小頭症とは,頭囲が年齢平均値より標準偏差の2倍を超えて小さい状態である。
(頭蓋顔面部および筋骨格系の先天異常に関する序論ならびに先天性頭蓋顔面異常の概要も参照のこと。)
小頭症では,頭部が他の部位に比して不釣り合いに小さい。小頭症には染色体または環境に起因する原因が数多くあり,具体的には,出生前の薬物,アルコール,または放射線への曝露,出生前の感染症(例,TORCH[トキソプラズマ症,他の病原体,風疹,サイトメガロウイルス,単純ヘルペスウイルス],ジカウイルス),コントロール不良の母体フェニルケトン尿症などがある。小頭症もまた400を超える遺伝性症候群の特徴の1つである。
小頭症自体の影響として,神経学的障害と発達障害(例,痙攣性疾患,知的障害,痙性)が挙げられる。
診断
出生前では腎超音波検査
出生後では身体診察(頭囲の計測を含む)および頭部画像検査
遺伝学的検査
小頭症は,第2トリメスター後期または第3トリメスター早期に行う超音波検査で,ときに出生前に診断される。
出生後の評価には,危険因子を同定するための詳細な出生前病歴,発達および神経学的評価,ならびに脳MRIまたはCTを含めるべきである。原発性常染色体潜性(劣性)小頭症は,少なくとも4つある遺伝子のうち少なくとも1つの異常が関与する。
たとえ先天異常が単独で存在するように見える場合でも,臨床遺伝専門医が患者の評価を行うべきである。
考慮すべき遺伝性症候群は,Seckel症候群,スミス-レムリ-オピッツ症候群,DNA修復異常による症候群(例,ファンコニ症候群,コケイン症候群),ならびにアンジェルマン症候群である。患児の親についても,どの症候群が存在するかに応じて,以降の児にも同じ疾患が発生するリスクが25%と高い場合があるため,臨床遺伝学的評価が必要である。小頭症に特異的な遺伝子パネル検査が,いくつかの検査施設を介して利用できる。小頭症がみられる患者の評価では,染色体マイクロアレイ解析,特異的遺伝子検査,または広範な遺伝子パネル検査を考慮すべきである。これらの検査で診断に至らない場合には,全エクソーム配列決定が推奨される。
治療
対症療法
脳損傷に起因する症状を治療する。小頭症を引き起こす疾患には治療可能なものもある。