急性肝不全は,薬物および肝炎ウイルスによって引き起こされる場合が最も多い。主な臨床像は,黄疸,凝固障害,および脳症である。診断は臨床的に行う。治療は支持療法が中心であるが,ときに肝移植および/または特異的な治療(例,アセトアミノフェン中毒に対するN-アセチルシステイン)も行う。
(肝臓の構造および機能と肝疾患を有する患者の評価も参照のこと。)
肝不全には,いくつかの分類法があるが,普遍的に受け入れられているものはない(肝不全の分類の表を参照)。
急性肝不全の病因
全体でみると,急性肝不全の最も一般的な原因は以下のものである:
ウイルス,主にB型肝炎
薬物および毒性物質,アセトアミノフェンが最も多い
衛生環境が不良な国では,通常はウイルス性肝炎が最も一般的な原因と考えられ,効果的な衛生対策がとられている国では,毒性物質が最も一般的な原因と考えられている。
全体でみると,最も一般的な原因ウイルスはB型肝炎ウイルス(D型肝炎との同時感染が多い)であり,C型肝炎は一般的な原因ではない。ほかに原因となりうるウイルスとしては,サイトメガロウイルス,エプスタイン-バーウイルス,単純ヘルペスウイルス,ヒトヘルペスウイルス6型,パルボウイルスB19,水痘帯状疱疹ウイルス,A型肝炎ウイルス,E型肝炎ウイルス(特に妊娠中に感染した場合),出血熱を引き起こすウイルスなどがある(アルボウイルス,アレナウイルス,およびフィロウイルス感染症の概要を参照)。
最も一般的な毒性物質はアセトアミノフェンであり,その毒性は用量と関連する。アセトアミノフェンによる肝不全に対する素因には,既存の肝疾患,慢性飲酒,チトクロムP450酵素を誘導する薬物(例,抗てんかん薬)の使用などがある。その他の毒性物質としては,抗菌薬(特にアモキシシリン/クラブラン酸),ハロタン,鉄化合物,イソニアジド,非ステロイド系抗炎症薬(NSAID),ハーブ製品に含まれる一部の化合物,タマゴテングタケ,キノコなどがある(薬物により引き起こされる肝障害を参照)。薬物の反応には特異体質性のものもある。
比較的まれな原因としては以下のものがある:
血管疾患
代謝性疾患
自己免疫性肝炎
血管性の原因としては,肝静脈血栓症(バッド-キアリ症候群),虚血性肝炎,門脈血栓症,類洞閉塞症候群(肝中心静脈閉塞症とも呼ばれ,ときに薬物または毒性物質が原因となる)などがある。代謝性の原因としては,急性妊娠性脂肪肝,HELLP症候群(溶血,肝機能検査値上昇,血小板数低値),ライ症候群,ウィルソン病などがある。その他の原因としては,自己免疫性肝炎,がんの肝転移,熱中症,敗血症などがある。原因を確定できない症例は20%に上る。
急性肝不全の病態生理
急性肝不全では,多くの器官系が機能不全に陥るが,その原因や機序はしばしば不明である。障害される系統には以下のものがある:
肝臓:初診時にほぼ全例で高ビリルビン血症がみられる。高ビリルビン血症の程度は,肝不全の重症度の1つの指標である。肝臓での凝固因子の合成障害により,凝固障害がよくみられる。肝細胞壊死がみられ,これはアミノトランスフェラーゼ値の上昇で示される。
心血管系:末梢血管抵抗と血圧が低下し,心拍数および心拍出量の増加を伴う血流亢進が引き起こされる。
脳:,門脈大循環性脳症が生じる(可能性としては消化管内の窒素性物質によるアンモニア産生増加に続発)。急性肝不全に続発して重度の脳症を起こした患者では,脳浮腫がよくみられる;鉤回ヘルニアの可能性があり,その場合は通常,死に至る。
腎臓:理由は不明であるが,急性腎障害が最大50%の患者に起こる。血中尿素窒素(BUN)値は肝臓での合成能に依存するため,低値により解釈を誤る可能性があり,そのため腎障害の指標としてはクレアチニン値の方が適切である。肝腎症候群の場合と同様に,たとえ利尿薬を使用していなくとも尿中ナトリウム濃度とナトリウム排泄率が減少し,尿細管障害はみられない(アセトアミノフェン中毒が原因である場合に起こりうる)。
免疫系:オプソニン化の異常,補体の欠乏,白血球およびキラー細胞の機能障害など,免疫系の異常が発生する。消化管からの腸内細菌の移行が増加する。気道および尿路感染症と敗血症がよくみられ,細菌,ウイルス,真菌が病原体となりうる。
