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顎の異常

執筆者:Joan Pellegrino, MD, Upstate Medical University
レビュー/改訂 2024年 7月
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出生時に、顎の欠損や変形、発育不全がみられることがあります。

本ページのリソース

先天異常とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは「生まれたときから存在する」という意味です。(顔面および頭蓋骨の先天異常に関する序論も参照のこと。)

あごの先天異常には以下のようなものがあります。

  • 小顎症:下あごが小さい状態

  • 無顎症:下顎の一部または全部が欠損している状態

  • 上顎低形成:上あご(上顎骨)の形成不全

小顎症

小顎症とは、下あご(下顎骨)が小さい状態です。ピエール・ロバン症候群とトリーチャー・コリンズ症候群は、頭部と顔面のいくつかの異常を特徴とする病気で、小さい下あごと関連しています。下あごが小さすぎると、乳児は食べたり呼吸をしたりするのが難しくなります。

この問題は、下顎骨を延長する手術で改善あるいは解消できます。

無顎症

無顎症とは、下あごの一部または全体が欠損している状態で、重度の形成異常です。患児には耳、側頭骨、唾液腺、咀嚼(そしゃく)に使う筋肉、および顔面神経の異常もよくみられます。

無顎症の治療では、骨移植や他の組織の移植を伴う再建手術を行い、顎の見た目と機能を改善します。

上顎低形成

上顎低形成は上あご(上顎骨)の形成不全です。顔の中央が平坦になるため、下あごが突き出たように見えます。

上顎低形成の治療としては、上顎の位置を修正して下顎に合わせる手術を行ったり、歯科矯正用ヘッドギアを使用したりすることがあります。歯科矯正用ヘッドギアとは、一部を口の外側に装着する器具で、噛み合わせの矯正、上あごの歯と顎骨の適正な位置への移動、および顎の適切なアライメントおよび成長の補助を目的に用いられます。

顎の異常の診断

  • 画像検査

これらの異常はすべて、顔面のX線検査CT検査で顎の形成不全の程度を評価することにより診断を下します。

顎の先天異常に遺伝子の異常が関与している可能性があるため、患児は遺伝専門医の診察を受けるべきです。遺伝専門医とは、遺伝学(遺伝子と、特定の性質や形質が親から子にどのように受け継がれるかについての科学)を専門とする医師です。乳児の血液サンプルの遺伝子検査を行い、染色体や遺伝子の異常がないか調べることがあります。この検査は、特定の遺伝性疾患が原因なのかどうかを判断し、他の原因を否定するために役立ちます。遺伝性疾患がある場合、家族には遺伝カウンセリングが有益なことがあります。

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