RSウイルス感染症は、呼吸器感染症の非常に一般的な原因であり、特に小児でよく発生します。RSウイルスによる呼吸器感染症は乳児と高齢者では重篤化する可能性があるため、これらの人々がRSウイルスによる呼吸器感染症に罹患するのを予防するために、妊婦と60歳以上の成人に対してRSウイルスワクチンの接種が推奨されています。
詳細については、予防接種諮問委員会のRSウイルスワクチンに関する勧告(RSV Advisory Committee on Immunization Practices Vaccine Recommendations)と米国疾病予防管理センター(CDC):RSウイルスの予防接種(Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Respiratory Syncytial Virus (RSV) Immunizationsを参照してください。
(予防接種の概要も参照のこと。)
RSウイルスワクチンの接種
RSウイルスワクチン(ファイザー社製)は、米国本土の大半の地域で、9月から1月にかけて妊娠32~36週の時期にある妊婦が対象とされます。RSウイルスの季節性が米国本土の大半の地域とは異なる場所(例、アラスカ州、熱帯地域)では、接種時期は現地のRSウイルスの季節性に基づいて設定されています。妊娠中にワクチンを接種すると、防御抗体が胎盤を通じて母親から胎児に移行するため、出生から約6カ月間にわたって新生児をRSウイルスから保護する効果があります。ワクチン接種は、過去のRSウイルス感染歴に関係なく受けるべきです。
RSウイルスワクチン(ファイザー社製またはグラクソ・スミスクライン社製)は60歳以上の成人に使用でき、ワクチンの接種を受けるかどうかは、医療専門職と話し合って共同で決定するべきです。高齢者の中でもワクチン接種が有益となる可能性が最も高いのは、以下のような慢性疾患を有する人など、RSウイルス感染症の重症化のリスクが高いと考えられる人です。
肺疾患
心血管疾患
神経疾患または神経筋疾患
腎疾患
肝疾患
血液疾患
糖尿病
中等度または重度の易感染状態(医学的な状態か免疫抑制薬または免疫抑制療法のいずれかに起因する)
フレイルの状態にある人、高齢者、介護施設やその他の長期療養施設に居住している人も、RSウイルス感染症が重症化するリスクが高いです。
RSウイルスワクチンの副作用
副作用としては、注射部位の痛み、疲労、筋肉痛、頭痛、関節のこわばりなどがあります。
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
予防接種諮問委員会(ACIP):予防接種諮問委員会のRSウイルスワクチンに関する勧告(RSV Advisory Committee on Immunization Practices Vaccine Recommendations)
米国疾病予防管理センター(CDC):RSウイルスの予防接種(Respiratory Syncytial Virus (RSV) Immunizations)