膝関節の評価

執筆者:Alexandra Villa-Forte, MD, MPH, Cleveland Clinic
レビュー/改訂 2020年 2月
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膝関節の評価としては,身体診察のほか,ときに関節穿刺を行う。(関節症状を有する患者の評価も参照のこと。)

膝関節の身体診察

膝関節の内部

膝関節では,立位時および歩行時に腫脹(例,関節液貯留,膝窩嚢胞),四頭筋萎縮,関節不安定性などの著しい変形が明らかになることがある。患者を仰臥位にして膝関節を触診し,膝蓋骨,大腿骨顆部,脛骨粗面,脛骨高原,腓骨頭,内側および外側の関節裂隙,膝窩,ならびに四頭筋腱および膝蓋腱を確認すべきである。内側および外側の関節裂隙は内側および外側の半月板の位置に対応しており,膝をゆっくりと屈伸しながら触診することにより位置を確認できる。圧痛を伴う関節外の滑液包(内側関節裂隙の下にある鵞足包など)と,真性の関節内障害とを鑑別すべきである。

膝関節内の少量の貯留液を検出するのはしばしば困難であるが,膨隆徴候(bulge sign)を手がかりにすると最もよく検出される。患者を仰臥位にして筋肉を弛緩させ,膝を完全に伸展して下肢をわずかに外旋させる。膝の内側面をさすり,この領域から貯留液を全て押し出す。片手を膝蓋上嚢部に置き,膝の外側面を愛護的にさするまたは圧すると,液貯留があれば内側で視認可能な液の波動や膨隆が生じることがある。大量の液貯留は,視覚的にまたは膝蓋跳動により確認できる。健側との比較が有用である。関節液貯留は,関節リウマチ変形性関節症痛風,外傷など,多くの関節疾患により生じる。

膝の180度の完全伸展を試み,屈曲拘縮の有無を調べる。膝蓋骨が自由に痛みなく動かせるかどうかを調べる。

膝関節の関節穿刺

前内側アプローチを用いて,膝蓋骨の上半分または上方3分の1から1~2cm内側の点に針を刺入する。膝関節外側からも同様のアプローチが行える。25~30Gの針を使用して,刺入部皮下に局所麻酔薬を注入して膨疹を作る。続いて,予想される穿刺針の進路に沿って,より深部の組織にさらに麻酔薬を注入していくが,関節腔に進入してはならない。2インチ(5.08cm)の18Gまたは20G針で関節を吸引する。皮膚には垂直に刺入し,シリンジのプランジャーを押し戻す圧を感じながら,膝蓋骨の後方,顆間切痕に向けて針を進めていく。針が関節軟骨に触れるのを避けるため,針の進路を水平に保つが,膝蓋骨を把持して愛護的に上方へ牽引してもよい。関節内に進入すると,関節液がシリンジに入ってくる。関節から全ての関節液を吸引する。さらに関節液を吸引するために,膝蓋上部に愛護的に圧力をかける。針が骨に当たった場合は,針の方向を変える。

膝関節の関節穿刺

患者を仰臥位にし,膝関節を伸展させた状態で,膝関節およびそれに続く膝蓋上嚢を穿刺できる。膝蓋骨の頭側半分または頭側3分の1の下に前内側から18~20G針を刺入できる。あるいは,膝蓋骨の頭側端のすぐ下に外側から針を刺入できる。

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