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線維筋性異形成

執筆者:Koon K. Teo, MBBCh, PhD, McMaster University
レビュー/改訂 修正済み 2023年 7月
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線維筋性異形成は、動脈壁が異常に厚くなる病気で、動脈硬化や炎症とは関連しませんが、動脈の狭窄や閉塞を引き起こします。

線維筋性異形成は、閉塞性の末梢血管疾患の一種です。

線維筋性異形成は、通常は40~60歳の女性に発生します。原因は不明です。しかし、おそらく遺伝的要素があり、喫煙は危険因子であると考えられます。線維筋性異形成は、特定の結合組織疾患(エーラス-ダンロス症候群、嚢胞性中膜壊死[大動脈の壁が変性する病気]、遺伝性腎炎神経線維腫症など)がある人でより多くみられます。

線維筋性異形成は、腎臓への動脈(腎動脈)、脳への動脈(頸動脈および頭蓋内動脈)、胃および腸への動脈(腹腔動脈および腸間膜動脈などの腹腔内動脈)、大動脈下部で枝分かれして脚につながる動脈(外腸骨動脈)に影響を及ぼすことがあります。線維筋性異形成は複数の動脈で起こる場合もあります。

線維筋性異形成は通常、その発生部位にかかわらず、症状を引き起こしません。症状が起きる場合、具体的な症状は場所によって異なります。

  • 頸動脈:一過性脳虚血発作または脳卒中の症状(発話困難、筋力低下、片側麻痺、視覚障害など)

  • 腹腔内動脈:嘔吐または腹痛(まれ)

  • 頭蓋内動脈:脳動脈瘤と類似した症状(頭痛、眼の上および奥の痛み、しびれ、筋力低下、体の片側の麻痺、視覚障害など)

  • 脚の動脈:脚の筋肉のうずくような痛み、けいれん、疲労感(跛行[はこう])、動脈の狭窄部を血液が通過することで起こる異常な音が聴診器で聴こえる(血管雑音)、大腿静脈の脈が弱くなる

  • 腎動脈:高血圧

超音波検査により線維筋性異形成の診断が示唆される場合がありますが、診断の確定には血管造影検査を行います。

線維筋性異形成の治療

  • 血管形成術、手術、動脈瘤の修復

治療法は場所によって異なります。血管形成術、バイパス手術(図「脚のバイパス手術」を参照)、または動脈瘤の修復が行われることがあります。

禁煙が重要です。

動脈硬化によっても動脈は閉塞することから、線維筋性異形成があり、動脈硬化の危険因子(高血圧血中コレステロール高値糖尿病など)もある人は、これらの病気も治療する必要があります。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. バスキュラーキュアズ:線維筋性異形成(Vascular Cures: Fibromuscular dysplasia):線維筋性異形成の概要と、この病気になった人に向けた情報

  2. 米国線維筋性異形成学会(Fibromuscular Dysplasia Society of America:FMDSA):線維筋性異形成に関する包括的な資料と、診断を改善し、この病気をもつ人々を支えていくための情報源が提示されている

  3. 米国国立衛生研究所:米国国立神経疾患・脳卒中研究所:線維筋性異形成(National Institutes of Health: National Institute of Neurological Disorders and Stroke: Fibromuscular Dysplasia):線維筋性異形成の概要と症状およびこの病気とともに生きることに関する情報

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