乳児の栄養

執筆者:Deborah M. Consolini, MD, Thomas Jefferson University Hospital
レビュー/改訂 2021年 9月
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    合併症のない分娩であり,新生児が覚醒しており健康である場合,直ちに母親のもとへ連れていき授乳させることができる。分娩後,新生児をできるだけ早く胸に抱かせることにより,母乳哺育の成功率が高まる。授乳後に粘液を吐くことがよくあるが(胃食道の平滑筋がゆるいため),生後48時間以内にみられなくなる。48時間を過ぎても粘液の吐出や嘔吐が持続する場合,または胆汁性嘔吐の場合は,先天性消化管異常がないか確認するために上部消化管と気道の詳細な評価が必要である。

    1日の水分およびカロリー所要量は年齢によって異なり,体重当たりの所要量は新生児や乳児の方が児童や成人よりも大きい( see table 年齢層別のカロリー所要量*)。乳児期の終わりから青年期にかけて,タンパク質およびエネルギーの絶対所要量は増加するが,相対所要量(gまたはkcal/kg[体重])は徐々に減少する( see table 推奨される多量栄養素の食事摂取基準*,米国アカデミー,医学研究所,食品栄養委員会(Food and Nutrition Board, Institute of Medicine of the National Academies))。例えばタンパク質所要量は,1歳の1.2g/kg/日から,18歳には0.9g/kg/日に減少し,平均相対エネルギー所要量は,1歳の100kcal/kgから,青年期後期には40kcal/kgまで減少する。

    新生児には要求に応じて,典型的には1日8~12回程度の授乳を行うべきである。最初の数日間の1回の授乳当たりの平均摂取量は,わずか15~30mLである。48時間経過して,授乳が十分であることを示す徴候としては,授乳のたびに乳児が満足しているように見えること,1日に6~8枚おむつが濡れて規則正しい排便があること,よく眠ること,起きているときは覚醒していること,および体重が増加していることなどがある。

    栄養に関する推奨は,概してエビデンスに基づくものではない。ビタミン所要量は,栄養源(例,母乳なのか標準的な乳児用人工乳なのか),母体の食事性因子,および1日摂取量に応じて変動する。

    表&コラム
    表&コラム

    授乳困難

    日毎にみられる哺乳量のわずかなばらつきはよくあることで,しばしば親は心配するが,疾患の徴候または成長パラメータ(特に体重)の変化(標準成長曲線における児のパーセンタイル順位の変化の方が,絶対変化よりも重要)がみられた場合を除いて,通常は親を安心させ指導を行うだけでよい。

    生後1週間で出生体重の5~7%以上の体重減少がみられる場合は低栄養を示唆する。母乳栄養児では生後2週間までに出生体重に戻るべきであり(人工乳栄養児はさらに早い),続いて生後数カ月間に約20~30g/日の増加が見込まれる。生後5カ月頃までに出生体重の2倍に達する。

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