糖尿病

執筆者:Erika F. Brutsaert, MD, New York Medical College
レビュー/改訂 2022年 9月
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糖尿病はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリン,経口血糖降下薬,およびインスリン以外の注射薬などがある。合併症は十分な血糖コントロールにより遅延または予防できるが,心疾患は依然として糖尿病における死因の第1位である。

糖尿病には主に以下の2種類がある:

  • 1型

  • 2型

この2種類の糖尿病はそれぞれ一連の特徴によって鑑別される(1型糖尿病および2型糖尿病の一般的特徴の表を参照)。年齢群および治療は病型で重複するため,発症年齢(若年型または成人型)または治療の種類(インスリン依存性またはインスリン非依存性)による分類用語はもはや使用されていない。

耐糖能障害(impaired glucose regulation)(耐糖能異常[impaired glucose tolerance]または空腹時血糖異常[impaired fasting glucose]―糖尿病および耐糖能障害の診断基準の表を参照)は,正常糖代謝と,加齢に伴ってより頻度の高まる糖尿病との中間にある,過渡期の状態と考えられる。これは糖尿病の有意な危険因子であり,糖尿病発症の何年も前から存在することがある。これは心血管疾患のリスク上昇と関連するが,典型的な糖尿病性微小血管合併症はあまりみられない(アルブミン尿および/または網膜症は6~10%の患者で発生する)。

合併症

長年にわたるコントロール不良の高血糖は,複数の合併症をもたらすが,主なものは血管性の合併症であり,小径血管(微小血管性),大径血管(大血管性),またはその両方が侵される。(さらなる詳細については,糖尿病の合併症を参照のこと。)

以下に挙げる,最も頻度が高く破壊的な糖尿病の3つの臨床像の基礎には,微小血管障害がある:

微小血管障害は皮膚の治癒も阻害する場合があるため,特に下肢では,皮膚にわずかな傷ができただけでも深い潰瘍が生じて容易に感染を起こしうる。徹底した血漿血糖コントロールによってこれらの合併症の多くを予防または遅延できるが,一度生じてしまった合併症は回復しないこともある。

大血管疾患には大血管のアテローム性動脈硬化が関与し,以下の合併症を引き起こす恐れがある:

免疫機能不全はもう1つの主要合併症であり,高血糖が細胞性免疫に直接及ぼす影響に起因する。糖尿病患者は,細菌および真菌感染症に特に罹りやすい。

糖尿病の病因

1型糖尿病

  • 自己免疫性の膵β細胞破壊によるインスリン産生の欠如

1型糖尿病(かつては若年型糖尿病またはインスリン依存性糖尿病と呼ばれていた)では,自己免疫性の膵β細胞破壊が原因でインスリン産生が欠如しており,その誘因はおそらく遺伝的に感受性の高い集団における環境曝露であると考えられる。破壊は数カ月または数年かけて無症状に進行し,血漿血糖値の調節に十分なインスリン濃度を保てなくなるまでβ細胞量が減少する。1型糖尿病は一般に小児期または青年期に発症し,最近までは30歳以前に診断される病型として最も多いものであった;しかし成人で発症することもある(成人潜在性自己免疫性糖尿病[これは,初期には2型糖尿病のように見える場合が多い])。1型糖尿病の一部の症例は,自己免疫性ではないようであり,特発性であると考えられている。1型は糖尿病症例全体の10%未満である。

自己免疫性のβ細胞破壊の病因には,感受性遺伝子,自己抗原,および環境因子の相互作用が関与するが,完全には解明されていない。

感受性遺伝子には,主要組織適合抗原複合体(MHC)内の遺伝子―特にHLA-DR3,DQB1*0201,およびHLA-DR4,DQB1*0302などがあり,これらは90%を上回る1型糖尿病患者に認められる―ならびにMHC以外の遺伝子があり,MHC以外の遺伝子はインスリンの産生およびプロセシングを調節し,MHC遺伝子と呼応して糖尿病のリスクを生むと考えられる。感受性遺伝子は一部の集団では他の集団より多くみられ,1型糖尿病の有病率が一部の民族集団(スカンジナビア人,サルデーニャ人)で高いことをこれにより説明できる。

自己抗原にはグルタミン酸脱炭酸酵素,インスリン,プロインスリン,インスリノーマ関連タンパク質,亜鉛トランスポーターZnT8,およびβ細胞中のその他のタンパク質などがある。β細胞の正常な代謝回転またはβ細胞の傷害(例,感染による)時にこれらのタンパク質が曝露または放出され,主にT細胞性免疫反応を活性化することでβ細胞を破壊する(膵島炎)と考えられている。グルカゴン分泌α細胞は傷害されない。自己抗原に対する抗体は血清中に検出され,β細胞破壊に対する反応(原因ではなく)であると考えられる。

数種のウイルス(コクサッキーウイルス,風疹ウイルス,サイトメガロウイルス,エプスタイン-バーウイルス,およびレトロウイルスを含む)は1型糖尿病の発症と関連づけられている。ウイルスはβ細胞に直接感染して破壊することもあれば,自己抗原を表出させる,自己反応性リンパ球を活性化する,免疫反応を刺激する自己抗原と類似の分子配列をもつ(分子擬態[molecular mimicry]),またはその他の機序によって間接的にβ細胞破壊を引き起こすこともある。

食事も要因の1つでありうる。乳児の乳製品(特に牛乳および乳タンパク質βカゼイン)への曝露,飲水中の高濃度硝酸塩,およびビタミンD摂取不足は1型糖尿病のリスク上昇と関連づけられている。早期(< 4カ月)または後期(> 7カ月)にグルテンおよび穀物に曝露すると膵島細胞自己抗体の産生が増加する。これらが関連する機序は不明である。

2型糖尿病

  • インスリンに対する抵抗性

2型糖尿病(従来は成人型糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病と呼ばれた)では,患者にインスリンに対する抵抗性が発生しているため,インスリン分泌が不十分な状態となる。肝臓でインスリン抵抗性が上昇すると,肝臓でのグルコース産生を抑制できなくなり,また末梢インスリン抵抗性により末梢でのグルコース取り込みが阻害される。これらが組み合わさり,空腹および食後高血糖が生じる。インスリン濃度は,特に疾患の初期では,非常に高値になることが多い。疾患の後期では,インスリン産生は減少し,高血糖をさらに増悪させる場合がある。

2型糖尿病は一般に成人で発生し,加齢に伴いより頻度が高まっていき,65歳以上の成人では最大3分の1に耐糖能異常がみられる。比較的高齢の成人では,若年成人と比較して,食後,特に大量の炭水化物を摂取した後の血漿血糖値がより高値に達する。血糖値が正常範囲に戻るのにもより時間がかかり,この原因の一部には,内臓脂肪および腹部脂肪の蓄積増加および筋肉量の減少がある。

