Consumer edition active

髄膜炎菌ワクチン

執筆者:Margot L. Savoy, MD, MPH, Lewis Katz School of Medicine at Temple University
レビュー/改訂 2024年 4月
プロフェッショナル版を見る

髄膜炎菌ワクチンは、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)による感染症を予防します。髄膜炎菌感染症髄膜炎(脳を覆う組織の感染症)や危険な水準の血圧低下(ショック)につながり、死に至ることもあります。これらの細菌は、小児の細菌性髄膜炎の原因として最も多く、成人の細菌性髄膜炎の原因としては2番目に多いものです。

詳細については、米国疾病予防管理センター(CDC)による髄膜炎菌ワクチン(Meningococcal vaccine)と髄膜炎菌ワクチンの接種:知っておくべきこと(Meningococcal Vaccination: What Everyone Should Know)を参照してください。

予防接種の概要も参照のこと。)

髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)には、いくつかの種類(血清群と呼ばれます)があります。髄膜炎菌ワクチンは、大半の髄膜炎感染症の原因になっている血清群(A群、B群、C群、W群、Y群)を予防します。米国で使用できる髄膜炎菌ワクチンとしては以下の3種類があります。

  • 髄膜炎菌結合型(MenACWY)ワクチン:結合型ワクチン(MCV4と呼ばれ、A群、C群、W群、Y群の感染を予防します)で、生後9カ月の乳児から55歳までの成人に適していて、小児の定期予防接種に採用されています(CDC:髄膜炎菌ACWYワクチン説明書[CDC: Meningococcal ACWY vaccine information statement]を参照)。

  • B群髄膜炎菌(MenB)ワクチン:組換えタンパク質ワクチンで、大学生の集団発生で多くみられるようになった髄膜炎菌の一種による感染症の予防に用いられます(CDC:B群髄膜炎菌ワクチン説明書[CDC: Meningococcal B vaccine information statement]を参照)。

  • 5価(MenABCWY)ワクチン:結合型の組換えタンパク質混合ワクチンで、同じ日にMenACWYとMenBの両方を別々に接種する代わりに使用されます。

髄膜炎菌ワクチンの接種

MCV4ワクチンは、小児向けに推奨される定期予防接種に組み込まれています(CDC:年齢別の小児および青年向け予防接種スケジュール[CDC: Child and Adolescent Immunization Schedule by Age]を参照)。筋肉内への注射で2回接種します。11~12歳時に初回接種を、16歳時に2回目の接種を行います。

また、髄膜炎菌感染症のリスクが高い小児には、より低い年齢でこのワクチンの接種を受けることが推奨されています。例えば、脾臓(ひぞう)がないか、脾臓がうまく機能していない小児や特定の免疫不全疾患がある小児などが該当します。ワクチン接種が可能な最低年齢は、使用する製剤により生後6週から生後9カ月まで様々です。

MenBワクチンは、筋肉内への注射で2回接種します。このワクチンはリスクの高い特定の病態がある10歳以上の人に接種できます。しかし、リスクの高い特定の病態がなく、感染するリスクが高くない場合でも、16~23歳の希望者に接種できます。ワクチンは16~18歳時に接種するのが理想です。

髄膜炎菌ワクチンは、以下の青年や成人にも推奨されています。

  • 脾臓がない人や脾臓がうまく機能していない人(鎌状赤血球症の人など)

  • HIV感染症の人

  • 特定の免疫不全疾患の患者

  • エクリズマブまたはラブリズマブ(補体系を阻害する薬剤)を使用している人

  • 日常的に細菌を扱っている微生物研究者

  • 青年(未接種の場合)

  • 16歳の誕生日以降にワクチン接種を受けておらず、学生寮で生活している21歳以下のすべての大学1年生

  • すべての軍隊の新兵

  • この感染症の流行地域への旅行者と流行地域の居住者

  • 髄膜炎の流行にさらされた人

  • 55歳以上の人で髄膜炎菌感染症にかかるリスクがあり、過去にワクチン接種を受けたことがなく、1回の接種で済む場合(例、旅行者)

MenACWYワクチンとMenBワクチンを1回の来院で接種する予定の10歳以上の人に対して、MenABCWYが単回接種されることがあります。

対象者が一時的に病気にかかっている場合、ワクチンの接種はその病気が治まるまで待つのが通常です(CDC:ワクチン接種を受けるべきでない人[CDC: Who Should NOT Get Vaccinated With These Vaccines?]も参照)。

髄膜炎菌ワクチンの副作用

注射部位が赤くなり、痛み、腫れが生じることがあります。頭痛を感じて疲労感を覚える人もいます。少数ながら発熱もみられます。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国疾病予防管理センター(CDC):髄膜炎菌ワクチンの接種(Meningococcal Vaccination

  2. CDC:髄膜炎菌ACWYワクチン説明書(Meningococcal ACWY vaccine information statement

  3. CDC:髄膜炎菌Bワクチン説明書(Meningococcal B vaccine information statement

  4. CDC:これらのワクチンを使用すべきでない人(Who Should NOT Get Vaccinated with these Vaccines?

  5. 欧州疾病予防管理センター(ECDC):髄膜炎菌感染症:推奨されるワクチン接種(Meningococcal Disease: Recommended vaccinations

quizzes_lightbulb_red
医学知識をチェックTake a Quiz!
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS