ビタミンD過剰

(ビタミンD中毒)

執筆者:Larry E. Johnson, MD, PhD, University of Arkansas for Medical Sciences
レビュー/改訂 2022年 11月
プロフェッショナル版を見る

ビタミンDのサプリメントを非常に大量に摂取すると、ビタミンD中毒が発生することがあります。

  • ビタミンD中毒は血液中のカルシウム濃度の上昇を引き起こします。

  • ビタミンD中毒の場合、食欲減退、吐き気、嘔吐、脱力感、神経質などの症状がみられる場合があります。

  • 医師は、血液中のカルシウムとビタミンDの値を測定することにより、この中毒の診断を下します。

  • 治療としては、ビタミンDのサプリメントの使用を中止し、水分補給を行い、場合によっては薬を使用します。

ビタミンの概要も参照のこと。)

毎日非常に多量のビタミンD(例えば推奨量[RDA]の60~100倍以上)を数カ月間摂取し続けると、毒性が現れることや、血液中のカルシウム濃度が高くなることがあります(高カルシウム血症)。ビタミンD濃度が高いと以下のようなことが起こるため、カルシウム濃度が上昇します。

  • 再形成されるよりも分解される骨の方が多い場合が挙げられます。(通常、骨は常に分解と再形成―リモデリングと呼ばれるプロセス―をし続けることで、体は骨にかかる負担の変化に対応しています。)その結果、骨から血液中にカルシウムが放出されます。

  • また、より多くのカルシウムが腸内で食物から吸収される場合が挙げられます。

ビタミンDは、乾癬副甲状腺機能低下症腎性骨異栄養症の治療に用いられることがあります。ビタミンDにより、白血病や、乳がん、前立腺がん、結腸がんなどのがんを予防できるかどうかは証明されていません。ビタミンDの補給は、抑うつや心血管疾患の効果的な治療や予防にはならず、骨折や転倒の予防にもなりません。しかし、ビタミンDが不足している人では、ビタミンDとカルシウムの両方を1日当たりの推奨量で組み合わせて摂取することにより、骨折のリスクが低下することを示唆する証拠がいくつかあります。

ビタミンD過剰の症状

ビタミンD中毒の初期症状として、食欲不振、吐き気、嘔吐が生じ、続いて筋力低下、神経過敏、高血圧が起こります。

カルシウム濃度が高くなるため、カルシウムが特に腎臓、血管、肺、心臓など体中に沈着します。腎臓が永続的な損傷を受けて機能不全に陥ることがあり、腎不全になる場合もあります。

ビタミンD過剰の診断

  • 血液検査

ビタミンDの過剰な状態は通常、ビタミンDを多量に摂取している人が血液検査を受けて高いカルシウム濃度が検出されると診断されます。医師はさらに、血液中のビタミンD濃度を測定します。

ビタミンD過剰の治療

  • ビタミンDのサプリメントの使用中止

  • 静脈からの水分補給(輸液)

  • 薬剤

ビタミンD中毒の治療としては、血液中の高いカルシウム濃度の影響を相殺するためにビタミンDのサプリメントの使用を中止します。静脈からの水分補給(輸液)が必要に応じて行われます。

コルチコステロイドビスホスホネート系薬剤など、骨からのカルシウムの放出を抑制する薬が投与されます。

quizzes_lightbulb_red
医学知識をチェックTake a Quiz!
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS