子宮筋腫

(平滑筋腫、類線維腫)

執筆者:David G. Mutch, MD, Washington University School of Medicine;
Scott W. Biest, MD, Washington University School of Medicine
レビュー/改訂 修正済み 2023年 5月
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やさしくわかる病気事典
子宮筋腫は、筋組織と線維組織で構成される子宮の良性(がんではない)腫瘍です。

  • 子宮筋腫は非常によくみられる病気で、米国では白人女性の約70%と黒人女性の80%に発生します。

  • 子宮筋腫は無症状のこともあれば、異常子宮出血や骨盤内の圧迫感や痛みを引き起こすこともあり、ときに便秘、頻尿、不妊症、妊娠合併症の原因になることもあります。

  • 診断は内診のほか、通常は超音波検査によって確定されます。

  • 筋腫により問題が起きている場合にのみ、治療が必要になります。

  • 症状をコントロールするために薬剤が処方されることもありますが、症状の軽減や妊よう性の改善を得るためには、しばしば手術や子宮筋腫の組織を破壊または除去する処置が必要になります。

子宮筋腫には、平滑筋腫、類線維腫などの別名があります。

子宮筋腫は、女性の生殖器に発生する良性腫瘍(腫瘤)の中で最も多くみられるものです。45歳までに少なくとも1つの子宮筋腫が発生する女性の割合は約70%です。子宮筋腫の多くは小さく、何の症状も引き起こしません。しかし、黒人女性の約半数と白人女性の約4分の1では、症状を引き起こす子宮筋腫がいずれ発生します。

知っていますか?

  • 45歳までに、約10人中7人の女性に子宮筋腫が発生します。

子宮筋腫の原因は不明です。エストロゲンプロゲステロン(女性ホルモン)の血中濃度が上昇すると、筋腫の発生が促進されると考えられています。筋腫はこれらのホルモンの血中濃度が上昇する妊娠中に増大する場合があり、濃度が著しく減少する閉経後には縮小する傾向があります。

子宮筋腫には顕微鏡レベルのごく小さなものから、バスケットボール大のものまであります。多くの女性で複数の筋腫がみられます。ときに、子宮筋腫が大きくなりすぎて、十分な血液供給を受けられなくなることがあります。その結果、変性(十分な血液供給がない状態での組織の壊死)が始まり、これにより痛みが生じます。

筋腫は子宮内の様々な部分で増殖しますが、通常は以下のように3つの層で構成される子宮の壁に発生します。

  • 子宮の外側の層の下(漿膜下筋腫)

  • 子宮の壁の内部(筋層内筋腫)

  • 子宮の内側を覆っている層(子宮内膜)の下(粘膜下筋腫)

子宮筋腫はときに、子宮頸部(子宮の底部)や子宮広間膜(子宮を取り囲んでいる結合組織)など他の部位に発生することがあります。

筋腫は子宮壁の中に完全にとどまっている場合もあれば、他の領域に突出している場合もあります。子宮筋腫の形状は様々です。筋腫には茎状の部分から成長するもの(有茎性筋腫と呼ばれます)や、腹腔内に突出するものもあり、それらが腸や膀胱など周辺の臓器を圧迫することがあります。子宮の内側に向かって成長する筋腫もあります。

子宮の悪性腫瘍が画像検査で子宮筋腫のように見えることがあり、それらが異常出血など、筋腫と似た症状を引き起こすこともあります。そのような悪性腫瘍はまれで、子宮に筋腫のように見える腫瘤がある女性の1%未満にみられます。がんが疑われる場合、医師はさらなる評価を行います。最新の研究によると、典型的な種類の子宮筋腫ががん化するとは考えられていません。

子宮筋腫の発生部位

子宮筋腫は子宮の様々な部位に発生します。

  • 子宮の外側の層の下(漿膜下筋腫)

  • 子宮の壁の内部(筋層内筋腫)

  • 子宮内膜の下(粘膜下筋腫)

