消化管間質腫瘍は、消化管の壁の特定の細胞から発生する、まれながんです。
消化管間質腫瘍(GIST)は、食道、胃、腸の壁の中にある間葉系前駆細胞から発生する肉腫(結合組織の悪性腫瘍)です。GISTは消化管で最も頻度の高い種類の肉腫です。
大半のGISTは、細胞増殖を制御しているC-KITと呼ばれる遺伝子の変異によって引き起こされ、一部のGISTは、特定のタンパク質の生産を指示するPDGFRBと呼ばれる遺伝子の変異によって引き起こされます。
GISTは遺伝性症候群の人に発生することがあります。よくみられる症候群の1つに神経線維腫症I型があります。
この腫瘍の約半数は胃に発生しますが、小腸に発生するものもあり、割合は小さいものの食道、結腸、直腸にも発生します。
診断時の平均年齢は50~60歳です。他の腫瘍の治療で腹部に放射線療法を受けたことのある人では、後に消化管間質腫瘍が発生することがあります。
この腫瘍は通常ゆっくりと増殖しますが、一部ではより速く増殖し、他の場所に広がる(転移する)こともあります。
GISTの症状
GISTの症状は、腫瘍ができた場所にもよりますが、腹痛、出血、消化不良、少量の食事での満腹感などがみられます。吐き気と嘔吐が、消化管がふさがるほどに腫瘍が増殖した場合に生じることがあります。
GISTの診断
GISTの治療
手術による摘出
外科的にGISTを切除します。
がんが転移している場合やがんを外科的に切除できない場合は、しばしば化学療法薬のイマチニブによる治療が行われます。イマチニブはまた、腫瘍を縮小させて手術を可能または容易にする目的で、しばしば手術前に投与されます。イマチニブで効果がない場合は、スニチニブやレゴラフェニブなどの他の化学療法薬が使用されることがあります。
PDGFRAエクソン18変異と呼ばれる遺伝子変異を原因とするGISTには、アバプリチニブ(avapritinib)と呼ばれる別の薬剤を投与することができます。