避妊とは、妊娠を防ぐことです。
ホルモンとは、体のある部分から体の別の部分に送られる化学伝達物質のことです。これらの伝達物質は体の大切な働きを調節します。エストロゲンやプロゲスチンなどの性ホルモンは、女の人の月経と妊よう性の調節に役立っています。医師は妊娠を防ぐために、このようなホルモンを(すなわちこれらのホルモンを人工的につくって)利用することができます。
ホルモン剤による避妊には、どのような方法がありますか?
避妊のためのホルモン剤には、次の2つの働きがあります:
卵巣から卵子が放出されないようにする
子宮頸部の粘液をネバネバにし、精子が通れないようにする
卵子が放出されなかったり、精子が卵子にたどり着けなかったりすると、妊娠しません。
ホルモン剤による避妊には、次の方法があります:
経口避妊薬(ピル)
皮膚パッチ剤
腟リング
インプラント
注射
ホルモン剤による避妊はどれくらい効果がありますか?
ホルモン剤による避妊は、正しく使えば避妊の最も効果的な方法の1つです。あなたが正しく使った場合、最初の1年間に妊娠する確率は1000人あたりおよそ3人にすぎません。
薬をきちんと飲まなければあなたが妊娠する可能性は高くなり、特に月経の後の最初の1週間にのみ忘れた場合はなおさらです。
誰がホルモン剤による避妊の方法を使えますか?
ほとんどの女の人が、ホルモン剤による避妊を用いることができます。
あなたが次にあてはまれば、エストロゲンとプロゲスチンを含む経口避妊薬(ピル)を飲むべきではありません:
35才以上で、片頭痛がある
前兆(片頭痛の前に起こる症状で、光が見えたり、皮膚が異常な感覚になるなど)がある片頭痛がある
高血圧がある
20年以上の間、糖尿病がある
血液の中に、トリグリセリドと呼ばれる脂肪が多い
心臓の病気がある
35才以上で、1日に15本以上のタバコを吸う
臓器移植を受けたことがあり、それが問題を引き起こしている
肝臓の病気がある
以前に避妊をしたときに黄疸(皮膚や目が黄色くなる)があった
胆嚢の病気がある
乳がんがあるか、乳がんになったことがある
減量手術を受けたことがある場合、ピルを使うべきではありませんが、皮膚パッチや腟リングは使うことができます。
ホルモン剤による避妊の方法にはどのような種類がありますか?
ホルモン剤による避妊があなたに合っているかどうかについては、医師に相談してください。
経口避妊薬(ピル)
妊娠を防ぐために、経口避妊薬(ピル)にはプロゲスチンとエストロゲンの両方か、プロゲスチンのみが含まれています。プロゲスチンのみのピルは、あまり効果がありません。医師はふつう、あなたがエストロゲンを使えない場合だけにその薬を出します。
あなたは、毎日ピルを飲まなければなりません。ピルを飲むのを忘れると、妊娠するかもしれません。忘れてしまうピルの数が増えれば、それだけ妊娠する可能性も高くなります。ピルは飲むのをやめると、すぐに妊娠できるようになるものと、数カ月かかるものがあります。
経口避妊薬(ピル)の副作用には、次のものがあります:
予想していない時期の出血(特に使い始めて最初の数カ月)
吐き気、おなかがふくれる、嘔吐
乳房の痛み
脚や肺の血栓
頭痛
抑うつ
皮膚の濃い色のしみ(肝斑)
子宮頸がんになる可能性が高くなる
体重の増加
皮膚パッチ剤
避妊のための皮膚パッチ剤は皮膚に貼り付けるうすいパッチで、エストロゲンとプロゲスチンをゆっくりと放出して妊娠を防ぎます。ふつうはパッチを7日間貼っておき、新しいパッチをさらに7日間貼ります。パッチを3枚使った後は、1週間待ってからまた使い始めます。
パッチを使い始めて最初の1週間は、ほかの避妊の方法(コンドームなど)も用いなければならないことがあります。
経口避妊薬(ピル)を毎日飲むよりも、毎週パッチを使うほうが覚えておきやすいかもしれません。
パッチ剤の副作用はピルのものと似ています。
あなたの体重が重いと、パッチ剤の効果がそれほどないことがあります。
パッチを貼った部分やその周りの皮膚に痛みやかゆみが起こるかもしれません。
腟リング
避妊のための腟リングはプラスチックでできた小さなリングで、腟に入れて使います。リングはエストロゲンとプロゲスチンを放出し、妊娠を防ぎます。ふつうはリングを3週間入れておき、その後の1週間ははずしておきます。その週に、月経があるかもしれません。その1週間が過ぎたら、新しいリングを入れます。医師によっては5週間リングを入れておき、その後新しいものと交換するように指示することもあります。
避妊用インプラント
避妊用インプラントは、プロゲスチンを放出するマッチ棒ほどの大きさのもので、皮膚の下に入れて妊娠を防ぎます。
1つのインプラントで3年間効果があります。
インプラントを取り出すと、すぐに妊娠できます。
医師は、針のような道具を使って皮膚の下にインプラントを入れ、取り出すときは皮膚を小さく切ります。
インプラントの副作用には、次のものがあります:
月経がなくなる
予想していない時期の出血
頭痛
体重が増える
避妊のための注射
避妊のための注射は、長い間効果があるプロゲスチンを3カ月ごとに注射して妊娠を防ぐものです。
注射をやめてから妊娠できるようになるまで、長くて18カ月かかることがあります。
注射の副作用には次のものがあります:
予想していない時期の出血(特に初めの間)
月経がなくなる
体重が増える
頭痛
骨密度(あなたの骨がどれくらい健康で強いか)が低くなる―ただしふつうは、注射をやめると骨密度は正常にもどります。