急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょう（AML）

白血病はっけつびょうは白血球はっけっきゅうのがんです。白血球はっけっきゅうには、感染症かんせんしょうと戦たたかう免疫めんえきの働はたらきに貢献こうけんするなど、たくさんの役割やくわりがあります。白血球はっけっきゅうは、骨髄こつずいという骨ほねの中なかにあるスポンジ状じょうの組織そしきの中なかでつくられます。

白血病はっけつびょうでは、白血球はっけっきゅうがとても多おおくなります。しかし、がんになった白血球はっけっきゅうは正ただしく働はたらかないため、感染症かんせんしょうにかかりやすくなります。そうした感染症かんせんしょうが命いのちにかかわることがあります。

また、がんになった白血球はっけっきゅうで骨髄こつずいがいっぱいになり、次つぎのような正常せいじょうな血液けつえきの細胞さいぼうをつくることができなくなります：

• 赤血球せっけっきゅう（貧血ひんけつにつながる）

• 正常せいじょうな白血球はっけっきゅう（感染症かんせんしょうになりやすくなる）

• 血小板けっしょうばん（出血しゅっけつしやすくなる）

白血球はっけっきゅうにはさまざまな種類しゅるいがありますが、白血病はっけつびょうのおもな種類しゅるいは次つぎの2つだけです：

• リンパ性白血病せいはっけつびょう：白血球はっけっきゅうの一種いっしゅであるリンパ球きゅうのがん

• 骨髄性白血病こつずいせいはっけつびょう：そのほかすべての種類しゅるいの白血球はっけっきゅうのがん

リンパ性白血病せいはっけつびょうと骨髄性白血病こつずいせいはっけつびょうには、次つぎのように急性きゅうせいの場合ばあいと慢性まんせいの場合ばあいがあります：

• 急性きゅうせい：若わかい細胞さいぼうのがんで、広ひろがるのが速はやく、治療ちりょうしなければ3～6カ月げつで死亡しぼうする

• 慢性まんせい：成熟せいじゅくした細胞さいぼうのがんで、広ひろがるのが遅おそい

急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょう（AML）は、特定とくていの種類しゅるいの白血球はっけっきゅうのがんです。

急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうは、骨髄こつずい（骨ほねの中なかにあるスポンジ状じょうの組織そしき）から始はじまります。骨髄こつずいの中なかにある、成長せいちょうしてさまざまな種類しゅるいの白血球はっけっきゅうになるはずの、特定とくていの種類しゅるいのとても若わかい細胞さいぼう（骨髄こつずい幹細胞かんさいぼう）が、がん細胞さいぼうになってしまいます。そのがん細胞さいぼうが増ふえて、血液けつえきの中なかや体からだのほかの部分ぶぶんに広ひろがります。

「急性きゅうせい」とは、この種類しゅるいの骨髄性白血病こつずいせいはっけつびょうがとても速はやく広ひろがり、すぐに治療ちりょうする必要ひつようがあることを意味いみします。これは命いのちにかかわる病気びょうきです。

• 急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうは、成人せいじんで最もっともよくみられる白血病はっけつびょうですが、どの年齢ねんれいの人ひとにも起おこります。

• 疲つかれを感かんじたり、顔色かおいろが青白あおじろくなったり、感染症かんせんしょうや発熱はつねつを起おこしやすくなったり、あざや出血しゅっけつを起おこしやすくなることがあります。

• 医師いしは血液検査けつえきけんさと骨髄検査こつずいけんさで急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうを見みつけます。

• 急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうは化学療法かがくりょうほうで治療ちりょうします。

• 急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうは、別べつのがんの治療ちりょうで行おこなった化学療法かがくりょうほうや放射線療法ほうしゃせんりょうほうによって引ひき起おこされることもあります

• 治療ちりょうをしない場合ばあい、ほとんどの人ひとは数週間すうしゅうかんから数すうカ月げつで死しんでしまいますが、治療ちりょうすれば、20～40％の人ひとは治なおります。

急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうにはいくつかの種類しゅるいがあります。急性前骨髄球性白血病きゅうせいぜんこつずいきゅうせいはっけつびょうという種類しゅるいの白血病はっけつびょうは、現在げんざいでは治なおる見込みこみが高たかい種類しゅるいです。

