肢端紅痛症

執筆者:Koon K. Teo, MBBCh, PhD, McMaster University
レビュー/改訂 2021年 5月
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肢端紅痛症とは、皮膚の細動脈が周期的に拡張して、焼けつくような痛みや熱感を引き起こし、足と、より頻度は低いものの手が赤くなる、まれな症候群です。

肢端紅痛症は機能性の末梢動脈疾患の一種です。通常、肢端紅痛症の原因は不明です。原因不明の肢端紅痛症は、20歳以上で発生する傾向があります。まれにみられる遺伝性の肢端紅痛症は、出生時や小児期に発生します。

頻度は低いものの、この病気はニフェジピン(高血圧の治療に用いられる薬)やブロモクリプチン(パーキンソン病などの病気の治療に用いられる薬)などの薬剤の使用が関係している場合もあります。

肢端紅痛症は以下の病気がある人でも起こります。

肢端紅痛症は通常、原因になっている病気が診断される2~3年前に発生します。

症状は手や足の焼けつくような痛みで、熱感と発赤を伴います。痛みの発作は外気温が約29℃を超えると生じます。症状は何年間も軽度のままであることもあれば、進行して日常生活がまったく送れなくなるほど重症化することもあります。

肢端紅痛症の診断は、症状と皮膚温の上昇に基づいて下されます。原因を特定するための補助として、通常は血算などの検査を行います。小児期に症状が現れた場合、遺伝子検査により遺伝性の肢端紅痛症の診断を確定することができます。この病気を発症した人は、50%の確率で子どもに遺伝するため、遺伝カウンセリングを受けるべきです。

肢端紅痛症の治療

  • 暑さを避ける

  • 症状の緩和

肢端紅痛症の治療としては、暑さにさらされないようにして、安静を保ち、腕や脚を上げた状態にし、腕や脚をアイスパックで冷やしたり、冷水に浸したりします。これらの治療法で、症状が軽減し、発作が予防されることもあります。

肢端紅痛症をもたらしている病気が分かっている場合は、その病気を治療することによって症状は軽減する可能性があります。原因になっている病気が特定できない場合は、ガバペンチンで症状が軽減する場合があります。骨髄増殖性疾患が原因である場合には、アスピリンが役に立つ可能性があります。

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