一部の子宮筋腫は茎状の部分の上で大きくなり、腹腔や子宮腔の中に突出することがあります。これを有茎性筋腫といいます。

子宮筋腫の症状

症状は以下によって様々です。

  • 子宮内での筋腫の位置

  • 大きさ

  • 筋腫の数

子宮筋腫の多くは何の症状も引き起こしません。筋腫が大きいほど、症状を引き起こす可能性が高くなります。

子宮筋腫の一般的な症状の1つに異常子宮出血があります。これは重い月経や通常より長引いている月経(1回で8日以上)である可能性があります。ときに、子宮筋腫が原因で月経と月経の間に出血がみられることがあります。出血が重度になることもあり、貧血につながる可能性もあります。

子宮の壁の内部(筋層内)にある筋腫は、子宮の収縮を困難にすることで、多量の出血を引き起こすことがあります。ここでの収縮とは、月経中やその他の子宮出血が起きた際に、血液の流れをコントロールする子宮の機能を意味します。

子宮腔の表面のすぐ下(粘膜下)にある筋腫は、子宮腔の表面や月経中に剥がれ落ちる内膜を変化させることによって、出血を引き起こします。子宮腔に突き出た(子宮腔内)筋腫は、子宮内の表面に最も大きな変化をもたらし、通常はより重度の異常出血を引き起こします。子宮腔の変化は、卵管をふさいだり着床を困難にしたりすることによって不妊症につながる可能性もあり、妊娠の妨げになったり、流産のリスクを高めたりする可能性があります。

大きな子宮筋腫がある場合には、月経時あるいはそれ以外の時期に、骨盤部に痛み、圧迫感、重感などが生じることがあります。これは、筋腫が子宮全体のサイズを大きくすることで腹部を膨隆(突出)させたり、子宮が腸や膀胱など周囲の臓器を圧迫したりすることがあるためです。腹部に突き出た有茎性筋腫も、周囲の臓器や組織を圧迫して、圧迫感や痛みを引き起こすことがあります。子宮筋腫によって膀胱が圧迫されると、頻尿や尿意切迫などの症状がみられるようになります。ときに、尿路のほかの部位が圧迫されることもあり、尿の流れが遮断される可能性があります。筋腫が直腸を圧迫して、不快感や便秘が起こることもあります。

茎状の部分がある筋腫では、その部分でねじれて血液の供給が遮断され、それにより激しい痛みが起きることがあります。

筋腫組織が増殖している時期や変性が進んでいる時期には、圧迫感や痛みが生じる可能性があります。筋腫組織の変性による痛みの場合、変性が続く限り痛みも持続します。

それまで何の症状も引き起こしていなかった子宮筋腫が、患者の妊娠中に問題を引き起こすようになる場合もあります。これらの問題には以下のものがあります。

子宮筋腫の診断

  • 通常、超音波検査などの画像検査

医師は症状や内診の結果から子宮筋腫を疑うことがあります。しかし子宮筋腫の診断を確定するには、しばしば画像検査が必要になります。

画像検査には以下のものがあります。

  • 経腟超音波検査:超音波装置を腟に挿入して行う超音波検査です。

  • ソノヒステログラフィー(生理食塩水を注入してから行う超音波検査):粘膜下筋腫が疑われる場合は、子宮の内側をより精細に描出するために子宮内に少量の生理食塩水を注入してから超音波検査を行います。

ときに、これらの検査で明確な結果が得られない場合は、MRI検査を行います。

非常に重い月経や長引く月経、月経と月経の間の出血など、異常な出血がみられる場合は、医師は子宮体がんの可能性を否定するために、以下を行うことがあります。

子宮鏡検査では、観察用の管状の機器を腟と子宮頸部を通して子宮内まで挿入します。子宮内容除去術や子宮鏡検査を受ける患者には、しばしば局所麻酔、区域麻酔、全身麻酔のいずれかを行います。

子宮筋腫の治療

  • 薬剤で症状を緩和するか、筋腫を縮小させる

  • ときに手術で子宮全体または筋腫のみを摘出する

  • ときに筋腫を破壊する処置を行う

子宮筋腫があっても、不快な症状や問題がなければ、治療の必要はありません。6~12カ月毎に診察を受け、医師が症状の悪化や緩和、筋腫の増殖を確認します。このような定期的なモニタリングは、慎重な経過観察と呼ばれます。

