心臓の聴診

執筆者:Jessica I. Gupta, MD, University of Michigan Health;
Michael J. Shea, MD, Michigan Medicine at the University of Michigan
レビュー/改訂 2023年 3月
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    心臓の聴診には,優れた聴力と音の高さおよびタイミングの微妙な相違を識別する能力が必要とされる。聴覚障害がある医療従事者は電子聴診器を使用できる。高音は膜型の聴診器で最もよく聴取できる。低音はベル型で最もよく聴取できる。ベル型を使用するときは,ごく小さな力で当てるべきである。当てる力が強すぎると,下にある皮膚が膜として作用することで,非常に低調な成分が除去されてしまう。

    前胸部全体を系統的に調べるが,一般的には,患者に左側臥位をとらせて心尖拍動の聴取から始める。次に仰臥位をとらせてから胸骨左縁下部で聴診を再開し,頭側に進みながら各肋間部を聴診した後,胸骨右縁上部から尾側に進む。左側の腋窩および鎖骨上部も聴診する。背部の聴診では,患者に座位をとらせた後,大動脈および肺動脈の拡張期雑音や心膜摩擦音の聴診がしやすくなるように前傾姿勢をとらせる。

    主要な聴診所見としては以下のものがある:

    • 心音

    • 雑音

    • 摩擦音

    心音は弁の開閉によって生じる一過性の短い音で,収縮期心音と拡張期心音に分けられる。

    心雑音は血液の乱流により生じ,心音よりも長く続き,収縮期雑音,拡張期雑音,連続性雑音がある。心雑音は強度によって分類され,その位置と心周期内の時相とともに記載される。心雑音の強度は1~6段階に分類される(心雑音の強度の表を参照)。

    表&コラム
    表&コラム

    摩擦音は,ひっかくような高調な音で,しばしば2つまたは3つの成分に分かれ,それらは体位に応じて変化することがあり,頻拍時にはほぼ連続した音になることもある。

    聴診では,個々の心音と心雑音に注意しながら,心周期の各時相に順次意識を集中させる。音の強さ,高さ,持続時間,時相,および間隔を分析することで,しばしば正確な診断につながる。かつては,心血管系の診察を行うたびに,前胸部の主な聴診および触診所見を図にまとめて患者のカルテに記録していた(身体所見を示した図を参照)。そのような図を用いて,毎回の診察で得られた所見を比較することができた。その後の診察所見は,弁異常を診断してモニタリングするために,入手可能な画像検査結果(心エコー検査と心臓MRIを含む)と照らして解釈すべきである。

    大動脈弁狭窄症と僧帽弁逆流症を合併した患者の身体所見を示した図

    雑音,特徴,強度,放散を図示した。肺動脈弁閉鎖音が大動脈弁閉鎖音より大きくなっている。左室の突出と右室の挙上(それぞれ太い矢印)を明示している。IV音(S4)と収縮期振戦(TS)を認める。a = 大動脈弁閉鎖音;p = 肺動脈弁閉鎖音;S1 = I音;S2 = II音;3/6 = 漸増漸減性雑音の強度(両側頸部に放散);2/6 = 心尖部で聴取された漸増性の全収縮期雑音の強度;1+ = 肥大した右室の前胸部における軽度の挙上(矢印は挙上の方向を示す);2+ = 中等度の左室の突出(矢印は突出の方向を示す)。

    収縮期心音

    収縮期心音としては以下のものがある:

    • I音(S1)

    • クリック

    I音およびII音(S2,拡張期心音)は心周期の正常な成分であり,よく知られた「ドクン」という音に相当する。

    I音は収縮期の開始直後に発生し,主に僧帽弁閉鎖によるが,三尖弁閉鎖の成分を含んでいることもある。しばしば分裂し,高調である。僧帽弁狭窄ではI音が大きくなる。弁尖の硬化や硬直による僧帽弁逆流では減弱または聴取不能となる場合があるが,僧帽弁装置の粘液腫様変性や心室心筋の異常(例,乳頭筋機能不全,心室拡大)による僧帽弁逆流では,しばしば明瞭に聴取される。第1度房室ブロックでは,房室弁尖(僧帽弁および三尖弁)が心室収縮に先立ってほぼ閉鎖位置に移動するため,I音は弱いか聴取されないことが多い。

    クリックは収縮期にのみ生じる音で,より高調で持続時間が短いことから,I音およびII音と区別できる。収縮期内でクリックが生じる時相は,血行動態の変化に応じて異なってくる。クリックは1つのこともあれば,複数のこともある。