代謝:代謝性および呼吸性アルカローシスの両方が早期に起こる可能性がある。ショックが発生した場合は,代謝性アシドーシスが続発することがある。低カリウム血症がよくみられ,交感神経緊張の低下や利尿薬の使用が部分的に関与している。低リン血症および低マグネシウム血症が発生することもある。肝臓のグルカゴンが枯渇し,糖新生とインスリン分解が障害されるため,低血糖が起こることがある。
肺:非心原性肺水腫が発生することがある。
急性肝不全の症状と徴候
特徴的な臨床像は,精神状態の変化(通常は門脈大循環性脳症の一部)と黄疸である。腹水などの慢性肝疾患の臨床像は,本症が急性の病態であることに相反するが,亜急性の肝不全でみられることがある。その他の症状は非特異的なもの(例,倦怠感,食欲不振)か,あるいは原因となった疾患の結果である。肝性口臭(かび臭い,または甘い口臭)と運動機能不全がよくみられる。頻脈,頻呼吸,低血圧がみられ,敗血症を伴うこともある。脳浮腫の徴候には,昏睡を含む意識障害,徐脈,高血圧などがある。感染症のある患者では,ときに局所症状(例,咳嗽,排尿困難)がみられることもあるが,無症状の場合もある。国際標準化比(INR)が高値となるが,播種性血管内凝固症候群(DIC)が起きない限り,出血はまれである。これは,急性肝不全患者では凝固促進因子と抗凝固因子の分布が均衡を取り戻しており,そのような患者は凝固亢進状態にあることの方が多いためである(1,2)。
症状と徴候に関する参考文献
1.Hugenholtz GC, Adelmeijer J, Meijers JC, et al: An unbalance between von Willebrand factor and ADAMTS13 in acute liver failure: Implications for hemostasis and clinical outcome.Hepatology 58(2):752-761, 2013.doi: 10.1002/hep.26372
2.Lisman T, Bakhtiari K, Adelmeijer J, et al: Intact thrombin generation and decreased fibrinolytic capacity in patients with acute liver injury or acute liver failure.J Thromb Haemost10(7):1312-1319, 2012.doi: 10.1111/j.1538-7836.2012.04770.x
急性肝不全の診断
慢性肝疾患の既往がない患者において,国際標準化比(INR)が1.5以上に上昇し,脳症の臨床像を認める
原因を同定するため:薬物使用歴,毒性物質への曝露歴,肝炎ウイルスの血清学的検査,自己免疫マーカー,臨床的な疑いに基づくその他の検査
基礎に慢性肝疾患も肝硬変もない患者において,凝固障害と精神状態の変化を伴って黄疸および/またはトランスアミナーゼ値の上昇が急性に生じた場合は,急性肝不全を疑うべきである。肝疾患の存在が判明していて,急性の代償不全がみられる患者は,急性肝不全ではなく,これとは病態生理の異なるacute-on-chronic liver failureとみなされる。
肝不全の有無と重症度を確認するための臨床検査としては,肝酵素,ビリルビン,INRなどがある。急性肝障害の臨床症状や臨床検査値異常がみられる患者で感覚器官の異常とINR > 1.5の所見を認める場合は,通常,急性肝不全が確定したと判断される。肝硬変の所見は,肝不全が慢性であることを示唆する。
急性肝不全の患者には合併症の検査を行うべきである。初期評価で通常実施される検査としては,血算,血清電解質(カルシウム,リン,マグネシウム),腎機能検査,尿検査などがある。急性肝不全が確定された場合は,動脈血ガス測定とタイプアンドスクリーンも行うべきである。アンモニア高値(150~200)は脳浮腫のリスク増大を予測するため,予後予測の参考として血漿アンモニアの測定が推奨される(1)。循環亢進や頻呼吸がある場合は,培養(血液,尿,腹水)と胸部X線を施行して感染を除外するべきである。精神状態の異常や悪化がみられる場合,とりわけ凝固障害のある患者では,脳浮腫と可能性は比較的低いが頭蓋内出血を除外するため,頭部CTを施行する。