小児肥満が蔓延しているために,小児における2型糖尿病の頻度もますます高まってきている。糖尿病を有する成人の > 90%が2型である。2型糖尿病の有病率がアフリカ人系,アメリカンインディアン,ヒスパニック,アラスカ原住民,およびアジア系アメリカ人を祖先にもつ人や罹患者の近親者で高いことからわかるように,明らかな遺伝的決定因子が存在する。この数年間でいくつかの遺伝子多型が同定されているが,2型糖尿病の最も多い病型を引き起こす単一の遺伝子は同定されていない。

病因は複雑で,完全には解明されていない。インスリン分泌によってインスリン抵抗性を代償できなくなると高血糖が生じる。2型糖尿病患者およびそのリスクを有する患者ではインスリン抵抗性が特徴的であるが,以下のようなβ細胞の機能障害およびインスリン分泌障害が時間とともに進行することを示すエビデンスも存在する:

  • 第1相のインスリン分泌障害

  • 正常な拍動性のインスリン分泌の喪失

  • プロインスリン分泌シグナルの増加(インスリンのプロセシング障害を示す)

  • 膵島アミロイドポリペプチド(正常でインスリンとともに分泌されるタンパク質)の蓄積

高血糖はβ細胞の脱感作,β細胞の機能不全(糖毒性),またはその両方を引き起こすため,高血糖自体がインスリン分泌を障害する可能性がある。

肥満および体重増加は2型糖尿病におけるインスリン抵抗性の重要な決定因子である。肥満や体重増加には遺伝的決定因子も存在するが,食事,運動,および生活習慣も反映される。脂肪組織で脂肪分解の抑制ができなくなると,遊離脂肪酸の血漿中濃度が上昇し,それによりインスリン刺激性グルコース輸送および筋肉でのグリコーゲン合成酵素活性が阻害されることがある。脂肪組織は内分泌器官として機能し,糖代謝に有利(アディポネクチン)または不利(腫瘍壊死因子α,インターロイキン6,レプチン,レジスチン)な影響を及ぼす複数の因子(アディポサイトカイン)を放出する。

胎児発育不全および低出生体重もその後の生涯におけるインスリン抵抗性と関連があるとされており,出生前の有害な環境がグルコース代謝に及ぼす影響を反映している可能性がある。

糖尿病の様々な病型

その他の様々な病型の糖尿病が症例のごく一部でみられる。原因としては以下のものがある:

  • β細胞機能,インスリン作用,およびミトコンドリアDNAに影響を及ぼす遺伝子異常(例,若年発症成人型糖尿病,新生児糖尿病)による単一遺伝子糖尿病

  • 膵臓の病態(例,嚢胞性線維症膵炎ヘモクロマトーシス,膵摘出)

  • 内分泌障害(例,クッシング症候群先端巨大症

  • 薬剤,特にグルココルチコイド,β遮断薬,プロテアーゼ阻害薬,非定型抗精神病薬,免疫チェックポイント阻害薬,およびカルシニューリン阻害薬

妊娠すると全ての女性である程度のインスリン抵抗性が生じるが,妊娠糖尿病を発症するのはごく少数のみである。

表&コラム
表&コラム

糖尿病の症状と徴候

糖尿病の最も一般的な症状は,高血糖による症状である。初期の糖尿病の軽度高血糖はしばしば無症状であり,そのため,ルーチンのスクリーニングが行われなければ診断が何年も遅れる場合がある。

高血糖がより顕著になると,糖尿ひいては浸透圧利尿が生じ,これにより頻尿,多尿,多飲を来し,ここから起立性低血圧脱水へと進行しうる。重度の脱水は脱力,疲労,および精神状態の変化を引き起こす。症状は血漿血糖値の変動につれて出現したり消失したりする。

過食は高血糖の随伴症状であるが,通常患者はそれほど気にしていない。高血糖は体重減少,悪心・嘔吐,および霧視を引き起こすことがあり,また細菌や真菌に感染しやすくなる。

1型糖尿病患者は典型的には症候性の高血糖を呈し,ときに糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)もみられる。一部の患者は,糖尿病の急性発症に続いてハネムーン期(血糖値が正常範囲近くとなる長いが一過性の時期)を経験するが,これはインスリン分泌の部分的な回復によるものである。

2型糖尿病患者は症候性の高血糖を呈することもあるが,しばしば無症状であり,病状はルーチンの検査でのみ検出される。初期症状が糖尿病合併症の症状である患者もおり,この場合糖尿病がしばらく持続していたことが示唆される。一部の患者では高浸透圧性高血糖状態が初期にみられ,これは特にストレス下や,コルチコステロイドなどの薬剤によって糖代謝がさらに障害されたときに生じる。

糖尿病の診断

  • 空腹時血漿血糖値(FPG)

  • 糖化ヘモグロビン(HbA1C)

  • ときに経口ブドウ糖負荷試験

糖尿病は典型的な症状および徴候によって示唆され,血漿血糖測定によって確定される(1, 2)。しばしばスクリーニングにより発見される。

8~12時間絶食後の測定(FPG)または高濃度ブドウ糖液摂取2時間後の測定(経口ブドウ糖負荷試験[OGTT])が望ましい(糖尿病および耐糖能障害の診断基準の表を参照)。OGTTによる糖尿病および耐糖能異常の診断感度はFPGよりも高いが,FPGに比べて不便で再現性も低い。そのため,妊娠糖尿病の診断および研究目的以外でルーチンに用いられることはまれである。

臨床では,糖尿病または空腹時血糖異常(impaired fasting glucose)は,血漿血糖またはHbA1Cの随時測定を用いて診断されることが多い。随時血糖値が200mg/dL(11.1mmol/L)を上回れば診断に有用でありうるが,この値は採血前の食事に影響されることがあり,検査を繰り返して確認しなければならない;糖尿病症状の存在下では2回検査することは不要かもしれない。

HbA1Cは,糖に化学的に結合したヘモグロビンの一種であり,血糖の増加に伴って増加し,過去3カ月間の平均血糖値との関係が証明されている。現在の糖尿病の診断基準には,以下のHbA1C測定値がある:

  • HbA1C 6.5% = 糖尿病

  • HbA1C 5.7~6.4% = 前糖尿病状態(prediabetes)または糖尿病のリスク

しかしながら,HbA1Cは血糖値の間接的な指標に過ぎず,偽高値または偽低値を示すことがあり(モニタリングを参照),人種/民族によってばらつきがある可能性もある。検査は,認定された臨床検査機関で,認定および標準化された測定法により実施しなければならない。HbA1Cのポイントオブケア測定は糖尿病コントロールのモニタリングに用いることができるが,診断に使用すべきではない。

尿糖測定は以前は一般的に使用されていたが,感度も特異度も高くないため,診断やモニタリングにはもはや使用されていない。

パール&ピットフォール

  • HbA1Cのポイントオブケア検査は,糖尿病の初回診断に使用できるほど正確ではない。

表&コラム
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糖尿病のスクリーニング

糖尿病のリスクが高い人には糖尿病のスクリーニングを施行すべきである。

1型糖尿病の高リスク者(例,1型糖尿病患者の同胞および子)では,膵島細胞抗体または抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体の有無を検査する場合があり,これらの抗体は疾患が臨床的に発症する前からみられる。しかし,高リスク者に対する予防効果が証明された方策はなく,そのためこのようなスクリーニングの施行は通常は研究目的に限られている。

