亀頭炎は陰茎亀頭の炎症,包皮炎は包皮の炎症,亀頭包皮炎は両者の炎症である。
陰茎頭部の炎症は大半が不衛生な人に発生している。原因としては,感染性と非感染性の両方がある(陰茎炎症の原因の表を参照)。原因はしばしば発見できないことがある。
亀頭炎は,包皮切除を受けた患者を除き,通常は包皮炎をもたらす。
以下の病態は亀頭包皮炎の素因となる:
包茎(包皮の緊張が強く,翻転ができないもの)
包茎は十分な衛生状態の維持を妨げる。包皮下の分泌物に嫌気性細菌が感染して,炎症の原因となることがある。
慢性亀頭包皮炎は以下のリスクを高める:
亀頭炎,包皮炎,および亀頭包皮炎の症状と徴候
しばしば疼痛,刺激感,および包皮下分泌物が性交の2~3日後に生じる。その後,包茎,表在性潰瘍,および鼠径リンパ節腫脹が起こることがある。
亀頭炎,包皮炎,および亀頭包皮炎の診断
臨床的評価および選択的検査
病歴には,ラテックス製コンドーム使用の有無を含めるべきである。皮膚を診察して,性器を侵す可能性がある皮膚疾患を示唆する病変がないか調べるべきである。感染性の原因と非感染性の原因の両方,特にカンジダ症に対する検査を行うべきである。血液検査を行って,空腹時血糖値および糖化ヘモグロビン(HbA1C)を測定すべきである。
亀頭炎,包皮炎,および亀頭包皮炎の治療
衛生対策と特異的な原因の治療
ときに包皮下の洗浄
ときに環状切除術
衛生処置を開始し,特異的な原因に対する治療を行うべきである。分泌物および退廃物を除去するための包皮下の洗浄が必要になることがある。炎症が寛解した後も包茎が持続する場合は,環状切除術を考慮すべきである。環状切除術は亀頭炎のリスクを低下させ,HIV陽性女性と性交する男性においてHIV感染のリスクを約50~60%低下させるようである(1)。
治療に関する参考文献
1.Auvert B, Taljaard D, Lagarde E, et al: Randomized, controlled intervention trial of male circumcision for reduction of HIV infection risk: The ANRS 1265 Trial.PLoS Med 2(11):e298, 2005. doi: 10.1371/journal.pmed.0020298