入院中,親には新生児への食事の与え方,沐浴の仕方,および着替えの仕方を教え,新生児の活動,合図,および音をよく理解させるようにする。
医師は退院前に,臍帯,環状切除術,体重,排尿および排便に関するルーチンのケアについて親と話し合うべきである。生後24時間までに胎便の排出がみられない乳児は再評価が必要である。
新生児のルーチンのケアと観察
体温が37℃で2時間安定したら新生児を沐浴させる(親が希望する場合)。
臍帯
臍帯のクランプ(結紮)は,臍帯が乾いたようなら,通常生後24時間で除去できる。臍帯ケアは,臍帯感染(臍炎)のリスクを低減することを目的とする。臍帯断端を清潔で乾燥した状態に保ち,その他は出生場所によって異なるケアを行う。病院での分娩(または適切に管理された自宅出産)では,臍帯を無菌的に結紮し切断するため,臍帯の乾燥または石鹸と水による洗浄で十分である;外用薬により感染のリスクが低下することはない。しかし,臍帯結紮/切断が無菌的ではない場合(例,医療サービスの提供が十分でない一部の国,病院外での急産),外用消毒薬(例,クロルヘキシジン)の臍帯への塗布は臍炎および新生児死亡のリスクを低減する。臍帯の発赤または分泌物の有無を毎日観察すべきである。
環状切除術
環状切除は,家族の要請があれば,生後数日以内に局所麻酔を用いて安全に行うことができる。母親が抗凝固薬またはアスピリンを服用している場合,出血性疾患の家族歴がある場合,または新生児に外尿道口の位置異常,尿道下裂,亀頭または陰茎にその他の異常がある場合は,環状切除を遅らせるべきである(後で包皮を再建術に使う可能性があるため)。新生児に血友病または他の出血性疾患がある場合,環状切除を行うべきではない。
体重
大抵の新生児は生後数日間に出生体重の5~7%が減少するが,これは主に排尿や不感蒸泄によるほか,胎便の排泄,胎脂の喪失,臍帯の乾燥にも原因がある。
排尿と排便
生後2日間は,尿酸の結晶のために尿がおむつをオレンジ色やピンク色に染めることがあるが,これは正常であり尿が濃縮された結果である。大抵の新生児は生後24時間以内に排尿がある;最初の排尿までの平均時間は生後7~9時間であり,ほとんどの場合,次の24時間に少なくとも2回の排尿がある。排尿の遅れは男児によくみられ,これはおそらくタイトな包皮により生じる;男児新生児の排尿不能は後部尿道弁を示唆する。割礼は最初の排尿があるまで通常は控える;術後12時間以内に排尿がなければ合併症を示唆している場合がある。
胎便
生後24時間までに胎便の排泄がない場合,新生児に鎖肛,ヒルシュスプルング病,嚢胞性線維症(胎便性イレウスを引き起こす可能性がある)などの解剖学的異常がないか,評価の実施を考慮すべきである。
新生児の退院
生後48時間以内に退院した新生児は,授乳がうまくいっているかどうか(母乳または人工乳),水分補給,および黄疸(リスクの高い児を対象)について2~3日のうちに評価すべきである。生後48時間を過ぎて退院した新生児のフォローアップは,危険因子(黄疸や母乳栄養困難などの危険因子を含む)および同定された問題に基づいて決定すべきである。