断し、他の原因を否定するために役立ちます。

大頭症の治療

  • 原因により異なる

大頭症の小児の多くでは、治療は不要です。

家族性大頭症の小児では、治療は不可能で、その必要もありません。同様に、頭が正常より大きくなる一部の遺伝性疾患も治療が不可能で、頭の大きさ自体は病気の原因になりません。

水頭症を原因とする大頭症がある小児には、外科的な治療を行います(水頭症の治療を参照)。

原因に関係なく、大頭症の小児では発達の遅れがみられることがあります。多くの場合、早期介入と呼ばれる発達支援が、大頭症のある乳児の身体能力や知的能力を最大限に高める助けになります。ケアチームによる定期的な健診とフォローアップがとても重要になります。

弱視、歯並びの異常、言語障害などの合併症がある小児は、適切な専門医によって管理されるべきです。

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