受診のタイミング

執筆者:Michael R. Wasserman, MD, California Association of Long Term Care Medicine
レビュー/改訂 2021年 5月
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    受診のタイミングは、予防目的(定期的な受診)なのか、医学的な問題が生じたことによるものか、または緊急を要するものかなど、その理由によって様々です。(医療の最大限の活用に関する序およびオンライン診療の利用も参照のこと。)

    定期的な受診

    一般に、予防ケアには、かかりつけの医師、歯科医、眼科医を定期的に受診するとよいでしょう。女性の婦人科の診察には、かかりつけ医か婦人科医を受診するとよいでしょう。かかりつけ医に、どのようなケアが必要か、どの程度の頻度で受診する必要があるかといった計画を立ててもらいます。通常、乳児や高齢者は予防的な診察を頻繁に受ける必要がありますが、その頻度も健康状態によって決まります。例えば、糖尿病や心疾患の患者(あるいは、その危険因子のある人)は、比較的頻繁に健診を受ける必要があるでしょう。

    異常を感じたときの受診

    次の予防的診察までの間に症状や他の医学的な異常が生じたものの、医師の診察を受ける必要があるかどうか、判断しにくいことがあります。多くの症状や異常は自宅で対処できます。例えば普通のかぜは、ほとんどの場合、医師の治療は必要ありません。ちょっとした切り傷やすり傷なら、刺激の少ない石けんを使って水洗いし、抗菌薬の軟膏を塗って保護しておきます(外傷:救命・応急手当を参照)。

    特定の病気がある人は、新たな症状が現れたら、早めに医師の診察を受けた方がよいでしょう。例えば、慢性の肺疾患(喘息慢性閉塞性肺疾患など)の患者に呼吸困難が生じた場合や、免疫機能が低下している人が熱を出した場合は、速やかに医師の診察を受ける必要があります。免疫系は、糖尿病ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症化学療法薬の使用、その他の状態によって、弱くなることがあります。慢性疾患がある人は、どのような症状が新たに出現した場合、または症状がどのように変化した場合に非定期であっても受診すべきか、事前に医師と話し合っておきましょう。

    医師や他の医療専門家の診察が必要かどうかを判断できない場合は、かかりつけ医に電話をして指示を受けましょう。緊急性の少ない質問にはポータルサイトや電子メールでの問い合わせを勧めている医師もいますが、電話連絡の方がよいとする医師もいます。どのようなときに受診すべきで、どのようなときには受診しなくてもよいかについて、医師は一概に指針を示すことはできません。同じ原因でも様々な症状があったり、異なる原因でも似た症状があったりすることが多いからです。ただし症状の中には、確実に医療従事者への電話が必要なものもあります。

    救急医療機関の受診

    本当の緊急事態が起きたときは、電話で救急に連絡し、救急車で最寄りの病院まで搬送してもらうべきです。しかし、様々な症状があり、本当に急がなければならない事態なのかどうかを判断するのが難しいこともあります。生命を脅かす病気(心臓発作脳卒中など)の症状について可能な限り事前に学んでおくことが助けになりますし、適切な判断が必要になることもよくあります。命に関わる可能性があると思われたら、救急医療機関を受診するべきです。以下のようなケースは、明らかに緊急の受診が必要です。

    • 心臓発作の徴候(胸痛、息切れ、めまいなど)

    • 脳卒中の徴候(体の片側の筋力低下、麻痺、感覚の異常や消失のほか、発話困難、錯乱、視覚障害、めまい、平衡感覚の消失や協調運動障害など)

    • 呼吸困難

    • 多量の出血

    • 熱傷(やけど)のうち、皮膚がむけたり、焦げたり、水疱ができたりしているもの、吸入によって生じたもの、広範囲に及んでいるもの、手、顔、足、性器に被ったもの

    • ひどいけが(自動車事故など)

    • 症状を伴う中毒(症状が軽いか、現れていない場合は、中毒事故管理センターにまず電話してアドバイスを受けてください。【訳注:日本では(公財)日本中毒情報センターが電話による無料情報サービスを提供しています。大阪072-727-2499、つくば029-852-9999、https://www.j-poison-ic.jp】)

    • 重度のアレルギー反応

    • ショックの徴候(めまい、錯乱、皮膚が冷たくなって湿るなど)

    • 突然のひどい痛み

    • 吐血または比較的大量の喀血(たんの中に数本以上の血の筋が見える)

    • 重篤な慢性疾患(喘息糖尿病など)が急にひどく悪化する

    週末や夜間など、かかりつけ医の診察を受けられない状況では、あまり重篤な状態でなくとも、救急医療機関を受診するのが適切である場合があります。ただし、救急医療機関のスタッフはその人の病歴をよく知らない可能性があり、周期的に混雑することで、診察までの待ち時間が長くなる可能性もあります。米国では健康保険プランの内容によって、生命を脅かす病気を示す症状を除き、救急医療機関受診の払い戻しを受けるには、まずかかりつけ医に電話しなければならないこともあります。救急医療機関を受診する前に、加入している保険プランの規定を知っておくべきでしょう。

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