    先天性の大動脈弁狭窄または肺動脈弁狭窄で聴かれるクリックは,異常な心室壁張力により生じると考えられている。これらのクリックは,収縮早期(I音に非常に近い時相)に発生し,血行動態の変化から影響を受けない。同様のクリックが重度の肺高血圧症でも生じる。僧帽弁逸脱または三尖弁逸脱で聴かれるクリックは,典型的には収縮中期から後期に発生し,余剰に伸長した腱索または弁尖にかかる異常な張力によってもたらされると考えられる。

    弁組織の粘液腫様変性によるクリックは,収縮期のいずれの時相でも生じうるが,心室充満量を一時的に減少させる手技(例,立位,バルサルバ手技)を行わせている間は,I音の方向に移動する。心室充満量が増大すると(例,仰臥位による),クリックはII音の方向に移動し,特に僧帽弁逸脱症で著明である。理由は不明であるが,クリックは診察のたびに特徴が大きく変化することがあり,前回は聴取されたクリックがなくなることもある。

    収縮期心音
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    I音の分裂
    I音の分裂は多くの患者で正常であり,僧帽弁の閉鎖とその後の大動脈駆出音によるものと考えられている。

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    肺動脈駆出性クリック
    肺動脈圧が上昇すると,肺動脈が拡大し,弁輪が伸展する結果,緊張した弁尖が急激に開放される際にクリックが生じることがある。

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    II音の分裂
    呼気時(「out」)にはS1–S2として,吸気時(「in」)にはS1–A2–P2として聴取される。吸気時にII音が分裂するのは,胸腔内圧が低下することで右室流入量が増加する結果,肺動脈弁の閉鎖が遅れるためである。

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    拡張期心音

    拡張期心音としては以下のものがある:

    • II音,III音,IV音(S2,S3,S4)

    • 心膜ノック音

    • 僧帽弁音

    拡張期心音は,収縮期心音とは異なり低調であり,より弱く,持続時間は長い。II音を除き,通常これらの心音は成人では異常であるが,III音は40歳以下の成人と妊娠中の女性では生理的なものである場合がある。

    II音は,拡張期の開始時に大動脈弁と肺動脈弁の閉鎖により生じる。大動脈弁の閉鎖(A2)は遅延や肺動脈弁の早期閉鎖がない限り,正常では大動脈弁閉鎖が肺動脈弁閉鎖(P2)に先行する。左脚ブロックや大動脈弁狭窄では大動脈弁の閉鎖が遅延し,ある種の早期興奮現象があると肺動脈弁の閉鎖が早まる。肺動脈弁の閉鎖遅延は,右室からの血流量増加(例,二次孔欠損型の心房中隔欠損症)または完全右脚ブロックにより生じることがある。心房中隔欠損症における右室血流量の増加も,大動脈弁および肺動脈弁閉鎖における正常の呼吸性変動を消失させ,II音の固定性分裂を生じさせる。右室容積が正常な左右短絡(例,膜様部心室中隔欠損症)では,固定性分裂は起こらない。単一のII音は,大動脈弁に逆流,高度狭窄,または閉鎖(共通弁が存在する場合の総動脈幹)が生じたときに発生することがある。

    拡張期心音
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    左脚ブロックにおけるII音の分裂
    奇異性分裂が認められ,すなわち呼気時(「out」)にはS1–P2–A2として,吸気時(「in」)にはS1–S2として聴取される。左脚ブロックでは大動脈弁閉鎖が遅延するため,分裂が呼気時に聴取できる;吸気時には胸腔内圧が低下することで右室流... さらに読む

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    右脚ブロックにおけるII音の分裂
    分裂幅が広がっており,呼気時(「out」)にはS1–A2–P2として聴取され,吸気時(「in」)にはA2–P2間隔がさらに広くなる。右脚ブロックでは肺動脈弁閉鎖が遅延するため,呼気時にII音の分裂が聴取可能となる。吸気時には胸腔内圧が低下... さらに読む

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    心房中隔欠損症におけるII音の分裂
    II音の固定性分裂が認められ,すなわち呼気時(「out」)と吸気時(「in」)ともにS1–A2–P2として聴取される。分裂が固定性となる理由は,右室を通過する血流量が呼吸周期全体を通して増加することで,吸気に伴う肺動脈弁閉鎖の正常な遅延が... さらに読む

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    III音
    S1–S2–S3として聴取される。

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    IV音
    S4–S1–S2として聴取される。

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    重合奔馬調律
    高速で連続するS4–S1–S2–S3として聴取される。

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    心膜ノック音
    心膜ノック音は収縮性心膜炎により生じる大きなIII音である。

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    僧帽弁開放音
    A2–OS間隔が比較的長いS1–A2–OSとして聴取される。開放音(OS)は僧帽弁狭窄による場合が最も多く,拡張期に左室圧が左房圧を下回った際に前尖が急激に下方に隆起(スナップ)することによって発生すると考えられている。A2–OSと分裂し... さらに読む

