小児の心臓に起こる異常には、ほかにも数多くのものがあります。（心臓の異常の概要も参照のこと。）
それらの異常の大半はまれです。具体的には以下のものがあります。
心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症
単心室症
三尖弁閉鎖症
これらの異常の症状は、具体的な異常とその重症度によって様々です。これらの異常はどれも、チアノーゼ（皮膚が青っぽくなること）や不整脈を引き起こすことがあります。聴診器を用いた診察で心雑音が聞こえた場合に心臓の異常が疑われることがよくありますが、通常は心エコー検査（心臓の超音波検査）で異常がないことを確認します。
通常、手術で異常を修復する必要があります。
心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症
肺動脈閉鎖症では、肺動脈弁が正しく形成されないため、血液が肺へと流れて酸素を取り込むことがありません。そのため、酸素の少ない血液が全身を循環します。肺動脈閉鎖症は、高い頻度で他の心疾患や冠動脈の異常も伴って生じます。症状と外科的治療の選択肢は、ほかにどのような種類の異常があるかによって異なります。
単心室症
単心室症には、機能する心室が1つしかないという特徴に該当する複合的な心臓の異常がすべて含まれます。みられる症状は、異常の詳細や肺動脈弁狭窄症を合併しているかどうかによって異なります。血液に十分な量の酸素が供給されないため、大半の患児でチアノーゼ（皮膚が青っぽくなること）がみられます。重症の肺動脈弁狭窄症がある患児は、体が非常に青くなることがあり、その場合は外科的処置をかなり迅速に行う必要があります。肺動脈弁狭窄症がない患児では、肺への過剰な血流が生じていて、心不全の症状（例えば、呼吸数の増加、哺乳不良、疲れやすい、大量発汗）が現れます。心臓の異常を修復するには手術が必要です。通常は、数週間かけて複数回手術を行う必要があります。
三尖弁閉鎖症
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
米国心臓協会：一般的な心臓の異常（American Heart Association: Common Heart Defects）：親と養育者を対象として一般的な先天性心疾患の概要情報を提供している
米国心臓協会：感染性心内膜炎（American Heart Association: Infective Endocarditis）：親と養育者を対象として感染性心内膜炎の概要情報（抗菌薬使用の要約を含む）を提供している
