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子宮頸管狭窄症

執筆者:Charles Kilpatrick, MD, MEd, Baylor College of Medicine
レビュー/改訂 2023年 2月
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子宮頸管狭窄症とは、子宮頸部(子宮の下部)の通路が狭くなったり閉じたりしている状態のことです。

  • 子宮頸管狭窄症ではしばしば、症状がみられません。

  • 子宮頸管狭窄症は月経異常の原因になることがあり、閉経前の女性ではまれに不妊症の原因になることもあります。

  • 子宮頸管狭窄症は通常は内診で診断できます。

  • 子宮頸管を広げる処置で症状を軽減できます。

子宮頸管狭窄症では、子宮頸管(腟と子宮体部をつないでいる通路)が狭くなるか、完全に閉塞します。

子宮頸管狭窄症は通常、以下の病気などのために生じます。

  • 閉経(子宮頸部の組織が萎縮するため)

  • 子宮頸がんまたは子宮内膜がん

  • 子宮頸部の手術(例えば前がん病変[異形成]の治療のため)

  • 性器出血が持続する場合に子宮内膜を破壊または除去する処置(子宮内膜アブレーション)

  • 子宮頸がんまたは子宮内膜がんを治療する放射線療法

まだ月経のある女性では、子宮内膜の細胞が混じった経血が卵管を通って骨盤内に逆流し、子宮内膜症が生じることもあります。

まれに、子宮頸管狭窄症があると子宮内に血液がたまることがあります(子宮留血症)。

また、まれに子宮内に膿がたまることがあります(特に子宮頸管狭窄症の原因が子宮頸がんか子宮内膜がんである場合)。これを子宮留膿症といいます。

子宮頸管狭窄症の症状

子宮頸管狭窄症ではしばしば、症状がみられません。

閉経前であれば、子宮頸管狭窄症は無月経、月経時の痛み(月経困難症)、不正出血などの月経異常を引き起こすことがあります。まれに、精子が子宮頸部を通過できなくなって受精が起こらないために、子宮頸管狭窄症が不妊症の原因になることがあります。

子宮留血症や子宮留膿症があると、痛みが生じたり、子宮が膨隆したりすることがあります。骨盤部にしこりを感じる人もいます。

子宮頸管狭窄症の診断

  • 内診

  • ときに、がんの可能性を否定するための検査

この病気は以下のような症状と状況から疑われることがあります。

  • 子宮頸部の手術後に月経が停止するか、痛みが生じた場合

  • 例えばパパニコロウ検査またはヒトパピローマウイルス(HPV)検査(子宮頸部細胞診)、あるいは子宮内膜生検における組織サンプルの採取などの別の検査の際に、子宮頸部に器具を挿入することができない場合

子宮頸部から子宮内にプローブを挿入を試みたとき、それができなければ、子宮頸管狭窄症の診断が確定します。

子宮頸管狭窄症と異常な性器出血または子宮出血がみられる場合は、がんの可能性を否定するための検査が必要になることがあります。例えば、子宮頸部細胞診(パパニコロウ検査やHPV検査)や子宮内膜生検が行われることがあります。

以下のすべてに該当する場合には、それ以上の検査を行う必要はありません。

  • 女性が閉経後である(月経が停止している)。

  • 無症状で子宮留血症や子宮留膿症がない。

  • 子宮頸部細胞診の結果が正常である。

子宮頸管狭窄症の治療

  • 子宮頸部の拡張

子宮頸管狭窄症の治療は、症状や子宮留血症、子宮留膿症がみられる場合にのみ行います。治療では、潤滑剤を塗った細い金属棒(拡張器)を子宮口から挿入して子宮頸部を広げ、拡張器は徐々に太いものに変えていきます。頸管を開いた状態にしておくために、子宮頸管ステントと呼ばれるチューブを4~6週間留置することがあります。

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