肝炎の概要

執筆者:Sonal Kumar, MD, MPH, Weill Cornell Medical College
レビュー/改訂 2024年 7月
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肝炎とは、肝臓に炎症が起きた状態のことです。

肝炎は世界中でみられる病気です。

肝炎には以下の種類があります。

  • 急性(経過が短い)

  • 慢性(6カ月以上持続する)

ウイルスを原因とする急性肝炎(急性ウイルス性肝炎)は、ほとんどの場合自然に治まりますが、慢性肝炎に進行することもあります。

急性ウイルス性肝炎の概要慢性肝炎の概要も参照のこと。)

知っていますか?

  • ワクチンは一部の種類のウイルス性肝炎を予防し、重症度も軽減します。

  • いくつかの単純で常識的な予防措置も肝炎の予防に役立ちます。

肝炎の原因

肝炎の一般的な原因は以下のものです。

  • ウイルス、特に5種類(A型、B型、C型、D型、E型)の主要な肝炎ウイルス

  • 過度の飲酒

  • 代謝異常による脂肪肝

  • イソニアジド(結核の治療薬)など一部の薬剤の使用

代謝とは、食べものをエネルギーに変換したり、食べものを利用してタンパク質、炭水化物、脂肪など体を維持するための分子を作り出したり、体内の老廃物を体から除去したりするプロセスのことです。肝細胞の中で代謝に異常があると、脂肪の蓄積と炎症が起こります。これは代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)と呼ばれ、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)に至ることがあります。(かつては、MASLDは非アルコール性脂肪性肝疾患[NAFLD]と、MASHは非アルコール性脂肪肝炎[NASH]と呼ばれていました。)

また頻度は低いものの、肝臓の炎症を引き起こす免疫系の反応(自己免疫性肝炎)、遺伝性肝疾患、他のウイルス感染症(伝染性単核球症単純ヘルペスサイトメガロウイルス感染症など)が原因で肝炎が起こることがあります。SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)による感染症(COVID-19)は、通常は軽度の肝炎を引き起こす可能性があります。肝臓の炎症の重症度はCOVID-19の重症度と相関する傾向がありますが、COVID-19の症状がない場合でも軽度の肝臓の炎症が生じる場合があります。

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