ニーマン-ピック病は,スフィンゴミエリナーゼ活性の欠乏によって生じるスフィンゴリピドーシス(遺伝性代謝疾患の1つ)であり,網内系細胞へのスフィンゴミエリン(セラミドホスホリルコリン)の蓄積を引き起こす。診断はDNA解析および/または白血球の酵素分析による。骨髄移植,造血幹細胞移植,および酵素補充療法が治療の選択肢となる可能性がある。
詳細については,主なスフィンゴリピドーシスおよびその他のリピドーシスの表を参照のこと。
遺伝性代謝疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。
ニーマン-ピック病の遺伝形式は常染色体潜性(劣性)で,アシュケナージ系ユダヤ人で最も頻度が高く,A型とB型が存在する。C型のニーマン-ピック病は,これらと無関係な酵素欠損症であり,コレステロールの異常蓄積を引き起こす。
A型の患児では,スフィンゴミエリナーゼ活性が正常値の5%未満である。この疾患は,肝脾腫,発育不良,急速進行性の神経変性を特徴とする。2歳または3歳までに死亡する。
B型の患者では,スフィンゴミエリナーゼ活性が正常値の5~10%である。B型はA型よりも臨床的に多様である。肝脾腫およびリンパ節腫脹がみられることもある。汎血球減少がよくみられる。B型の大半の患者では,神経障害がわずかにみられるか,全くみられず,成人期まで生存するため,ゴーシェ病I型と臨床的に鑑別できない場合がある。B型の重症例では,進行性の肺浸潤によって重大な合併症が引き起こされる。
ニーマン-ピック病の診断
出生前スクリーニング
白血球スフィンゴミエリナーゼ定量
両病型とも通常は病歴および診察(肝脾腫が最も顕著)から疑われる。ニーマン-ピック病の診断は,DNA解析および/または白血球でのスフィンゴミエリナーゼ定量により確定でき,羊水穿刺または絨毛採取によって出生前診断が可能である。保因者の診断にはDNA解析が行われることもある。(遺伝性代謝疾患が疑われる場合の検査も参照のこと。)
ニーマン-ピック病の治療
可能性として骨髄移植,造血幹細胞移植,および酵素補充療法
骨髄移植,造血幹細胞移植,および酵素補充療法が研究段階にあり,将来治療の選択肢となる可能性がある。
より詳細な情報
有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。
Online Mendelian Inheritance in Man® (OMIM®) database: Complete gene, molecular, and chromosomal location information