危険因子とは、特定の病気になる可能性(リスク)を高めることがらのことです。
もしあなたにがんの危険因子があるなら、このことは、あなたがふつうの人より、がんになりやすいことを意味します。
ただし、特定の危険因子があると、必ずがんになるというわけではありません
がんの危険因子としては、次のものがあります:
特定の遺伝子(親や祖父母から受けつぐ特徴)をもっていること
職場や身のまわりに、特定の化学物質があること
特定のものを食べたり飲んだりすること
放射線を浴びること
特定の感染症にかかっていること
発がん因子とは、がんの原因になる可能性があることがらのことです。ふつうは、発がん因子に多くさらされるほど、また、長くさらされるほど、その人はがんになりやすくなります。
がんの遺伝的な危険因子とは何ですか?
体の細胞には遺伝子が入っています。遺伝子は、それぞれの細胞に何をするべきかを指示する説明書のようなものです。遺伝子は細胞に対して、いつ増えるのか、いつ増えるのをやめるのか、どのような物質をつくるのかを指示します。たとえば、ある遺伝子は胃の細胞に、胃酸をつくるよう指示します。
ときに、遺伝子の1つに異常が起きることで、その細胞が、がんに変わってしまうことがあります。遺伝子は、次の場合に異常になることがあります:
さらされた何か(環境的要因)によって遺伝子が傷ついた
細胞が正常に増えるときに遺伝子がまちがってコピーされた
あまり多くないことですが、両親のどちらかから、がんの遺伝子を受けついでいる場合もあります。同じ家族の人たちが特定のがんにかかりやすいこともあります。そのような家族では、がんの原因になる遺伝子が受けつがれている可能性があります。がんの原因になる遺伝子の1つであるBRCA遺伝子は、乳がんの危険性を高めます。
がんの環境的な危険因子とは何ですか?
たとえば次のように、特定の要因が周りにあると、がんになる可能性が高まる場合があります:
アスベスト(断熱材などの建築材料に使われる鉱物繊維):肺がん、中皮腫(肺の内側をおおっている組織のがん)
日光:皮膚がん
X線検査:白血病、放射線にさらされた臓器のがん
ラドン(地面の中から出てきて、地下室に有害な濃度になるまでたまることがある、放射線を出すガス):肺がん
仕事の場で使われる一部の化学物質(ベンゼン、クロム酸塩、ニッケル、一部の農薬、塩化ビニルなど)が、がんを引き起こすことがあります。
地理的な要因(どこに住んでいるか)によって、がんができる可能性が変わる場合もあります。その理由の1つは、人々が発がん因子にさらされる量が地域によってちがう場合があるためです。別の理由として、人々がもっている遺伝的な危険因子が地域によってちがう場合もあります。
がんのそのほかの危険因子には、どのようなものがありますか?
年齢:
高齢の人は発がん因子(がんの原因になる可能性があることがら)にさらされてきた期間が長いため、がんの半数以上が65才以上の人に発生します
食事:
体重が重すぎたり、肥満であったりすると、それだけで、乳がん、子宮がん、大腸がん、腎臓がん、食道がんになる危険性が高まる可能性があります。
一部の薬:
エストロゲン、ジエチルスチルベストロール(DES):乳がん
がんの治療薬の中には、後になってから別のがんができる危険性を高めるものもあります。
医学的な理由で浴びるものか、ぐうぜん浴びるものかに関係なく、放射線にさらされること:
医学的な検査(X線、CT検査)または放射線療法による場合
原子力発電所の事故によって出た放射性物質や放射線にさらされる場合
特定のウイルスや細菌による感染症:
炎症性疾患(一部の臓器に長い間炎症が起きる病気)は、がんの危険性を高めることがあります: