遺伝性代謝疾患(先天性代謝異常症とも呼ばれる)の大半は,酵素をコードする遺伝子の突然変異によって引き起こされ,酵素の欠損または活性低下により以下の結果をもたらす:
基質またはその代謝物の蓄積
酵素産物の欠乏
何百もの疾患が存在し,遺伝性代謝疾患の大半は個別に見ると極めてまれであるが,全体で見るとまれではない。
遺伝性代謝疾患は通常,病的な代謝基質質によって分類され,具体的には以下のものがある:
米国の全ての州では,特定の遺伝性代謝疾患などの病態について,全ての新生児を対象とした新生児スクリーニングがルーチンに行われており,その対象疾患にはフェニルケトン尿症,チロシン血症,ビオチニダーゼ欠損症,ホモシスチン尿症,メープルシロップ尿症,ガラクトース血症などがある。多くの州では,脂肪酸酸化異常症やその他の有機酸血症など,より多くの遺伝性代謝疾患を対象とする拡大スクリーニングプログラムが実施されている。各疾患の包括的なレビューについては,American College of Medical Genetics and Genomic(ACMG)の新生児スクリーニング行動シートおよびアルゴリズム(newborn screening ACT sheets and algorithms)も参照のこと。
代謝障害の中でも,主として成人期に疾患を引き起こすもの(例,痛風,ポルフィリン症),臓器特異的なもの(例,ウィルソン病,先天性副腎過形成症),および頻度が高いもの(例,嚢胞性線維症,ヘモクロマトーシス)については,本マニュアルの別の箇所で考察されている。リポタンパク質の遺伝性代謝疾患については, see table 遺伝性(原発性)脂質異常症を参照のこと。
より詳細な情報
有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。
American College of Medical Genetics and Genomics' (ACMG): Newborn Screening ACT Sheets and Algorithms
Online Mendelian Inheritance in Man® (OMIM®) database: Complete gene, molecular, and chromosomal location information