急性肝不全の原因を同定するため,処方薬,OTC医薬品,ハーブ製品,栄養補助食品を含めた毒性物質について,詳細な摂取歴を調べるべきである。原因を同定するためにルーチンで施行される検査としては以下のものがある:
ウイルス性肝炎の血清学的検査(例,A型肝炎ウイルスに対するIgM抗体[IgM-HAV抗体],B型肝炎表面抗原[HBs抗原],B型肝炎抗原に対するIgM抗体[IgM-HBc抗体],C型肝炎ウイルスに対する抗体[HCV抗体])
自己免疫マーカー(例,抗核抗体,抗平滑筋抗体,免疫グロブリン値)
所見と臨床的な疑いに基づいて施行されるその他の検査としては以下のものがある:
衛生環境が不良な国への最近の旅行:A型,B型,D型,E型肝炎に対する検査
妊娠可能年齢の女性:妊娠検査
40歳未満で,溶血性貧血を認め,アルカリホスファターゼ/総ビリルビン比が4未満,アルカリホスファターゼが低値で,アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値よりアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値が高く,ALTおよびASTの上昇を認めるパターン(ただし通常は2000未満):セルロプラスミン濃度を測定して,ウィルソン病がないか確認する
構造的異常を伴う疾患(例,バッド-キアリ症候群,門脈血栓症,肝転移)が疑われる場合:超音波検査および,ときにその他の画像検査
合併症(例,感染症と一致するバイタルサインの微妙な変化)が発生していないか,注意深く患者をモニタリングすべきであり,検査を必要と判定する閾値は低く設定すべきである。例えば,精神状態の悪化がみられても脳症によるものと推測すべきではない;このような場合は,頭部CTやベッドサイドでの頻回の血糖値検査を施行すべきである。感染リスクが高いことから,American Association for the Study of Liver Diseases(AASLD)は48時間毎の血液培養によるサーベイランスを考慮することを勧めている。大半の症例で,ルーチンの臨床検査(例,INR,血清電解質,腎機能検査,血糖値,動脈血ガスを連日測定する)を頻回に繰り返すべきである。しかしながら,さらに頻回の検査が必要になる場合もある(例,重度の脳症がある患者では2時間毎に血糖値を測定する)。
診断に関する参考文献
1.Bernal W, Hall C, Karvellas CJ, et al: Arterial ammonia and clinical risk factors for encephalopathy and intracranial hypertension in acute liver failure.Hepatology 46(6):1844-1852, 2007. doi: 10.1002/hep.21838
急性肝不全の治療
支持療法
アセトアミノフェン中毒に対するN‐アセチルシステイン
ときに肝移植
(American Association for the Study of Liver Diseases[AASLD]の診療ガイドライン「Management of Acute Liver Failure: Update 2011」とEuropean Association for the Study of the LiverのPractical Guidelines on the Management of Acute [Fulminant] Liver Failureも参照のこと。)
可能な限り,肝移植が可能な施設の集中治療室で治療を行うべきである。状態の悪化は急速に進むことがあり,肝不全の進行とともに合併症(例,出血,誤嚥,進行性のショック)が起こりやすくなるため,患者の搬送を可能な限り早く行うべきである。
集中的な支持療法が治療の中心である。急性肝不全の症状(例,低血圧,鎮静)を悪化させる薬剤は,使用を控えるか,可能な限り低用量で使用すべきである。
