気管支拡張症の素因

カテゴリー

例および備考

感染症

細菌性

インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae

緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa

Moraxella catarrhalis

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus

肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae

肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae

百日咳菌(Bordetella pertussis

Klebsiella

真菌性

Aspergillus

Histoplasma capsulatum

抗酸菌性

結核菌(Mycobacterium tuberculosis

非結核性抗酸菌

ウイルス性

アデノウイルス

単純ヘルペスウイルス

インフルエンザ

麻疹

RSウイルス

SARS-CoV-2

先天性疾患

α1-アンチトリプシン欠乏症

重症であれば気管支拡張症を引き起こしうる

線毛異常

気管支拡張症,副鼻腔炎,中耳炎,男性不妊を引き起こしうる

原発性線毛機能不全症(PCD)患者の50%に内臓逆位がみられる

Kartagener症候群(右胸心,副鼻腔疾患,内臓逆位の三徴)

嚢胞性線維症

ナトリウムと塩素の輸送異常により粘性の分泌物を生じる

しばしば緑膿菌(P. aeruginosa)または黄色ブドウ球菌(S. aureus)の定着を伴う

免疫不全

原発性

慢性肉芽腫症

補体欠損症

低ガンマグロブリン血症,特に分類不能型免疫不全症

続発性

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症

造血器腫瘍

免疫抑制薬

低栄養

気道閉塞

がん

気管支内病変

外部からの圧迫

腫瘍またはリンパ節腫脹による

異物

誤嚥または内因性(例,気管支結石)

粘液栓子

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

術後性

葉切除後,残存葉の捻転による

全身性リウマチ性疾患

関節リウマチ

一般的に気管支拡張症(しばしば無症状)を引き起こし,特に男性および長期にわたる関節リウマチの患者により多くみられる

シェーグレン症候群

気管支粘液の粘稠度の上昇とその結果としての閉塞,クリアランスの低下,および慢性感染により気管支拡張症が引き起こされる可能性がある

全身性エリテマトーデス(SLE)

最大20%の患者で機序不明の気管支拡張症がみられる

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患発症後の最大85%,また発症前の10~15%で気管支肺合併症がみられる

気管支拡張症は潰瘍性大腸炎でより多くみられるが,クローン病でも起こりうる

再発性多発軟骨炎

先天的構造異常

リンパ性

黄色爪症候群

気管気管支

Williams-Campbell症候群(軟骨欠損)

気管気管支巨大症(例,Mounier-Kuhn症候群)

マルファン症候群

血管性

肺分画症(先天性形成異常の一種で,機能していない一部の肺組織塊が気管気管支との正常な交通を欠き,体循環系から動脈血の供給を受けている病態)

毒素の吸入

アンモニア

塩素

二酸化窒素

気道への直接の傷害により気道構造および機能に変化が生じる

その他

移植

免疫抑制による頻回の感染に続発すると考えられる

びまん性汎細気管支炎

細気管支炎および慢性副鼻腔炎を来すまれな症候群

閉塞性肺疾患

進行した慢性閉塞性肺疾患(COPD)または喘息で起こることがある

慢性の誤嚥

重度の胃食道逆流症または嚥下障害によるもので,下葉での頻度が最も高い

Data from Barker, AF: Bronchiectasis.N England J Med 346:1383–1393, 2002 doi: 10.1056/NEJMra012519 and O'Donnell AE: Medical management of bronchiectasis.J Thorac Dis 10 (Suppl 28): S3428–S3435, 2018 doi: 10.21037/jtd.2018.09.39.

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