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メルケル細胞がん

(皮膚神経内分泌がん、皮膚のAPUDoma)

執筆者:Vinod E. Nambudiri, MD, MBA, EdM, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2024年 1月
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メルケル細胞がんは、急速に広がるまれな皮膚がんで、高齢の白人でよくみられます。

本ページのリソース

メルケル細胞は、表皮(皮膚の外層)にある正常な細胞です。この細胞は、主に触覚の受容体として機能し、特定のホルモンを作ります。メルケル細胞がんは、正常なメルケル細胞と一部の特徴が共通する皮膚の細胞が無秩序に増殖することによって発生します。

診断時年齢の平均値は75歳です。免疫機能が低下した若年者にも発生します。日光への曝露はリスクを高め、別のがん(黒色腫や慢性リンパ性白血病など)があることもリスクを高めます。メルケル細胞ポリオーマウイルスが一因となっている可能性があります。

このがんはリンパ節によく転移します。

メルケル細胞がんの症状

このがんは、典型的には、肌色または青みがかった赤色をした、つやのある硬い腫瘍として現れます。腫瘍が急速に増大する傾向がありますが、痛みや圧痛は引き起こしません。

メルケル細胞がんは皮膚のあらゆる部分に発生しますが、皮膚の長期的に日光にさらされてきた部分で最もよくみられます(顔面や腕など)。

メルケル細胞がん
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この写真には、90歳の人の頬の日光にさらされた部分に発生したメルケル細胞がんが写っています。
DR P.MARAZZI/SCIENCE PHOTO LIBRARY

メルケル細胞がんの診断

  • 生検

生検を行って、診断を確定します。この検査では、皮膚の組織を少しだけ採取して、顕微鏡で調べます。

大半の人では、診断が下された時点でがんがすでに広がっているため、メルケル細胞がんの予後(経過の見通し)はよくありません。

メルケル細胞がんの治療

  • 腫瘍の外科的切除

  • 通常は放射線療法とリンパ節の切除

  • ときに化学療法

メルケル細胞がんの治療では、通常、手術を行って腫瘍を切除し、その後多くの場合、放射線療法、リンパ節の切除か生検、またはその両方を行います。

がんが転移している場合や再発した場合は、化学療法が推奨されます。

メルケル細胞がんの予防

メルケル細胞がんは日光にさらされることで引き起こされるため、小児期の早いうちから以下の対策を講じることが、このがんの予防に役立ちます。

  • 日光を避ける:例えば、屋外では日陰に入る、午前10時から午後4時まで(日光が最も強くなる時間帯)の屋外活動を減らす、日光浴や日焼けマシーンの利用を控える

  • 保護効果の高い衣類を着用する:例えば長袖のシャツ、ズボン、つばの広い帽子

  • 日焼け止めを使用する:紫外線防御指数(SPF)30以上で紫外線A波とB波に対する防御効果のあるものを指示通りに使用し、2時間毎に、また泳いだ後と汗をかいた後にも塗り直す(ただし、日光を浴びる時間を増やすことを目的に日焼け止めを使用してはならない)

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. Merkelcell.org::メルケル細胞がんの専門医やその他の患者向け情報源への患者のアクセスに役立つ情報源

  2. 米国がん協会:メルケル細胞がん(American Cancer Society: Merkel Cell Skin Cancer):検出、予防、治療選択肢、その他の資源を含めたメルケル細胞がんに関する情報

  3. 皮膚がん財団:メルケル細胞がんの概要(The Skin Cancer Foundation: Merkel Cell Carcinoma Overview):検出、予防、治療選択肢、その他の資源を含めたメルケル細胞がんに関する情報

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