低血圧および急性腎障害では,組織灌流を最大限に促進させることが治療の目標となる。治療としては輸液のほか,通常は抗菌薬の経験的投与(敗血症が除外されるまで)などが行われる。低血圧が約20mL/kgの電解質輸液に反応しない場合は,輸液療法の参考にするため,肺毛細血管楔入圧の測定を考慮すべきである。充満圧が十分であるにもかかわらず低血圧が持続する場合は,昇圧薬(例,ドパミン,アドレナリン,ノルアドレナリン)の使用を考慮すべきである。
脳症では,ベッドの頭側を30°挙上して誤嚥のリスクを下げる;挿管を早期に考慮すべきである。薬剤とその用量を選択する際には,脳症の重症度をモニタリングできるように,鎮静を最小限に抑えるよう努めるべきである。頭蓋内圧亢進を予防し,作用の持続時間が短く,鎮静からの回復が迅速であることから,挿管のための誘導剤としては通常,プロポフォールが使用される。ラクツロースやリファキシミンなどによる治療は門脈大循環性脳症に有用であるが,急性肝不全における脳症の軽減に役立つことを示したエビデンスはない。また,ラクツロースはイレウスを引き起こし,腸管を拡張させるガスを産生する可能性があり,これは開腹が必要な場合(例,肝移植のため)に問題となりうる(1)。頭蓋内圧の亢進および脳灌流圧の低下を回避するための対策を講じる:
頭蓋内圧の急激な上昇を回避する:バルサルバ効果を招く可能性のある刺激は避ける(例,咽頭反射を予防するため,気管内吸引の前にリドカインを投与する)。
脳血流を一時的に減少させる:浸透圧利尿を誘導するためマンニトール(0.5~1g/kg,必要に応じて1または2回繰り返す)を投与し,おそらくは短時間の過換気を行うことができる(特にヘルニアが疑われる場合)。(ただし,マンニトールは急性腎障害がある場合は禁忌であり,2回目の投与前に血清浸透圧を確認しなければならない。)
頭蓋内圧のモニタリング:頭蓋内圧のモニタリングに伴うリスク(例,感染,出血)が,脳浮腫の早期発見やICPを参考にした輸液および昇圧療法の開始というベネフィットを上回るかどうか,上回るとしてそれはどのような場合かは明らかにされておらず,脳症が重度の場合にのみモニタリングを推奨する専門家もいる。しかしながら,頭蓋内圧のモニタリングが死亡率に影響を及ぼすと示唆するデータはない(2)。治療の目標は,頭蓋内圧20mmHg未満かつ脳灌流圧50mmHg以上にすることである。
脳浮腫を軽減するために:急性肝不全での腎代替療法は,アンモニアの除去に役立ち,早期に開始すれば死亡率の低下につながる。急性肝不全に関するEuropean Association for the Study of the Liver(EASL)のガイドラインでは,肝不全に加えて著明なアンモニア高値または進行性の脳症を呈する患者に対して腎代替療法を考慮することが推奨されている(1)。
痙攣発作はフェニトインで治療する;ベンゾジアゼピン系薬剤は鎮静作用があるため,使用を控えるか,低用量でのみ使用する。
感染症は抗菌薬および/または抗真菌薬で治療する;何らかの感染徴候(例,発熱,局所的徴候,血行動態,精神状態または腎機能の悪化)がみられたらすぐに治療を開始する。感染症の徴候は急性肝不全の徴候と重複するため,感染症治療は培養の結果が出るまで過剰治療となる可能性が高い。
電解質欠乏により,ナトリウム,カリウム,リン,またはマグネシウムの補充が必要になることがある。
低血糖はブドウ糖の持続静注(例,10%ブドウ糖)で治療するが,脳症により低血糖症状がマスクされる可能性があるため,血糖値は頻回にモニタリングすべきである。
凝固障害は,出血が起きた場合や侵襲的処置を予定している場合,新鮮凍結血漿で治療する。新鮮凍結血漿は体液量過剰を招き,脳浮腫を悪化させる可能性があるため,この状況以外では使用を控えるべきである。また新鮮凍結血漿を使用すると,急性肝不全の重症度の指標として重要で,それゆえ肝移植の基準としても用いられる国際標準化比(INR)の変化もモニタリングできなくなる。体液量過剰のある患者には,ときに遺伝子組換え第VII因子を新鮮凍結血漿の代わりに,または新鮮凍結血漿と併用して使用する。その役割については検討中である。消化管出血の予防にH2受容体拮抗薬が役立つことがある。
食事の取れない患者では,栄養サポートが必要となる。厳しいタンパク質制限は必要なく,1日当たり60gの摂取が推奨される。