出血やその他の症状が悪化した場合や、筋腫の増大が著しい場合には、薬物療法や手術などの治療が行われます。

子宮筋腫の治療薬

症状の緩和や筋腫の縮小のためにいくつかの薬剤が使用されますが、その効果は一時的なものにすぎません。筋腫の再発が起きないように治療できる薬剤はありません。

筋腫の治療に用いられる薬剤には、ホルモン剤と非ホルモン剤があります。

最初に投与する薬剤は通常、出血を減少させ、使いやすく、副作用の少ないものであり、具体的には以下のものがあります。

  • エストロゲン-プロゲスチン避妊薬

  • プロゲスチン(例、レボノルゲストレル放出子宮内避妊具[IUD])

  • トラネキサム酸

  • 非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)

プロゲスチン(酢酸メドロキシプロゲステロンやメゲストロール[megestrol]など)は、一部の女性ではエストロゲンと併用せずに出血をコントロールできますが、この種の薬剤ではGnRHアナログほど筋腫が縮小しないことがあります。これらの薬剤は、子宮内膜の過剰な増殖を阻止することで出血を軽くします。子宮内膜が増殖しすぎると、月経中に崩壊して剥がれ落ちる組織の量が多くなるため、月経による出血が普通より重くなることがあります。プロゲスチンは内服薬です。毎日服用するか、月経周期中の連続した10~14日間だけ服用します。あるいは、酢酸メドロキシプロゲステロンの注射を3カ月毎に行うか、レボノルゲストレルと呼ばれるプロゲスチンを放出する子宮内避妊器具(IUD)を挿入する場合もあります。避妊も希望する女性には、エストロゲン-プロゲスチン避妊薬とレボノルゲストレル放出IUDがよい選択肢になります。ただし、この種の薬剤には体重増加、抑うつ、不正出血などの不快な副作用があります。

トラネキサム酸は、血栓(出血を止めるために体内で作られる血液のかたまり)が速やかに分解されないようにすることで作用を発揮します。その結果、出血が減少します。

非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、痛みの軽減に効果がある場合がありますが、出血を減少させる効果はありません。

このほかに症状がある筋腫の治療に使用されることがある薬剤としては、以下のものがあります。

  • ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログ

  • 抗プロゲスチン薬

  • 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)

  • ダナゾール

ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログは、他の薬剤が効果的でなかった場合、出血が持続する場合、および貧血(血液中の赤血球が少なすぎる状態)がある場合に使用されます。GnRHアナログには、アゴニスト(リュープロレリンなど)とアンタゴニスト(エラゴリクス[elagolix]、レルゴリクスなど)というタイプがあります。どちらのタイプのアナログも、体内でのエストロゲンプロゲステロンの分泌量が減少する閉経に似た状態を一時的に作り出すことで、子宮筋腫を縮小させ、出血量を減らす効果があります。筋腫を縮小させ、出血量を減らすことから、子宮筋腫の摘出を容易にし、手術時の出血量を抑えることで手術に伴うリスクを低減するために、手術前にGnRHアナログを投与することがあります。

この種の薬剤は、錠剤または注射剤として使用するか、皮膚の下に器具を埋め込んで投与します。GnRHアゴニストの1つであるナファレリンは鼻腔スプレーとして使用することができます。

GnRHアゴニストを使用する期間は通常、6カ月以下です。長期間使用すると、骨密度が低下して、骨粗しょう症のリスクが高まる可能性があります。そこで骨密度の低下を予防するため、GnRHアゴニストを使用する際には、一緒に低用量のエストロゲンを、さらに通常はプロゲスチン(ホルモンのプロゲステロンに似た薬剤)とともに使用することがあります。

GnRHアゴニストを中止して6カ月以内に、筋腫は治療前の大きさに戻ることがあります。

抗プロゲスチン薬にはミフェプリストンやその類縁薬などがあり、ホルモンのプロゲステロンの働きを阻害します。その結果、子宮と筋腫が縮小します。

選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)にはラロキシフェンやその類縁薬などがあり、エストロゲンによる影響の一部を解消します。これらの薬剤は他の薬剤ほど効果的でないことがあります。

ダナゾールテストステロンと関連のある合成ホルモン)は、エストロゲンおよびプロゲステロンの活性を阻害します。これはめったに使用されず、体重増加、にきび、体毛の増加(男性型多毛症)、足首のむくみ、頭髪の脱毛、腟の乾燥、声の低音化など多くの副作用があります。