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    III音は,心室が拡大してコンプライアンスが低下した状態で,拡張早期に生じる。拡張期の受動的な心室充満時に発生し,成人では通常重篤な心室機能不全を示唆するが,小児では正常の可能性があり,ときには40歳まで持続することもある。III音は妊娠中も正常である可能性がある。右室III音は,仰臥位での吸気時(胸腔内の陰圧により右室充満量が増大するため)に最もよく(ときに吸気時のみ)聴取できる。左室III音は,左側臥位での呼気時に(心臓が胸壁に近づくため)最もよく聴取される。

    IV音は,拡張末期付近で(心房収縮により)心室充満が増強することで発生する。III音と同様に,ベル型の聴診器で最もよく聴取でき,ベル型でしか聴こえないこともある。吸気時には,右室IV音は増強し,左室IV音は減弱する。IV音はIII音と比べてはるかに高い頻度で聴取され,より軽度の(通常は拡張期)心室機能不全を示唆する。IV音は心房細動では(心房が収縮しないため)聴取されないが,心筋虚血が生じている場合や心筋梗塞の直後には,ほぼ常に聴取される

    有意な左室収縮機能障害では通常III音が聴取され(IV音を伴うこともある),左室拡張機能障害では通常IV音が聴取され,III音は認められない。

    重合奔馬調律は,頻拍のある患者でIII音およびIV音がある場合に聴取され,頻拍により拡張期が短縮することで2つの音が重なり合う。強いIII音およびIV音は,左側臥位にすることで心尖部で触知可能となることがある。

    心膜ノック音は,拡張早期にIII音と同じタイミングで発生する。IV音は伴わず,より強勢な鈍い音であり,コンプライアンスが低下した収縮する心膜によって心室充満が急激に停止したことを意味する。

    開放音(OS)は,僧帽弁狭窄やまれに三尖弁狭窄において,拡張早期に生じることがある。僧帽弁開放音は非常に高調な短い音であり,膜型の聴診器で最もよく聴取される。僧帽弁狭窄が高度であるほど(すなわち左房圧が高いほど),開放音はII音の肺動脈弁成分に接近する。強度は弁尖のコンプライアンスと関係しており,開放音は弁尖が弾性を維持している場合は強く聴取されるが,弁尖の硬化,線維化,および石灰化が進行するにつれて次第に弱くなり,最終的には消失する。僧帽弁開放音は,ときに心尖部でも聴取されるが,多くの場合,胸骨左縁下部で最もよく聴取され,そこでしか聴取されないことも多い。

    心雑音へのアプローチ

    心周期内で雑音が聴取されるタイミングは原因と相関し(時相別に見た心雑音の病因の表を参照),聴診所見は具体的な心臓弁膜症と相関する。様々な手技(例,吸気,バルサルバ法,ハンドグリップ,蹲踞,硝酸アミルの吸入)で心臓の生理学的状態をわずかに変化させることができ,それにより心雑音の原因の鑑別が可能になる(心雑音の診断を補助する手技の表を参照)。

    表&コラム
    表&コラム
    表&コラム
    表&コラム

    心雑音が聴取される場合は,全例で胸部X線および心電図検査による評価を行う。診断を確定し,重症度を判定して経時的に追跡するために,心エコー検査が必要となる。通常,重大な疾患が疑われる場合は心臓専門医へのコンサルテーションを行う。

    収縮期雑音

    収縮期雑音は正常の場合と異常の場合がある。収縮早期,収縮中期,収縮後期雑音と全収縮期(汎収縮期)雑音がある。収縮期雑音は駆出性,逆流性,短絡性に分類することができる。

    駆出性雑音は,狭小化または不整化を来した弁または流出路を通過する前方に向かう乱流によって生じる(例,大動脈弁狭窄または肺動脈弁狭窄によるもの)。駆出性雑音は典型的には収縮中期に生じ,通常は血流の閉塞が進むにつれてより大きく持続の長い音になる漸増漸減性の特徴を示す。狭窄と乱流が強くなるほど,漸増相が長く,漸減相が短くなる。

    収縮期駆出性雑音は,血行動態的に有意な流出路閉塞がなくとも生じうるため,必ずしも何らかの疾患を示唆するものではない。正常な乳児および小児では,しばしば軽い乱流がみられ,それにより弱い駆出性雑音が生じる。高齢者では,弁および血管の硬化により,しばしば駆出性雑音が聴取される。

    妊娠中は,多くの女性で第2肋間胸骨左縁または右縁に弱い駆出性雑音が聴取される。この種の雑音は,血液量および心拍出量の生理的な増加により,正常構造物を通過する流速が上昇するために生じる。重度の貧血を合併した妊娠では,この雑音が大きく強調されることがある。このような雑音は,妊娠中に乳房の血管の充血によって引き起こされる静脈コマ音(乳房雑音)とは異なる。

