露出症では、性的興奮を得る目的で他者に性器を露出したり、性行為の最中に他者に見られたいという強い欲求を抱いたりします。露出障害とは、露出したいという衝動や空想を実行に移してしまうか、そのような衝動や空想のために苦痛を感じたり日常生活を送れなくなったりする場合です。
露出症者の大半は露出障害ではありません。
露出障害の診断は、自身の行動のために強い苦痛を感じているか、日常生活に支障をきたしている場合、または同意のない相手に対して衝動を行動に移した場合に下されます。
治療は通常、露出症者が逮捕されてから開始され、具体的には精神療法、支援団体、特定の抗うつ薬などがあります。
(パラフィリアとパラフィリア障害の概要も参照のこと。)
露出症はパラフィリアの一種です。
露出症者(主に男性)は、通常は見知らぬ人に不意に自分の性器を見せ、その行為をしているときに性的な興奮を覚えます。いやがる相手に対し、驚かせたい、ショックを与えたい、強い印象を与えたいといった自身の欲求を自覚していることがあります。被害者はほぼ常に成人女性か、男児または女児です。実際に性的接触を求めることはほとんどなく、露出症者がレイプをすることはめったにありません。
青年期に発症するのが通常です。大半の露出症者は結婚していますが、しばしば結婚生活に問題を抱えています。
逮捕される男性性犯罪者の約30%は露出症者です。露出症者は露出行動を続ける傾向がみられ、約20~50%が再逮捕されます。
性的な興奮を得るために見知らぬ人に不意に性器を見せるという行為は、女性ではめったにみられません。それは、女性の場合は、ほかに自分自身を人目にさらす機会が存在するためで、現在では正常な行為として容認されつつある、挑発的な服装をして様々なメディアやエンターテイメント分野に登場する女性たちがその例です。女性がそういった行動をとること自体が精神障害とみなされることはありません。
人によっては、露出症が自分たちの性行為を他者に見られたいという強い欲求の形をとる場合もあります。そのような人が望むのは、見る人を驚かせることではなく、同意した観客として見られることです。このタイプの露出症者は、ポルノ映画を製作したり、アダルト系のタレントになったりすることがあります。このような人で性的欲求が問題になることはまれで、精神障害があるとはみなされません。
露出症の傾向のある人の大半には精神障害はみられません。
露出症者は同時にパーソナリティ障害(通常は反社会性)や素行症を抱えている場合があります。
露出症の診断
具体的な診断基準に基づく医師による評価
露出障害は以下の場合に診断されます。
自分の性器を露出したり、性行為中に他者から見られたりすることで反復的に強い興奮を覚え、その興奮が空想、強い衝動、または行動で表現されている。
その結果として、強い苦痛を感じているか、日常生活に(職場、家庭内、または友人関係で)支障をきたしている、もしくは、同意のない相手に対して衝動を行動に移している。
その状態が6カ月以上続いている。
露出症の治療
精神療法、支援団体、特定の抗うつ薬
ときに他の薬剤
露出障害の治療は、通常は本人が逮捕されてから開始されます。治療には精神療法、支援団体、および抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが利用されます。
SSRIで効果がみられない場合は、性衝動に変化をもたらし、テストステロンの血中濃度を低下させる薬剤を使用することがあります。そのような薬剤にはリュープロレリンや酢酸メドロキシプロゲステロンがあります。これらの薬剤を使うには、患者のインフォームド・コンセントが必要で、医師は肝機能に対する影響をモニタリングするための定期的な血液検査とともに、他の検査(骨密度検査やテストステロン濃度を測定する血液検査など)を実施します。