2型糖尿病の危険因子としては以下のものがある:

  • 35歳以上

  • 過体重または肥満

  • 座位時間の長い生活習慣

  • 2型糖尿病の家族歴

  • 耐糖能障害(前糖尿病状態)の既往

  • 妊娠糖尿病または4.1kgを超える新生児の分娩

  • 高血圧

  • 脂質異常症(高比重リポタンパク質[HDL]コレステロール < 35mg/dL[0.9mmol/L]またはトリグリセリド > 250mg/dL[2.8mmol/L])

  • 心血管疾患の既往

  • 多嚢胞性卵巣症候群

  • アフリカ系,ヒスパニック,アジア系アメリカ人,またはアメリカンインディアン系の人種または民族

  • 脂肪性肝疾患

  • HIV感染症

35歳以上の成人と上述した付加的な危険因子がある全ての成人には,FPG値,HbA1C,または75gOGTT2時間値による糖尿病スクリーニングを実施すべきであり,血漿血糖値が正常範囲内であれば3年に1回以上,空腹時血糖異常(impaired fasting glucose)があれば年1回以上の頻度で行う(糖尿病および耐糖能障害の診断基準の表を参照)。

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糖尿病の合併症のスクリーニング

全ての1型糖尿病患者では診断の5年後から糖尿病合併症のスクリーニングを開始すべきである。2型糖尿病患者では診断時からスクリーニングを開始する。合併症の典型的なスクリーニングには以下のものがある:

  • 足の診察

  • 眼底検査

  • 尿検査でアルブミン尿の有無を確認する

  • 血清クレアチニンおよび脂質プロファイルの測定

足の診察は少なくとも年に1回は行うべきであり,末梢神経障害の特徴である圧覚,振動覚,痛覚,または温度覚の障害がないか確認する。圧覚はモノフィラメントの知覚テスターを用いるのが最善である(糖尿病患者の足のスクリーニングの図を参照)。足全体,特に中足骨頭下の皮膚に,ひび割れや虚血徴候(潰瘍形成,壊疽,爪真菌感染症,脈拍減弱,および脱毛)がないかを調べる。

眼底検査は眼科医が行うべきである;一般的なスクリーニングの頻度としては,何らかの網膜症がある患者では年1回,前回の検査で網膜症が認められなかった患者では2年毎とする。網膜症の進行を認めれば,より頻繁な評価が必要になることがある。

アルブミン尿を検出するため年1回の随時尿検査または24時間尿検査の適応があり,また血清クレアチニンを年1回測定して腎機能を評価すべきである。

心疾患のリスクがあるため,多くの医師はベースライン時の心電図を重要視する。脂質プロファイルを少なくとも年1回,異常があるときにはそれよりも頻繁に確認すべきである。血圧は診察時に毎回測定すべきである。

糖尿病患者管理用計算ツール

診断に関する参考文献

  1. 1.American Diabetes Association: Standards of Medical Care in Diabetes.Diabetes Care 44 (Supplement 1): 1-259, 2022.

  2. 2.Holt RIG, DeVries JH, Hess-Fischl A, et al: The management of type 1 diabetes in adults.A consensus report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD).Diabetologia 64(12):2609–2652, 2021. doi: 10.1007/s00125-021-05568-3

糖尿病の治療

  • 食事および運動

  • 1型糖尿病の場合,インスリン

  • 2型糖尿病の場合,経口血糖降下薬,グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬の注射用製剤,インスリン,またはこれらの組合せ

  • 合併症の予防には,しばしばレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬)およびスタチン

全ての患者で重要となる治療の要素は,患者教育,食事療法,運動,減量,および血糖コントロールのモニタリングである。1型糖尿病患者はインスリンを必要とする。2型糖尿病患者の一部で,食生活の改善と運動で血漿血糖値を維持できる場合は,薬物療法を回避または中止できることがある。詳細な議論については,糖尿病の薬物療法を参照のこと。

耐糖能障害の患者は,糖尿病発症のリスクについて,また糖尿病予防のためにいかに生活習慣の改善が重要であるかについて,カウンセリングを受けるべきである。このような患者では,糖尿病症状の発生または血漿血糖値の上昇がないか綿密にモニタリングすべきである。理想的なフォローアップ間隔は決定されていないが,年1回または2回の検査がおそらく適切である。

様々な糖尿病予防薬の評価が行われている。メトホルミンは安全で費用対効果が高く,糖尿病の予防について最も強力なエビデンスがある。食事療法および生活習慣の改善がうまくいかない場合,特に糖尿病発症リスクが非常に高い患者(BMI 35または妊娠糖尿病の既往)に考慮することができる。

薬物治療の概要

糖尿病の薬物治療も参照のこと。)

全ての1型糖尿病患者インスリン療法を必要とする。目標は,basal-bolusインスリン療法を用いて糖尿病ではない人のインスリン分泌パターンの再現を試みることである。basal-bolus療法では,より作用時間の長いインスリン(またはポンプによる超速効型インスリンの持続皮下投注入)を用いることにより,基礎インスリン産生パターンを模倣して肝臓でのグルコース産生(特に空腹時)を抑制し,食前により作用時間の短いインスリンを用いて食後血糖値の急上昇をコントロールする。

スライディングスケールによるインスリン療法とは,患者の血漿血糖値に応じて食前および就寝時に様々な用量で超速効型インスリンを投与する戦略である。しかしながら,スライディングスケールによるインスリン投与レジメンは,単独レジメンとしては1型糖尿病患者および大半の2型糖尿病患者において正常血糖値を維持する上で効果的な戦略ではない。

血漿血糖値の上昇が軽度である2型糖尿病患者には食事療法および運動療法を試みるよう指示すべきであり,生活習慣の改善で不十分であれば続いてインスリン以外の経口血糖降下薬(多くの場合メトホルミン)を1つ処方する。診断時に比較的顕著な血糖上昇がみられる患者,またはHbA1C値が目標値より1.5~2.0%高い患者では,早期に併用療法および/またはインスリン療法を開始すべきである。目標およびモニタリングについては後述する。

動脈硬化性心血管疾患,心不全,または慢性腎臓病のない患者では,薬剤の選択にあたり,しばしば有害作用,簡便性,費用,および患者の希望に配慮する必要がある。通常,費用対効果および安全性プロファイルの点から,最初に使用する経口薬としてメトホルミンが選択される。グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)受容体作動薬は,2型糖尿病においてメトホルミンの次に使用される効果的な第2選択薬であり,インスリンより効果的な可能性があり,インスリンへの追加療法として使用しても効果的である。肥満患者には,GLP-1受容体作動薬による減量効果,またはデュアルGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)/GLP-1受容体作動薬であるチルゼパチドの使用も有益となりうる。

動脈硬化性心血管疾患の患者では,ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬またはGLP-1受容体作動薬が推奨されることがあるが,その理由は,これらのクラスの薬剤が主要心血管イベント(例,心筋梗塞,脳卒中)および心血管死亡を減少させるというエビデンスのためである。慢性腎臓病または心不全を有する禁忌のない患者では,SGLT2阻害薬が疾患の進行および死亡率を低下させる可能性があるため,推奨される。GLP-1受容体作動薬およびピオグリタゾンは,非アルコール性脂肪性肝疾患または非アルコール性脂肪肝炎の患者に使用できる。

2型糖尿病を有する妊娠中の女性,および高浸透圧性高血糖状態または糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)などの急性代謝代償不全を呈する患者では,初期治療としてインスリンが適応となる。進行中の異化亢進所見(体重減少)もしくは高血糖の症状(すなわち,多尿,多飲)がみられる患者,および/またはHbA1C値 > 10%かつ血糖値 ≥ 300mg/dL(16.6mmol/L)の患者では,インスリンを考慮すべきである。重度の高血糖がある患者は,インスリン投与により血糖値を正常化した後の方が,治療によりよく反応する場合がある。

患者教育

ケアを最適化する上で教育の役割は極めて重要である。教育には以下に関する情報提供を含めるべきである:

  • 糖尿病の原因

  • 食事

  • 運動

  • 薬剤

  • 指先採血による自己モニタリングまたは持続血糖測定

  • HbA1Cのモニタリング

  • 低血糖,高血糖,および糖尿病合併症の症状と徴候

大半の1型糖尿病患者には,血糖値および炭水化物の摂取量に基づくインスリン用量の調節方法を指導する。診察毎および入院毎に教育を強化すべきである。糖尿病専門看護師および栄養士によって一般に行われる正規の糖尿病教育プログラムは,非常に効果的であることが多く,糖尿病の転帰を改善することが証明されている。

食事

食事を個人の状況に合わせて調整することは,血糖値変動の調節に有用な場合があり,2型糖尿病患者では体重を減らす上でも役立つ可能性がある。食事に関する推奨事項は,患者の好み,希望,文化,および目標に基づいて個別化し,併存疾患の要求に応じて調整すべきである。炭水化物,タンパク質,または脂肪から摂取すべきカロリーの割合に関する推奨はない。加工食品よりもホールフードに富んだ食事を摂取するよう患者を教育すべきである。炭水化物は質が高く,十分な量の繊維,ビタミン,およびミネラルを含み,添加された砂糖,脂肪,およびナトリウムが少ないものを摂取すべきである。一部の成人では,低炭水化物食または超低炭水化物食の実践により血糖値を低下させ,血糖降下薬を減量することができるが,その便益は長期的には維持されない可能性がある。

1型糖尿病患者は,炭水化物の摂取量に合わせてインスリン用量を調節し,生理的なインスリン補充に役立てるために,カーボカウントまたはcarbohydrate exchange systemを使用すべきである。食事中の炭水化物量の「カウント」を行い,食前のインスリン用量を算出する。例えば,炭水化物対インスリン比(CIR)を15グラム:1単位とする場合,食事中の炭水化物15gにつき1単位の超速効型インスリンを必要とする。この比は患者のインスリン感受性に応じてかなり異なり,患者毎に個別化し,時間の経過とともに調整する必要がある。タンパク質または脂肪の多い食事はインスリン必要量を増加させる可能性があり,用量調節が必要になる場合があることについて患者への教育を行うべきである。このアプローチには詳細な患者教育が必要であり,糖尿病患者の扱いに長けた栄養士が指導を行うことで成功率が最も高くなる。急速に代謝される炭水化物とゆっくり代謝される炭水化物を区別できるよう,グリセミック指数(炭水化物を含む食事が血糖値に与える影響の指標)の使用を勧める専門家もいるが,このアプローチを支持するエビデンスはほとんどない。

1型糖尿病でも2型糖尿病でも,診察の補完する形で栄養士による栄養指導を行うべきであり,指導には患者だけでなく患者の食事を用意する者も参加すべきである。

運動

身体活動量は,患者が耐えられる最大レベルにまで徐々に増加させるべきである。有酸素運動とレジスタンス運動はいずれも2型糖尿病において血糖コントロールを改善することが証明されており,レジスタンス運動と有酸素運動を組み合わせれば,いずれか1つだけを行った場合より高い効果が得られることを示す複数の研究がある。また,1型糖尿病では,運動により死亡率が低下し,HbA1Cが改善することが示されている。身体制限のない糖尿病の成人は,150分/週以上の運動を(少なくとも3日間に分けて)行うべきである。食事に対する運動のタイミング,運動の持続時間,強度および種類に応じて,運動は血糖値に様々な影響を及ぼす。特に1型糖尿病患者では,運動が低血糖につながる可能性がある。したがって,運動の直前および直後に血糖値をモニタリングすべきである。運動前の血糖値の目標範囲は90~250mg/dL(5~14mmol/L)とすべきである。

運動中に低血糖症状を来す患者には,血糖値を測定し,必要に応じて炭水化物を摂取するかインスリンの用量を減らすことで,運動直前の血糖値が正常範囲をわずかに上回るようになるよう指導する。激しい運動中に生じる低血糖では,運動中に炭水化物,典型的には5~15gのショ糖または他の単糖の摂取を要することもある。

心血管疾患が診断されている,または疑われる患者では,運動プログラム開始前に運動負荷試験を行うのが有益な場合がある。神経障害および網膜症などの糖尿病合併症を有する患者では活動目標の修正を要することがある。

減量

肥満のある糖尿病患者には,できれば体重減少を促す血糖降下薬(例,GLP1受容体作動薬,SGLT-2阻害薬,またはデュアルインクレチン作動薬),あるいは体重増加作用のない血糖降下薬(ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬,メトホルミン)を処方すべきである(詳細については糖尿病の薬物治療を参照)。高用量で体重減少に使用される2つのGLP-1受容体作動薬(セマグルチド2.4mg,リラグルチド3mg)は,糖尿病治療に使用される用量でも有意な体重減少と関連している。

オルリスタット,フェンテルミン(phentermine)/トピラマート,ナルトレキソン/ブプロピオンなどのその他の減量効果のある薬剤は,選択された患者における包括的な減量プログラムの一環として有用な場合がある。腸管リパーゼ阻害薬オルリスタットは食物中の脂肪の吸収を抑制し,血清脂質値を低下させて体重減少を促す。フェンテルミン(phentermine)/トピラマートは,脳内の複数の機序を介して食欲を減退させる合剤である。これらの薬剤の多くは,HbA1Cも低下させることが示されている。

セルロースおよびクエン酸を含有する経口ハイドロゲルは,患者に満腹感を与えて摂食量を減少させる作用があり,体重管理のために使用することもでき,前糖尿病および糖尿病の患者に軽度の体重減少をもたらすことが示されている。

胃内バルーン留置術,迷走神経刺激装置,および胃内容排出療法(gastric aspiration therapy)などの医療機器を用いた治療もあるが,費用が高いことと糖尿病患者でのデータが限られていることから,その使用は依然として限られている。

