窃触傾向とは、同意のない人の体に触ったり自分の体をこすりつけたりすることで強烈な性的興奮を覚える傾向のことです。窃触症は、このような性的衝動を実行に移すか、その衝動により著しい苦痛や機能障害が起きている場合に診断されます。
窃触症の原因には心理的、社会的、および生物学的な要因が複合的に関係していると考えられています。
医師は、同意のない人の体に触ったり自分の体をこすりつけたりすることで反復して強烈な性的興奮を経験している人や、そのような衝動を実行に移した人に対して、窃触症の診断を下します。
治療としては、個人または集団精神療法を、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ薬やその他の薬剤と併用して行います。
窃触傾向はパラフィリアの一種です。
「窃触」を意味する英単語の「frottage」は、「他者に自分の体をこすりつける、または他者に圧をかける」という意味のフランス語である「frotter」に由来します。この用語は現在では、同意のない人の体に(性器以外の部分で)触れたり、自分の性器をこすりつけたりすることで強烈な性的興奮を覚える状況を表すのに用いられています。これは通常、電車やバス、エレベーター、スポーツイベント、多く集まるその他の公共イベントなど、混雑した場所で知らない人の体に触れる行為として行われます。
多くの窃触症者は、公共の場で捕まるリスクに興奮を覚えるとみられています。窃触傾向の症例の大半は、男性が女性の体を触る形でみられますが、女性が男性または女性の体を触わったり、男性が男性の体を触わったりする場合もあります。性別を問わず成人が小児の体を触る事例もあります。この行動が成人によって行われると、合意のない性行為の一形態となるため、犯罪とみなされます。
世界中で多くの女性が窃触症者の被害にあっていると報告しています。この疾患がどれくらい多いかは不明です。
窃触傾向がどのようにして起こるかは正確には解明されていませんが、その原因には心理的、社会的、および生物学的な要因が複合的に関係していると考えられています。
診断
標準の精神医学的診断基準に基づく医師による評価
窃触症の診断は以下の基準に基づいて下されます。
同意のない人の体に触れたり自分の体をこすりつけたりする(空想、衝動、または実際の行動における)行為から、強烈な性的興奮を反復して経験している。
これらの性的衝動を同意のない人に対して実行に移したことがあるか、あるいは、性的衝動または空想によって苦痛が生じているか、社会的、職業的、または他の重要な機能領域に障害が生じている。
その状態が6カ月以上続いている。
医師はまた、患者が管理された環境(施設など)で生活しているか、完全な寛解状態(管理されていない環境で5年以上にわたり苦痛や障害が起きていない)にあるかを明らかにしなければなりません。
治療
精神療法(個人または集団)
特定の抗うつ薬
ときにその他の薬剤
窃触症に対する典型的な治療アプローチでは、個人または集団精神療法を、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ薬およびテストステロンの血中濃度を低下させて性欲を低下させる他の薬剤と併用します。併存する精神疾患も治療します。
窃触傾向のある人は通常、性的暴行などで逮捕された後に治療を受けるよう命令されます。結果として、患者は自身の治療に取り組む意思や意欲がないことが多いです。