急性アセトアミノフェン中毒は,N‐アセチルシステインで治療する。慢性アセトアミノフェン中毒の診断は困難な場合もあるため,急性肝不全の原因が認められない場合は,N‐アセチルシステインの使用を考慮すべきである。N‐アセチルシステインが,他の病態により急性肝不全を起こした患者にもわずかに有益となるかどうかは,まだ検討中である。
肝移植を行えば,平均で約84%の1年生存率が得られる(3)。したがって,移植なしの方が予後が不良になる場合には,移植が推奨される。ただし,予測は困難であり,King's College基準やAPACHE II(Acute Physiologic Assessment and Chronic Health Evaluation II)などのスコア判定も,肝移植の唯一の基準として用いるには感度と特異度ともに十分な水準になく,そのため,これらは臨床判断(例,危険因子に基づく判断)の補足情報として用いられる。
急性肝不全に関する詳細な情報がEuropean Association for the Study of the Liver(EASL)のガイドラインに記載されている。
治療に関する参考文献
1.European Association for the Study of the Liver: EASL Clinical practical guidelines on the management of acute (fulminant) liver failure.J Hepatology 66:1047-1081, 2017.doi: 10.1016/j.jhep.2016.12.003
2.Karvellas CJ, Fix OK, Battenhouse H, et al: Outcomes and complications of intracranial pressure monitoring in acute liver failure: A retrospective cohort study.Crit Care Med 42:1157-1167, 2014.doi: 10.1097/CCM.0000000000000144
3.Health Resources and Services Administration (HRSA): Organ Procurement and Transplantation Network (OPTN)/Scientific Registry of Transplant Recipients (STRT) 2020 Annual Data Report: Liver.
急性肝不全の予後
予後予測は困難となることがある。重要な予測因子としては以下のものがある:
脳症の程度:脳症が重度の場合は予後不良
患者の年齢:10歳未満または40歳以上の場合は予後不良
PT:INRの上昇がみられる場合は予後不良
急性肝不全の原因:アセトアミノフェン中毒,A型肝炎,またはB型肝炎の場合,特異体質性の薬物反応やウィルソン病と比較して予後良好
様々なスコア(例えば,King's College基準またはAcute Physiologic Assessment and Chronic Health Evaluation II [APACHE II]スコア)により集団レベルの予後を予測することができるが,個々の患者レベルでの予測精度は高くない。
要点
急性肝不全の原因として最も頻度が高いものは,ウイルス性肝炎(衛生環境が不良な国)と薬物および毒性物質(効果的な衛生対策がとられている国)である。
急性肝不全は黄疸,凝固障害,および脳症を特徴とする。
診断は高ビリルビン血症とアミノトランスフェラーゼ高値を認める患者においてINRの上昇と脳症の臨床像を確認することで確定される。
薬物使用歴および毒性物質への曝露歴,肝炎ウイルスの血清学的検査,自己免疫マーカー,臨床的な疑いに基づくその他の検査で評価することにより,原因を同定する。
急性肝不全は集中治療室で管理すべきであり,移植センターへの紹介に速やかに着手すべきである。
アセトアミノフェンによる肝不全にはN‐アセチルシステインを,予後不良因子(例,年齢10歳未満または40歳以上,重度の脳症,重度のINR上昇,特異体質性薬物反応,ウィルソン病)のある患者には肝移植を考慮する。