スリーブ状胃切除術または胃バイパス術などの肥満に対する外科治療は,糖尿病患者でも減量および(体重減少とは無関係に)血糖コントロールの改善を促し,心血管リスクを軽減するため,適切に選択された患者に推奨すべきである。

フットケア

感覚消失や循環障害を有する患者には,足趾の爪切りや胼胝の除去といった専門家による定期的な足のケアが重要である。このような患者には,あかぎれ,亀裂,胼胝,鶏眼,および潰瘍がないか毎日足を調べるように助言すべきである。低刺激性の石鹸を使って微温湯で足を毎日洗い,愛護的に完全に乾燥させるべきである。乾燥した鱗屑のある皮膚には潤滑剤(例,ラノリン)を塗布すべきである。湿った足に非薬用の足用パウダーを塗布すべきである。足趾の爪は,足専門医(podiatrist)が切るのが望ましく,まっすぐ横に切り,皮膚近くまで切り過ぎないようにする。絆創膏やテープ,刺激性の化学薬品,鶏眼治療薬,湯たんぽ,および電気パッドを皮膚に直接当てて使用すべきではない。靴下やストッキングは毎日交換し,締めつけるような衣服(例,靴下止め,足先がきつく弾性に富んだ靴下やストッキング)は着用すべきではない。

靴はサイズを合わせ,足先の幅が広く踵やつま先が露出しないものを使用し,頻繁に交換すべきである。足が変形していれば(例,趾切断術の既往,槌趾バニオン),外傷を減らすために特別な靴を処方すべきである。裸足での歩行は避けるべきである。

神経障害性足潰瘍を有する患者は,潰瘍が治癒するまでは加重を避けるべきである。加重を避けられないならば,適切な整形外科的保護具を装用すべきである。このような潰瘍のある患者の大半は大血管の閉塞性疾患をもたない,またはほとんどもたないため,デブリドマンおよび抗菌薬で良好に治癒することが多く,大手術を避けられることがある。潰瘍の治癒後は,適切な靴内挿入具または特殊な靴を処方すべきである。難治例,特に骨髄炎がある場合は,中足骨頭(圧迫の原因)の外科的切除,患趾の切断術,または横断的中足骨切断術が必要になることもある。しばしば神経障害性関節症は,矯正器具(例,短下肢装具,型取りして作成した靴,スポンジゴムによる足弓支持,松葉杖,義足)によって十分に管理できる。

予防接種

標準的な推奨に従い全ての糖尿病患者に肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),インフルエンザウイルスB型肝炎ウイルス,およびSARS-CoV-2に対するワクチンを接種すべきである。

膵移植

膵移植または膵島細胞の移植インスリン投与の代替手段である(1, 2);いずれの手法を用いても,インスリンが欠乏している(1型)患者にインスリン産生β細胞を効果的に移植できる。

治療に関する参考文献

  1. 1.Dean PG, Kukla A, Stegall MD, et al: Pancreas transplantation.BMJ 3:357, 2017.doi: 10.1136/bmj.j1321

  2. 2.Rickels MR, Robertson RP: Pancreatic islet transplantation in humans: Recent progress and future directions.Endocr Rev 40(2):631–668, 2019. doi: 10.1210/er.2018-00154

糖尿病治療のモニタリング

糖尿病治療の目標は,高血糖をコントロールして症状を軽減し,合併症を予防すると同時に,低血糖の発生を最小限にとどめることである。糖尿病のコントロールは,以下の血中濃度を測定することによりモニタリングできる:

  • ブドウ糖

  • HbA1C

  • フルクトサミン

血糖コントロールの目標は以下の通りである:

  • 食前の血糖値が80~130mg/dL(4.4~7.2mmol/L)

  • 食後血糖値のピーク(食事開始から1~2時間後)が < 180mg/dL(< 10mmol/L)

  • 持続血糖測定(CGM)で,14日間のうち血糖値が目標範囲内(70~180mg/mL[3.9~9.9mmol/L])にある時間(TIR)が > 70%

  • HbA1C値 < 7%

血糖値は通常,毛細血管血糖値(例,指先採血など)の在宅モニタリングまたは持続血糖測定に加えて,HbA1C値が7%未満に維持されているかどうかで判定する。HbA1C値は3カ月毎,あるいは一貫してコントロール良好な患者では6カ月毎にモニタリングする。

持続血糖測定を使用している糖尿病患者において,多くの場合,標準的な治療目標は14日間のTIR > 70%である。これは,CGMで測定した血糖値が14日間のうち目標範囲内(70~180mg/mL[3.9~9.9mmol/L])にある時間が70%を超えることと定義される。14日間のTIR > 70%は,糖尿病合併症のリスク低下と関連し,HbA1C値と負の相関を示す。CGMの目標値は,年齢,併存症,および低血糖のリスクに応じて個別に設定すべきである。重度の低血糖のリスクを低減するため,正常範囲を下回る(70mg/dL未満となる)時間を4%未満,54mg/L未満となる時間を1%未満にすべきである(1, 2)。

以下のように厳格な血糖コントロールが勧められない可能性のある患者では,これらの目標を調整することがある:

  • フレイルな高齢患者

  • 期待余命が短い患者

  • 低血糖発作を繰り返し起こす患者,中でも特に低血糖症状がみられない患者(無自覚性低血糖)

  • 低血糖症状があることを伝えられない患者(例,幼児,認知症患者)

低血糖を起こさずこれらの目標を達成できる患者には,HbA1C < 6.5%という,より厳しい目標を勧めることもある。より厳格な血糖コントロールは,以下のような患者が候補となる:

  • 低血糖を誘発する薬剤を使用していない患者

  • 糖尿病罹病期間が比較的短い(10年未満)患者

  • 期待余命が長い患者

  • 心血管疾患のない患者

グルコースメーター(指先の血液と試験紙を用いる)または持続血糖測定(CGM)による自己血糖モニタリングは最も重要である。両モニタリング方法は,患者が食事摂取量やインスリン用量を調節し,医師が薬剤の投与タイミングや用量の調節を勧める上で役に立つ(3)。

グルコースメーターには様々なものがある。ほぼ全ての装置で,試験紙のほか,皮膚を刺して血液検体を採取する手段を必要とする。どの装置を選択するかは通常,結果が出るまでの時間(通常は5~30秒),表示パネルの大きさ(大きなスクリーンは視力の低下した患者に有益でありうる),音声読み上げ機能(視覚障害のある患者のため),スマートフォンアプリとの連携性などの特徴のどれを患者が好むかの希望に基づいて決定する(4, 5)。

持続血糖測定(CGM)システムでは,皮膚の上または皮下のセンサーを使用してリアルタイムに結果が得られ,低血糖,高血糖,または血糖値の急速な変化を警告するアラーム機能がついている。指先採血による血糖モニタリングでは同定できない高血糖および低血糖のパターンを評価するために,インスリン投与患者の管理には持続血糖測定が推奨される。CGMは持続的または間欠的(患者がリーダーまたはスマートフォンを使用する場合のみ)に血糖値を測定できる。

