紅皮症

(剥脱性皮膚炎)

執筆者:Thomas M. Ruenger, MD, PhD, Georg-August University of Göttingen, Germany
レビュー/改訂 2023年 1月
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紅皮症は,紅斑の面積が体表面積の70%を超える場合と定義される。これは様々な皮膚疾患の最重症型である。診断は病歴および診察による。治療法としては支持療法や外用療法などがある。

紅皮症が生じうる様々な皮膚疾患として,以下のものがある:

紅皮症は,上記のような皮膚疾患を有することが判明している患者に発生することがあるが,皮膚の異常の既往がない患者にも自然に発生することがある。

現在ではほとんど使用されなくなった紅皮症を指す古い用語として,剥脱性皮膚炎がある。剥脱性皮膚炎は実際には皮膚炎ではない。紅皮症は皮膚炎から生じることもあるが,他の(皮膚炎以外の)多くの皮膚疾患から生じることもある。

皮膚炎の定義も参照のこと。)

紅皮症の症状と徴候

紅皮症の症状としては,広範な炎症と広範囲にわたる過灌流の皮膚からの熱放散により生じる倦怠感や悪寒がある。紅皮症の患者では,びまん性の紅斑と皮膚の落屑がみられる。

そう痒がしばしばみられる。

紅皮症
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この写真には,びまん性の紅斑と皮膚の落屑を伴う紅皮症が写っている。
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紅皮症の診断

  • 臨床的評価

紅皮症の診断は病歴と診察による。原因の確定には,広範な検査が必要になることがある。

血液検査では,電解質平衡異常および炎症マーカーの増加を認めることがあるが,これらの所見では紅皮症の診断には至らない。T細胞リンパ腫を考慮する場合は,その診断を目的として,皮膚および/または末梢血におけるT細胞の単クローン性増殖を検索するT細胞受容体遺伝子再構成検査と,皮膚浸潤T細胞および末梢T細胞のサブセットの評価を行うことがある。

生検では非特異的な所見しかみられないことが多く,ときに生検を繰り返す必要がある。皮膚の異常の既往がない患者に紅皮症が発生した場合,直ちに生検を行っても原因が明らかにならないことがある。

紅皮症の治療

  • 基礎疾患の治療

  • 支持療法(例,水分補給,電解質異常に対する治療)

  • 外用療法(例,皮膚軟化剤)

  • ときにコルチコステロイドの外用または全身投与

  • 場合により,原因かもしれない薬剤の中止または変更

包括的なスキンケアが必要である。既知の原因があれば治療する。

支持療法は,脱水の是正,電解質異常および栄養欠乏症の是正,ならびに細菌の重複感染を予防するための包括的な創傷ケアとドレッシングから構成される。

スキンケアは皮膚軟化剤およびコロイド状オートミール浴による。

弱い外用コルチコステロイド(例,1~2.5%ヒドロコルチゾン軟膏)を使用することが多い。重症例にはコルチコステロイドの全身投与(例,プレドニゾン40~60mg,経口,1日1回,10日間で開始してから漸減)を用いることが多い。ただし,コルチコステロイドの外用または全身投与は症状の緩和に役立つことがあるが,紅皮症の原因となりうる特定の疾患を増悪させる可能性があるため,慎重に使用すべきである。

薬物反応は病歴のみでは除外できないことが多いため,全ての薬剤または最も疑わしい薬剤の中止が必要になる場合がある。

紅皮症の予後

予後は原因に依存する。

紅皮症は生命を脅かすことがあり,しばしば入院が必要となる。

要点

  • 紅皮症は,多種多様な皮膚疾患の最重症の形態である。

  • 基礎にある原因はすぐには明らかにならないことが多い。

  • 症状としては,広範囲の紅斑(体表面積の70%を超える)のほか,しばしばそう痒などがある。

  • 診断は臨床的に行うが,基礎にある原因の特定には皮膚生検などの広範な検査が必要となることが多い。

  • 生命を脅かすことがあるため,しばしば入院が必要となる。

  • 治療は支持療法,包括的なスキンケア,および原因の治療による。

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