気分循環症では、比較的軽度で短期間の高揚（軽躁状態）と軽度で短期間の悲しみ（抑うつ状態）が交互にみられます。
気分循環症は双極症と似ていますが、それほど重度ではありません。気持ちの高揚や悲しみの程度は比較的軽く、典型的には数日間しか続きませんが、不規則な間隔でかなり頻繁に再発します。この病気が悪化して双極症に発展したり、極端な気分の変動が続いたりすることもあります。
気分循環症の人では、高揚している間の活力がビジネスでの成功やリーダーシップの発揮、偉業の達成、芸術的な創造性などに寄与することがあります。一方で、過度の高揚、抑うつ、気分の変動のために、仕事の業績や学業成績のむら、頻繁な転居、失恋や離婚の繰返し、アルコール使用症やその他の物質使用症など、種々の問題が起こる場合もあります。
気分循環症の診断は、精神的な症状の特徴的なパターンに基づいて下されます。
（気分症の概要も参照のこと。）
気分循環症の治療
教育と支援
ときに気分安定薬
気分循環症の人は、自分の極端な気質と折り合って生きる方法を身につける必要があります。しかし、気分循環症とともに生きることは、しばしば対人関係が波乱に富むものとなるため、容易ではありません。時間に融通の効く仕事についたり、芸術的な傾向のある患者であれば芸術の道を追究したりすると、楽になる場合もあります。
気分循環症によって日常的な役割を果たすことが難しくなっている場合は、気分安定薬（リチウムや抗てんかん薬など）が使用されることがあります。抗てんかん薬のジバルプロエックス（divalproex）の方がリチウムより副作用が軽く済むことがあります。抗うつ薬は、急激な気分の転換（急速交代型）を引き起こす可能性があるため、抑うつ状態が重度で長く続いている場合を除き、気分循環症には使用されません。
支援団体が開催する会に参加することで、患者同士で体験や感情を共有することができます。
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
うつ病・躁うつ病支援連合会、気分循環症（Depression and Bipolar Support Alliance ［DBSA］, Cyclothymic Disorder）：気分循環症の診断が双極症とどのよう関係するかについての一般的な情報