筋腫の治療に用いられる手技

筋腫の治療には、いくつかの低侵襲の手技があります。それらは通常、薬剤が効果的でなく、患者が手術を希望しない場合や手術を受けるべきでない健康上の理由がある場合に行います。

これらの処置のいずれかを受けた女性は、妊娠してはいけません。これは、これらの処置を受けた後の妊娠が安全かどうかが、よく分かっていないからです。

子宮動脈塞栓術では、まず麻酔薬を用いて太ももの小さな領域の感覚を失わせた後、そこに小さな穴か切開口を作ります。続いて、その切開口からカテーテル(細く柔軟なチューブ)を太ももの太い動脈(大腿動脈)に挿入します。そのカテーテルを筋腫に血液を供給している動脈まで進めてから、そこで微細な合成粒子を注入します。それらの粒子は筋腫に血液を供給している細い動脈へと流れていき、その動脈を詰まらせます。その結果、筋腫の組織が壊死し小さくなっていきます。子宮のほかの部分はほとんど影響を受けません。しかし、ふさいだ動脈の再開通や新しい動脈の形成などによって筋腫が再び増大するかどうかは不明です。

子宮動脈塞栓術の後、多くの女性に骨盤痛や骨盤内の筋けいれん、吐き気、嘔吐、発熱、疲労、および筋肉痛がみられます。こういった症状は処置後48時間以内に発生し、7日間ほどの間に徐々に治まります。子宮または周囲の組織に感染が生じることがあります。術後の回復は子宮摘出術や筋腫核出術よりも速やかですが、合併症の発生や再診の可能性は高い傾向にあります。塞栓術の後に子宮筋腫が問題であり続けたり、再発した場合、子宮摘出術が推奨されます。

MRガイド下集束超音波手術では、音波を利用して筋腫を破壊します。

子宮筋腫に対する手術

手術は通常、以下のいずれかに該当する患者で検討されます。

  • 筋腫が急速に大きくなっている

  • 薬剤や低侵襲の手技による治療を受けても出血が続いたり再発したりする

  • 痛みが強いか、しつこく続いている

  • 大きな筋腫が頻尿、便秘、性交時の痛み、尿路をふさぐなどの問題を起こしている

  • 筋腫が不妊症や繰り返す流産の原因になっている(患者が妊娠を希望している場合)

患者に妊娠の希望がない場合や、患者が根治を望んでいる場合は、子宮摘出術がよい選択肢になります。

手術にはいくつかのタイプがあります。推奨される手術は筋腫の大きさ、数、位置によって異なります。ただし、十分な情報を得た上で決定できるように、治療法を決定する前に、それぞれの手術でどのような問題が起こる可能性があるかについて主治医の説明を受けるべきです。

子宮筋腫を除去するために従来から行われている手術は、以下のいずれかです。

  • 子宮摘出術子宮を摘出する手術法です。患者は子宮頸部、卵巣、および卵管を切除すべきかどうかについて、主治医と話し合うことができます。子宮摘出術は子宮筋腫に対する唯一の根治的な治療法です。しかし、子宮摘出術を受けた女性は子どもを産むことができなくなります。そのため、子宮摘出術は妊娠を希望していない患者にのみ行われます。

  • 筋腫核出術:1つまたは複数の子宮筋腫だけを切除する手術法です。子宮摘出術とは異なり、筋腫核出術を受けた女性の大半は子どもを産むことができます。また人によっては、子宮を残した方が精神状態を良好に維持できる場合があります。しかし、筋腫核出術では後に新たな子宮筋腫が発生する可能性があり、約25%の患者が術後4~8年で子宮摘出術を受けます。

子宮摘出術では、以下の方法のいずれかが用いられます。

  • 腹腔鏡下手術へその近くか上の1カ所または数カ所を小さく切開し、そこから観察用の管状の機器(腹腔鏡)と手術器具を挿入して行う手術法です。

  • 開腹手術:腹部に5~10センチメートルほどの長さの切開を施して行う手術法です。

  • 腟式子宮摘出術:腟から子宮を摘出する手術法で、ときに腹腔鏡の補助下で行います。切開は腟に施し、腹部の切開は不要です。

腹腔鏡下手術はロボットによる支援下で行うことができます。ロボットとは、腹腔鏡とともに挿入した手術器具を制御して操作するために使用する装置のことです。体内の3次元画像が腹腔鏡から操作台(コンソール)に送られます。外科医は操作台に座って、この画像を見ながら手元の装置を操作し、コンピュータが外科医の手の動きを手術器具の動きに正確に変換します。

筋腫核出術では、以下の方法が用いられることがあります。

  • 子宮鏡下手術:外科医が、光源付きの内視鏡(子宮鏡)を腟から子宮内まで挿入します。子宮鏡を通して挿入した器具を用いて、子宮の内部の組織の切離や筋腫の切除ができます。

  • 腹腔鏡下手術

  • 開腹手術

腹腔鏡下手術と子宮鏡下手術は入院を必要とせず、術後の回復も開腹手術と比べて早くなります。ただし、例えば筋腫の数が多い場合や筋腫が大きい場合や、子宮壁内に深く入り込んでいる場合などは、腹腔鏡下または子宮鏡下での筋腫の切除が困難であったり、不可能なこともあります。このような場合、開腹手術を行います。

筋腫核出術より子宮摘出術の方が望ましい場合や、以下の理由で子宮摘出術が必要になる場合もあります。

  • 今後の妊娠の希望がない。

  • 筋腫核出術では、後から筋腫が再び増殖し始める可能性がある。

  • 患者に筋腫の摘出を困難にする病気がある。該当する病気としては、子宮内膜症や子宮内または骨盤内の異常な瘢痕組織(癒着)などがある。

  • 子宮摘出術により、特に女性に特定の病気の危険因子がある場合、新たな病気やより悪い病気が発生するリスクが低下する可能性がある。そのような病気としては、子宮内膜症、子宮頸がん、子宮内膜がん(子宮腔の内側を覆っている組織のがん)などがある。例えば、リンチ症候群の女性では子宮内膜がんのリスクが高い。

  • 他の治療法では効果が得られなかった。

筋腫核出術または子宮摘出術の際に、モルセレーション(細切除去術)という手技を行うことがあります。この手技では外科医が筋腫や子宮の組織を小さな断片に切断して、小さな切開口から細切片を取り出すことができるようにします。まれですが、筋腫のある女性に予期されておらず診断もされていない子宮体がんがある場合があります。このような女性に細切除去術が行われると、がん細胞が腹腔内や骨盤内に広がる可能性があります。このようなことが起こると、がんが別の部位で発生する可能性があります。医師は袋を使って筋腫の断片をすべて集めて体外に取り出すなど、外科的な手法を用いて組織が広がるのを防ぐことができます。筋腫の手術を受ける前に、懸念する症状がある場合は子宮体がんについての評価を受けるべきで、モルセレーション(細切除去術)を行う際には、がん細胞が広がる極めて小さなリスクに関して説明を受けるべきです。

子宮鏡検査または腹腔鏡検査の際に、筋腫の除去ではなく破壊を目的として、筋腫に対するラジオ波焼灼術を行うことがあります。医師が筋腫の組織内に電流または熱を伝える針を挿入して、筋腫の核を破壊します。この治療では、後から子宮筋腫が再発することがあります。そのような場合は、別の治療法か子宮摘出術が推奨されます。

子宮筋腫の治療の選択

子宮筋腫の治療の選択は個々の状況に応じて様々ですが、患者と主治医は以下の一般的な指針に基づいて選択肢について話し合うことができます。

  • 筋腫による症状が生じていない場合:治療はしないが、医師によるフォローアップを継続する。

  • 閉経期または閉経後の場合:異常子宮出血がある場合は子宮体がんの評価を行い、その結果が正常なら、医師によるフォローアップを継続して症状が消失するか確認する(通常は閉経後に筋腫が縮小するにつれて症状は消失する)。

  • 筋腫による症状が生じている場合:手術の方がはるかに効果的となる可能性が高い場合(非常に大きい筋腫や子宮腔内の粘膜下筋腫など)を除き、大半の患者では薬剤から開始する。薬剤が効果的でない場合は、低侵襲の手技または手術により治療する。

  • 筋腫が不妊症を引き起こしている場合:筋腫核出術を行って、筋腫を摘出する。

  • 症状が重度で、他の治療法で効果がみられず、特に女性が妊娠を望んでいない場合:子宮摘出術、場合により先行して薬剤による治療を行う。

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