小頭症とは、頭が異常に小さい状態のことです。たいていの場合、脳が小さく不完全に発達したことが原因で頭が小さくなります。
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小頭症は、遺伝子異常や感染症、脳の異常など様々な病態によって引き起こされる場合もあれば、ときに遺伝により受け継がれる場合もあります。
重度の小頭症がある新生児には、通常は脳損傷の症状がみられます。
診断は、出生前であれば超音波検査によって、出生後であれば頭囲の測定によって下されます。
通常は脳の異常を探すために画像検査を行い、ときに原因を調べるために血液検査を行います。
小頭症は軽度から重度まで程度に幅があるため、治療の選択肢にも同じように幅があります。
早期の介入が特に助けになります。
(脳と脊髄の先天異常の概要も参照のこと。)
頭の大きさは、通常は脳の大きさによって決まります。したがって、脳または脳の一部の発育度合いが低いことが、小頭症の原因です。小頭症は単独で起きることもあれば、他の主な先天異常と一緒に起きることもあり、出生時から存在している場合もあれば、乳児期後期に発生する場合もあります。
小頭症は一般的な病態ではありません。
小頭症の原因
小頭症の症状
小頭症の診断
出生前:超音波検査
出生後:身体診察と画像検査
遺伝子検査
出生前では、第2トリメスター【訳注:日本でいう妊娠中期にほぼ相当】の後期または第3トリメスター【訳注:日本でいう妊娠後期にほぼ相当】の早期に定期的に行われる出生前超音波検査の際に、ときに小頭症と診断されることがあります。
出生後では、定期的な身体診察の際に乳児の頭囲(頭部の最も大きい部分の周囲の長さ)が測定されます。このとき、その子が生活している地域の同じ性別、同じ月齢、同じ民族の乳児における正常範囲と比べて著しく頭囲が小さい場合、小頭症と診断されます。ときに、当初は頭囲が正常範囲内であったのが、時間の経過とともに正常な増加がみられなくなった時点で、小頭症の診断が下される場合もあります。
少しだけ頭が小さいという特徴(良性家族性小頭症)が親子間で遺伝する場合があることから、小頭症の診断を下すにあたっては、医師は親の頭囲も考慮に入れます。
小頭症がある場合、医師は通常、異常がないか調べるために脳のCT検査またはMRI検査を行います。医師は新生児と親の診察も行って、小頭症について可能性のある原因を探した後、疑ったあらゆる原因について検査を行います。ときに、原因特定の参考にするために医師が血液検査を依頼することもあります。
この先天異常がある乳児に対しては、遺伝専門医が診察を行うことがあります。遺伝専門医とは、遺伝学(遺伝子と、特定の性質や形質が親から子にどのように受け継がれるかについての科学)を専門とする医師です。乳児の血液サンプルの遺伝子検査を行い、染色体や遺伝子の異常がないか調べることがあります。この検査は、特定の遺伝性疾患が原因なのかどうかを判断し、他の原因を否定するために役立ちます。
小頭症の治療
症状に対する治療
身体機能および知的機能の問題に対する介入
小頭症は生涯続く状態で、根治的な治療法も標準の治療法もありません。
脳の損傷による症状に対して治療を行います。小頭症の原因となる病気には治療できるものもあります。
ケアチームによる定期的な健診とフォローアップがとても重要になります。多くの場合、早期介入と呼ばれる発達支援が、小頭症のある乳児の身体能力や知的能力を最大限に高める助けになります。
頭が小さいという特徴が家族内で受け継がれている場合、一般に治療は不要です。
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
マーチ・オブ・ダイムズ(March of Dimes):妊婦と乳児のための団体で、母体の健康リスク、早産、ならびに母体および乳児死亡を予防する方法に関して支援と情報を提供しています。