急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうには次つぎのような症状しょうじょうがあります：

• 発熱はつねつ、たくさん汗あせをかく（感染症かんせんしょうまたは白血病はっけつびょうによるもの）

• 力ちからが入はいらず、疲つかれを感かんじる（貧血ひんけつによるもの）

• 歯はぐきの腫はれ

白血病はっけつびょうの細胞さいぼうは、血液けつえきの中なかに入はいりこみ、ほかの臓器ぞうきに移動いどうします。白血病はっけつびょうの細胞さいぼうが、次つぎの部分ぶぶんの中なかや下したに小ちいさなしこりを作つくることがあります：

• 皮膚ひふ

• 歯はぐき

• 目め

急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうの細胞さいぼうが脳のうや脊髄せきずいに広ひろがり、次つぎのような症状しょうじょうを引ひき起おこすこともあります：

• 頭痛ずつう

• 嘔吐おうと

• 目め、耳みみ、またはバランスの異常いじょう

• 顔かおの筋肉きんにくの異常いじょう

急性前骨髄球性白血病きゅうせいぜんこつずいきゅうせいはっけつびょうの場合ばあいは、次つぎの症状しょうじょうを引ひき起おこすこともあります：

• 出血しゅっけつや血液凝固けつえきぎょうこの異常いじょう

あなたが急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうかどうかを判断はんだんするために、医師いしは次つぎのことをします：

• 血液検査けつえきけんさ

• 骨髄こつずいのサンプルを採取さいしゅして検査けんさする（骨髄検査こつずいけんさ）

急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうがおもな器官きかんに広ひろがっているかどうかを調しらべるほかの検査けんさとしては、次つぎのものがあります：

• 尿検査にょうけんさ

• CT検査けんさやMRI検査けんさ

• 胸むねのX線検査せんけんさ

• 超ちょう音波検査おんぱけんさ

医師いしは急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうを化学療法かがくりょうほうで治療ちりょうします。化学療法かがくりょうほうは、よく「ケモ」といわれ、医師いしはがん細胞さいぼうを殺ころすためにとても強力きょうりょくな薬くすりを1種類しゅるい以上いじょう使つかいます。がんの治療ちりょうでは、化学療法かがくりょうほうと一緒いっしょに、ほかの種類しゅるいの薬くすりや治療ちりょうも使つかうことがよくあります。目標もくひょうは治なおすことです。治なおれば、体からだにがん細胞さいぼうは残のこりません。治なおすことができない場合ばあいは、がん細胞さいぼうの数かずを減へらして、できるだけ長ながい間あいだ、少すくない状態じょうたいにしておくことが目標もくひょうになります。

化学療法かがくりょうほうでは、体からだがよくなるより前まえに、体からだの状態じょうたいが悪わるくなることがあります。薬くすりによって次つぎのことが起おこります：

• 感染症かんせんしょうにかかりやすくなる

• 輸血ゆけつが必要ひつようになることがある

• 嘔吐おうとしたり、力ちからが出でなかったり、疲つかれを感かんじたり、毛けが抜ぬけたりする

急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうの治療ちりょうには、次つぎの2つの段階だんかいがあります：

• 寛解かんかい導入期どうにゅうき

• 地固じがため期き

寛解かんかい導入期どうにゅうきではいくつかの強力きょうりょくな化学療法薬かがくりょうほうやくを使つかいます。寛解かんかい導入期どうにゅうきの目標もくひょうは、がん細胞さいぼうをほとんどまたはすべて殺ころすことです（寛解かんかいといいます）。

地固じがため期きでは、白血病はっけつびょうが再発さいはつしないように、同おなじ化学療法薬かがくりょうほうやくか別べつの化学療法薬かがくりょうほうやくを数すうカ月げつ使つかいます。

急性前骨髄球性白血病きゅうせいぜんこつずいきゅうせいはっけつびょうの場合ばあい、医師いしは次つぎの方法ほうほうで治療ちりょうします：

• 特別とくべつな種類しゅるいのビタミンA

• ヒ素そ化合物かごうぶつの薬くすり