指先採血によるグルコースメーターまたはCGMを使用する患者は,1日1~5回以上血糖を自己測定するよう言われることがある(初回測定は通常,早朝空腹時に行う)。測定回数は,血糖値,患者のニーズおよび能力,ならびに治療レジメンの複雑さによって異なる。大半の1型糖尿病患者では,少なくとも1日4回の検査を行うことが有益である。血糖値が至適でない場合,または薬剤レジメンに変更がある場合は,より頻回の自己血糖測定が推奨される。

CGMをインスリンポンプと組み合わせることで,血糖値に基づいてインスリン用量をリアルタイムに調整できる。このようなシステムは自動インスリン投与(AID)システムまたはハイブリッドクローズドループシステムと呼ばれ,高価ではあるが,1日に複数回インスリンを注射する全ての患者に推奨されており,HbA1C値を低下させ低血糖を減少させることが示されている。このようなシステムの普及が進んでおり,最近の機器では,血糖測定器の較正のために指先採血による血糖検査を毎日行う必要がない。これは1型糖尿病の患者や,無自覚性低血糖の患者または夜間低血糖の患者に特に有用である。持続血糖測定器のセンサーの中には,最長2週間,交換せずに使用できるものもある。医療従事者は記録されたデータを見て,患者が自覚していない高血糖または低血糖が起こっていないかを判定することができる。

HbA1C値は,過去3カ月間の血糖値を反映するため,前回の受診時から今回の受診時までのコントロールを評価できる。HbA1C値の測定は,1型糖尿病患者では3カ月毎に行い,2型糖尿病患者では血漿血糖値が安定していると考えられる場合には少なくとも年2回,コントロールが不明確な場合にはより頻回に行うべきである。家庭用検査キットが使用可能であるが,使用されることは少ない。

HbA1C値からわかる血糖コントロールの状態は,毎日の血糖測定からわかる血糖コントロールの状態とときに異なるように見えるが,これはHbA1Cでは偽高値や偽正常値が出ることがあるためである。HbA1Cの偽高値は,赤血球代謝の低下(鉄欠乏性貧血,葉酸欠乏性貧血,またはビタミンB12欠乏性貧血などでみられる),高用量アスピリン,および血中アルコール濃度高値などで生じうる。溶血性貧血および異常ヘモグロビン症(例,HbS,HbC)がある場合または欠乏性貧血の薬物治療中には,赤血球のターンオーバーが亢進するために誤って正常範囲内のHbA1C値になる。肝硬変または慢性腎臓病ステージ4および5の患者では,HbA1Cと血糖値との相関が希薄であり,HbA1Cが偽低値を示すことがある。妊娠もHbA1C値の偽低値の原因となる。

フルクトサミンは,大半は糖化アルブミンであるがその他の糖化タンパク質も含み,過去1~2週間の血糖コントロールを反映する。フルクトサミンのモニタリングは,糖尿病の強化インスリン療法中の患者や,変異ヘモグロビンを有する患者,または赤血球代謝の亢進している患者(HbA1Cの誤測定が生じる)に用いられることもあるが,主に研究の場で使用される。

尿糖のモニタリングは非常に不正確であるため推奨されない。1型糖尿病患者において悪心,嘔吐,腹痛,発熱,感冒様症状,インフルエンザ様症状,自己血糖モニタリング時に異常に持続する高血糖(> 250~300mg/dL[> 13.9~16.7mmol/L])など,ケトアシドーシスの症状,徴候,または誘引が認められた場合には,尿ケトン体の自己測定が推奨される。

モニタリングに関する参考文献

  1. 1.American Diabetes Association: Standards of Medical Care in Diabetes.Diabetes Care 44 (Supplement 1): 1-259, 2022.

  2. 2.Battelino T, Danne T, Bergenstal RM, et al: Clinical targets for continuous glucose monitoring data interpretation: Recommendations from the international consensus on time in range.Diabetes Care 42(8):1593–1603, 2019. doi: 10.2337/dci19-0028.

  3. 3.Evert AB, Dennison M, Gardner CD, et al: Nutrition therapy for adults with diabetes or prediabetes: A consensus report.Diabetes Care 42:731–754, 2019.doi: 10.2337/dci19-0014

  4. 4.Holt RIG, DeVries JH, Hess-Fischl A, et al: The management of type 1 diabetes in adults.A consensus report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD).Diabetes Care 44(11):2589–2625, 2021.doi: 10.2337/dci21-0043

  5. 5.Kravarusic J, Aleppo G: Diabetes Technology Use in Adults with Type 1 and Type 2 Diabetes.Endocrinol Metab Clin North Am 49(1):37–55, 2020. doi: 10.1016/j.ecl.2019.10.006

特殊な集団および状況

糖尿病ケアでは,年齢およびライフスタイル,併存症,ならびに他の急性または慢性疾患の治療の必要といった患者因子に応じて,慎重に調整する必要がある。

血糖値の維持が困難な患者

ブリットル型糖尿病という用語は,しばしば明らかな理由なく再発性の劇的な血糖変動を呈する患者を指すのに使用されている。動揺性の血漿血糖値は1型糖尿病患者に生じやすいが,その理由は,内因性インスリン産生がほぼ完全に欠損しており,一部の患者では低血糖に対する拮抗反応が障害されているためである。血漿血糖値が動揺しやすいその他の原因としては,不顕性感染,胃不全麻痺(食物中の炭水化物の異常吸収につながる),内分泌疾患(例,アジソン病)などがある。

許容できるレベルの血糖値を維持するのが慢性的に困難な患者では,血糖コントロールに影響する要因を評価すべきである。こうした要因には,誤ったインスリン投与につながる不十分な患者教育または理解不足,不適切な食事の選択,および心理社会的ストレス(薬剤の使用や食事のパターンが不規則になる原因)などがある。

最初のアプローチは,インスリンの準備と注射法および血糖測定を含め,自己管理技術を徹底的に見直すことである。自己血糖測定の頻度を増やすことによって,これまで認識されなかったパターンが明らかになり,患者に役立つフィードバックが得られる可能性がある。食事時間を含む完全な食事記録をつけて,コントロール不良の潜在的要因を同定すべきである。身体診察および適切な臨床検査によって基礎疾患を除外すべきである。

インスリン治療中の患者の一部では,(血糖測定に基づいて)頻繁に用量調整を行えるより強力なレジメンへの変更が役に立つ。アラーム付きの持続血糖測定およびセンサー機能付き(sensor-augmented)またはハイブリッドクローズドループ式のインスリンポンプは,低血糖と高血糖との間で値が動揺する患者に有用なツールである。

小児

小児の糖尿病については別の箇所でより詳細に考察されている。

1型糖尿病の小児には,成人と同様に生理的なインスリン補充を行うほか,インスリンポンプを含め,同様の治療レジメンが必要である。しかし,食事や活動のパターンが予測不可能であるほか,低血糖症状を報告する能力が限られていることから,低血糖のリスクが高く,治療目標の調整を要する場合がある。大半の幼児には,血糖測定およびインスリン注射を含め,本人のケアに積極的に関わるよう教育できる。学校職員および他の介護者には,糖尿病があることを告知し,低血糖エピソードの認識および治療法を指導しなければならない。一般に,微小血管合併症のスクリーニングは思春期以降まで遅らせてもよい。