    逆流性雑音は,より抵抗の低い心腔への逆流または異常血流(例,僧帽弁逆流三尖弁逆流心室中隔欠損によるもの)を反映する。逆流性雑音は典型的には全収縮期雑音であり,高速かつ少量の逆流または短絡でより大きくなり,多量の逆流や短絡ではより弱くなる傾向がある。収縮後期雑音にはクリックが先行する場合とそうでない場合があり,僧帽弁逸脱や乳頭筋機能不全で典型的にみられる。雑音の時相と種類をより正確に診断するには,通常は様々な手技が必要となる(心雑音の診断を補助する手技の表を参照)。

    短絡性雑音は,短絡部位(例,動脈管開存心室中隔欠損)で生じることもあれば,短絡部位から離れた位置での血行動態の変化により生じることもある(例,左右短絡を伴う心房中隔欠損による肺動脈弁の収縮期雑音)。心房の短絡性雑音が聴取されることは非常にまれである。

    収縮期雑音
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    大動脈弁狭窄の雑音
    6拍目は心室性期外収縮(VPB)である。7拍目は,VPB後の代償性休止期に左室充満量が増大するため,VPB後には雑音が増大することを示している。

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    肺動脈弁狭窄の雑音
    雑音は吸気時(「in」)にのみ聴取可能であるが,これは吸気により胸腔内圧が低下することで右室流入量が増加する結果,右室流出量も増加するためである。

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    僧帽弁逆流雑音
    僧帽弁逆流雑音は全収縮期雑音であり,収縮期全体を通して一定の強度を維持し,I音からII音まで持続する。

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    心室中隔欠損の雑音
    心室中隔欠損症の雑音は,僧帽弁逆流の雑音と類似するが,心尖部より胸骨左縁下部で大きく聴取される。

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    拡張期雑音

    拡張期雑音は常に異常であり,大半が拡張早期または中期に生じるが,拡張後期(前収縮期)のこともある。拡張早期雑音は,典型的には大動脈弁逆流または肺動脈弁逆流により生じる。拡張中期(または拡張早期~中期)雑音は,典型的には僧帽弁狭窄または三尖弁狭窄により生じる。拡張後期雑音は,洞調律の患者においてリウマチ性僧帽弁狭窄症により生じることがある。

    心房内の腫瘍または血栓による僧帽弁または三尖弁雑音は消退することがあり,また,心臓内の腫瘤の位置が変わるために,体位の変換や診察のたびに変化することがある。

    パール&ピットフォール

    • 収縮期雑音は正常の場合もあれば,異常の場合もあるが,拡張期雑音は常に異常である。

    連続性雑音

    連続性雑音は心周期全体を通じて発生する。連続性雑音は常に異常であり,収縮期および拡張期全体を通じた連続的な短絡血流の存在を示唆するもので,したがって,II音の持続中絶えず聴取される。様々な心形成異常により生じることがある(時相別に見た心雑音の病因の表を参照)。なかには振戦を伴うものもあり,多くは右室肥大および左室肥大の徴候を認める。短絡病変において肺動脈抵抗が上昇するにつれ,連続性雑音の拡張期成分は徐々に弱くなる。肺循環と体循環の抵抗が等しい場合,雑音が消失することがある。

    動脈管開存症で生じる雑音は,左鎖骨内側端直下の第2肋間が最強点となる。大動脈肺動脈窓で生じる雑音は中央にあり,第3肋間レベルで聴取される。体循環の動静脈瘻の雑音は,病変部の直上で最もよく聴取され,肺循環の動静脈瘻および肺動脈分枝狭窄の雑音は,よりびまん性に胸部全体で聴取される。

    妊娠中,貧血,甲状腺機能亢進症などで循環血液量が増加している場合,しばしば連続性の静脈コマ音が右鎖骨上窩で聴取されるが,この静脈コマ音は正常な小児でも発生する。この雑音は拡張した内胸動脈内の血流量が増加することにより発生し(乳房雑音),連続性心雑音と間違われることがある。乳房雑音(mammary souffle)は典型的には右側,左側または両側乳房上の第2または第3肋間レベルで最もよく聴取され,しばしば連続性と分類されるが,通常は収縮期により大きい。

    心膜摩擦音

    心膜摩擦音は,臓側心膜と壁側心膜の間で炎症性癒着部にずれが生じることで発生する。心膜摩擦音は高調またはひっかくような音(squeaking)で,収縮期,拡張期と収縮期,または三相性(心房収縮により拡張後期の拡張期成分が強調される場合)に聴取される。この摩擦音は,なめし皮をこすり合わせたときに生じるような音である。摩擦音は,患者が呼気で息を止め,前傾または四つん這いの姿勢をとったときに最もよく聴こえる。

    オーディオ
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