2型糖尿病の小児では,食事および体重コントロール,ならびに脂質異常症および高血圧の発見・管理に関して,成人と同じ注意が必要である。2型糖尿病を有する小児の大半が肥満であるため,生活習慣の改善が治療の鍵である。薬物療法が適応となることもある。

青年

青年の糖尿病については別の箇所でより詳細に考察されている。

糖尿病患児が青年期に入るにつれ,典型的には血糖コントロールが悪化する。以下のような複数の因子が寄与する。

  • 思春期およびインスリンによる体重増加

  • インスリン感受性を減弱させるホルモン変化

  • インスリンアドヒアランス不良につながる心理社会的因子(例,気分症,不安症,多忙なスケジュール,不規則な食事,家庭不和)

  • 喫煙,飲酒,および薬物使用の経験

  • 体重コントロールのためにインスリンを省くようになる摂食症

こういった理由から,一部の青年は救急外来受診や入院を要するような高血糖,糖尿病性ケトアシドーシス,および低血糖のエピソードを繰り返す。

治療にはしばしば心理社会的介入(例,指導または支援グループ),個人療法または家族療法,および適応があれば精神薬理学を組み合わせた集中医学管理を要する。青年が成人期早期を自由かつ安全に謳歌できるようにするため,患者教育は重要である。医療提供者は,個人的嗜好や行動を批判するのではなく,厳重な血糖コントロールの必要性を繰り返し強調し,特に頻回の血糖モニタリングおよび必要に応じて速効性のインスリンを低用量で頻回使用することについて指導を強化していかなければならない。

入院

糖尿病は,入院の主因になることもあれば,入院治療を必要とする他の疾患に随伴することもある。糖尿病性ケトアシドーシス高浸透圧性高血糖状態,または遷延性もしくは重度の低血糖を呈する患者は全て入院させるべきである。スルホニル尿素薬による低血糖,コントロール不良の高血糖,または糖尿病合併症の急性増悪を呈する患者には,短期入院が有益と考えられる。糖尿病を新規発症した小児や青年にも,入院が有益な可能性がある。制御された入院環境で作成されたインスリン投与レジメンが制約のない院外の環境に合わなければ,退院に際してコントロールは悪化する。新たに糖尿病と診断された患者では,入院中のインスリンの用量は高すぎることが多く,退院時に調節しないと低血糖を引き起こす可能性がある。

他の疾患で入院が必要な場合,患者によっては家庭での糖尿病治療レジメンを続けられる場合もある。しかし,血糖コントロールはしばしば困難であり,他の疾患の緊急性がより高い場合は,血糖コントロールが無視されることも多い。運動制限や急性疾患は一部の患者で高血糖を増悪させるが,食事制限および疾患の随伴症状(例,悪心,嘔吐,下痢,食欲不振)は低血糖を促し,特に血糖降下薬の用量が変更されていないときによくみられる。さらに,糖尿病の治療レジメンと比較して,院内業務(例,食事,投薬,処置)のタイミングは柔軟性に欠けるため,入院患者では血糖値の十分なコントロールが困難なことがある。

入院下では,経口血糖降下薬を中止しなければならないことがしばしばある。メトホルミンは腎機能不全の患者において乳酸アシドーシスを引き起こすことがあり,造影剤を使用する必要がある場合は中止しなければならない。そのため,メトホルミンは,非常に安定している患者を除き全ての入院患者で使用が控えられる。スルホニル尿素薬は低血糖を引き起こすことがあるため,これも中止しなければならない。

大半の入院患者は基礎インスリンに速効型インスリンを場合により併用し,臨床状況に応じて治療できる。ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬は,腎疾患のある患者においてさえ比較的安全であり,食後血糖値の降下にも使用できる。

スライディングスケールによるインスリン療法を高血糖是正のための唯一の介入とすべきではない;これは事前対応ではなく事後対応であり,データからはbasal-bolusインスリン療法より血糖コントロールに劣ることがわかっている。速効型のインスリンのみを用いて高血糖を是正するのではなく,より作用時間の長いインスリンの用量を調節して高血糖を予防すべきである。

入院中の高血糖は感染率および死亡率の上昇と関連する。重篤な疾患は,糖尿病の既往がない患者においてさえもインスリン抵抗性や高血糖を引き起こす。このようなストレス誘発性の高血糖は,死亡率の上昇など不良な転帰と関連する。インスリン点滴により血漿血糖値を140~180mg/dL(7.8~10.0mmol/L)に維持することで,以下の効果が得られる:

  • 臓器不全などの望ましくない転帰を予防できる

  • ときに,脳卒中からの回復が促される

  • 長期(5日以上)の集中治療を必要とする患者の生存率の改善につながる

以前の血糖値の目標値はより低かったが,有害な転帰を予防するには上記のようなより緩い目標値で十分であると考えられる。重症(critically ill)患者,特にグルココルチコイドまたは昇圧薬で治療されている患者や,完全静脈栄養(TPN)を受けている患者は,インスリン抵抗性があるため非常に高用量のインスリン> 5~10単位/時)を要することがある。重症患者または集中治療室に収容されている術後患者では,正常血糖を維持するにあたり,インスリン点滴プロトコルおよび/またはコンピュータアルゴリズムを用いてインスリン点滴用量を調節することができる。

手術

外科手術による生理的ストレスは糖尿病患者の血漿血糖値を上昇させ,1型糖尿病患者で糖尿病性ケトアシドーシスを誘発する恐れがある。比較的短時間で終わる処置には,インスリン皮下注射を用いることができる。1型糖尿病患者では,朝に通常投与する中間型インスリンの2分の1~3分の2の量または持効型インスリン(グラルギンまたはデテミル)の70~80%を,手術前日の夜または当日の朝(持効型インスリンを投与する通常の時刻)に投与する。

インスリンを使用している2型糖尿病患者には,手術前日の夜または当日の朝に基礎インスリン用量の50%を投与すべきである。手術前に75~150mL/時でブドウ糖液の点滴静注を開始し,用量を調節して正常血糖を維持する。

術中および術後は,血漿血糖値(高血糖があれば必要に応じてケトン体も)を少なくとも2時間毎に測定するべきである。血漿血糖値を100~200mg/dL(5.5~11.1mmol/L)に維持するために,ブドウ糖の点滴を持続し,必要に応じてレギュラーインスリンまたは速効型インスリンを4~6時間毎に皮下投与することが可能であり,これは患者が経口食に移行して通常のインスリン投与レジメンを再開できるようになるまで続けることができる。通常のレジメンを再開するまでに大きな遅れ(> 24時間)がある場合,中間作用型インスリンまたは持効型インスリンを追加投与すべきである。インスリン治療中の2型糖尿病患者にもこのアプローチをとることがあるが,その場合ケトン体の頻回測定は省略できる。

一部の医師は,手術当日はインスリンの皮下注射または吸入を控えてインスリン静注を選ぶ。長時間の手術または大きな手術に臨む患者には,インスリンの持続点滴が望ましく,手術のストレスによってインスリン需要が増すことからもこの選択が推奨される。血糖値を維持するため,インスリンの持続静注とブドウ糖溶液の静注を同時に行うことがある。1つのアプローチは,ブドウ糖,インスリンカリウムを1つのバッグに入れることで(GIKレジメン),例えば,500mLのバッグに,10%ブドウ糖とカリウム10mEq(10mmol),インスリン15単位を組み合わせて入れることができる。インスリンは5単位ずつ用量調節する。このアプローチは,患者の血糖値に合わせて頻繁な混合とバッグの変更を要するため,多くの施設で利用されているわけではない。米国でより一般的に行われるアプローチは,インスリンとブドウ糖を別々に点滴することである。インスリンを1~2U/時で点滴しながら,5%ブドウ糖を75~150mL/時で点滴することができる。インスリン投与速度は,インスリン感受性がより高い1型糖尿病患者では減量し,インスリン抵抗性がより高い2型糖尿病患者では増量しなければならないことがある。10%ブドウ糖を使用することもできる。糖尿病性ケトアシドーシスの発生を予防するため,インスリンの点滴を継続することが重要であり,1型糖尿病患者ではこの点に特に注意すべきである。静注管にインスリンが吸収されることで作用にむらがでる恐れがあるが,これは静注管にインスリン液をあらかじめ流しておくことによって最小限に抑えられる。インスリン点滴は回復期を通じて継続し,回復室で測定された血漿血糖値に基づいてインスリン投与量を調節し,その後は1~2時間間隔で調整する。

経口血糖降下薬のみで治療中の2型糖尿病患者の大半は,絶食中許容できるレベルの血糖値を維持し,周術期にはインスリンを必要としない可能性がある。手術当日は,スルホニル尿素薬およびメトホルミンを含む大半の経口薬を中止し,術前および術後と輸液中6時間毎に血漿血糖値を測定すべきである。食事ができるようになれば経口薬を再開するが,術後48時間以降に腎機能が正常であることが確認されるまでメトホルミンは控える。

糖尿病の予防

1型糖尿病

1型糖尿病の発症または進行を確実に予防できる治療法はない。アザチオプリン,コルチコステロイド,およびシクロスポリンにより一部の患者で早期1型糖尿病が寛解するが,これはおそらくβ細胞の自己免疫性破壊が抑制されることによると考えられる。しかし,毒性が高く生涯にわたる治療が必要になるため,これらの薬剤の使用には限界がある。抗CD3モノクローナル抗体は,自己免疫T細胞応答を抑制することにより,発症後間もない糖尿病で少なくとも最初の1年間はインスリン需要を減少させることが示されており,この薬剤はまた1型糖尿病患者の高リスクの家系員において1型糖尿病の発症を遅らせる可能性がある。低用量の抗胸腺細胞グロブリン(ATG)および抗TNF(腫瘍壊死因子)薬であるゴリムマブは,最近発症した1型糖尿病におけるβ細胞機能の維持に有望であることが示されている。

2型糖尿病

2型糖尿病は通常生活習慣の改善によって予防できる。ベースラインの体重からわずか7%の減量と,中等度の強度の運動(例,1日30分のウォーキング)を組み合わせるだけで,高リスク者における糖尿病発生率を > 50%下げられる。

糖尿病予防のために,メトホルミン,アカルボース,リラグルチド,チアゾリジン系,バルサルタン,テストステロン,オルリスタット,フェンテルミン(phentermine)/トピラマートなど,いくつかの薬剤が研究されている。メトホルミンは費用対効果が高く安全であり,最も広く研究されており,生活習慣の改善がうまくいかない,または功を奏さない場合に使用できる。

肥満患者では,食事療法および運動の補助として,減量のための薬物療法,医療デバイス,および減量手術を用いることができる(糖尿病における減量を参照)。代謝手術(肥満外科手術)は糖尿病への進行リスクを低下させることが示されている。

合併症

糖尿病合併症リスクは,厳格な血漿血糖のコントロール(HbA1C < 7%未満と定義),ならびに高血圧および脂質濃度のコントロールによって低減できる。糖尿病患者では,血圧は140/90mmHg未満に維持するべきであり,糖尿病患者に心疾患が併存する,心疾患リスクが高い,または腎疾患が併存する場合は,血圧を130/80mmHg未満に維持するべきである。一部の専門家団体は,全ての糖尿病患者に対して目標血圧を130/80未満とすることを推奨している。一度検出された合併症の進行を予防する具体的方法については,合併症および治療に記載されている。

要点

  • 1型糖尿病は,膵臓β細胞の自己免疫性炎症に起因するインスリン産生欠如によって引き起こされる。

  • 2型糖尿病は,膵β細胞の分泌異常に加えて,肝臓でのインスリン抵抗性(肝臓でのブドウ糖産生を抑制できなくなる)および末梢でのインスリン抵抗性(末梢でのブドウ糖取り込みが阻害される)によって引き起こされる。

  • 診断は,空腹時血漿血糖値の上昇および/またはヘモグロビンA1Cの上昇,および/または経口ブドウ糖負荷試験2時間値による。

  • 合併症のスクリーニングを定期的に施行する。

  • 微小血管合併症には腎症,神経障害,および網膜症などがある。

  • 大血管合併症には,アテローム性動脈硬化が関与しており,その結果冠動脈疾患,一過性脳虚血発作/脳卒中,および末梢動脈の機能不全を来す。

  • 食事,運動,減量,およびインスリンのほか,場合により血糖降下薬の内服または注射により治療する。

  • 合併症予防のため,しばしばレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害薬およびスタチン系薬剤を投与する。

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. American Diabetes Association: Standards of Medical Care in Diabetes: provides comprehensive guidelines for clinicians

  2. Buse JB, Wexler DJ, Tsapas A, et al: 2019 Update to: Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2018.A Consensus Report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD).Diabetes Care 43(2):487–493, 2020. doi: 10.2337/dci19-0066

  3. Davies MJ, D'Alessio DA, Fradkin J, et al: Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2018.A Consensus Report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD).Diabetes Care 41(12): 2669–2701, 2018.

  4. Endocrine Society: Clinical Practice Guidelines: provides guidelines on evaluation and management of patients with diabetes as well as links to other information for clinicians

  5. Holt RIG, DeVries JH, Hess-Fischl A, et al: The management of type 1 diabetes in adults.A consensus report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD).Diabetologia 64(12):2609–2652, 2021. doi: 10.1007/s00125-021-05568-3

  6. Powers MA, Bardsley J, Cypress M, et al: Diabetes Self-management Education and Support in Type 2 Diabetes: A Joint Position Statement of the American Diabetes Association, the American Association of Diabetes Educators, and the Academy of Nutrition and Dietetics.Diabetes Care 38(7):1372–1382, 2015.

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