心臓は筋肉でできた臓器で、全身に血液を送り出す働きをしています。心拍数は、心臓が拍動する速さを表す数です。心臓はつねに、時計がカチカチと音を立てるように、一定のリズムで動いていなければいけません。
不整脈とはどのような病気ですか?
心臓のリズムはどのように調節されますか?
心臓のリズムは、次のものによって調節されています:
心臓のペースメーカー細胞
脳
血液の中のホルモンやミネラルなどの物質
心臓の洞房結節という部分には、特別なペースメーカー細胞があります。
ペースメーカー細胞は、規則的な電気信号を出すことで、心臓の筋肉を収縮させます。
ペースメーカー細胞には、毎分60~100回の信号を送り出す自然なリズムがあります。しかし、脳からの神経は、この細胞にペースを上げたり下げたりするように指示を送ることができます。
心臓の刺激伝導系には、電気ケーブルのような組織の細い束が何本か通っています。
刺激伝導系は、ペースメーカーの信号を心臓のほかの部分に伝えています。
刺激伝導系には、房室結節という入り口があります。房室結節は、心臓の上側にある心腔(心房)から下側にある心腔(心室)に送られる信号をコントロールしています。刺激伝導系が正しく働いていれば、信号が正しいタイミングでそれぞれの心筋細胞に届くようになり、それにより心臓は、血液を正しく送り出せるだけの力強い鼓動をします。
甲状腺がつくる甲状腺ホルモンなどのホルモンが、心臓のリズムに影響します。多くの薬物や薬、化学物質も心臓のリズムに影響を及ぼします。
心臓が正しく動くには、血液中のミネラル(ナトリウムやカリウムなどの電解質)のバランスが整っている必要もあります。
不整脈の原因は何ですか?
不整脈にはどのような症状がありますか?
現れる症状は、おもに心臓が次のどちらの状態にあるかで決まります:
十分な血液を送り出している
十分な血液を送り出していない
心臓が十分な量の血液を送り出しているなら、正常に感じるでしょう。あるいは、心臓の拍動が飛んでいるように感じることがあります(動悸といいます)。強い動悸のことを、胸のあたりで魚が飛びはねているような感じと言う人もます。
心臓が十分な血液を送り出していない場合、次の症状もあるかもしれません:
力が入らない
運動に問題が起きる
息が切れる
ふらつき、めまい
胸の痛み
気を失う
これらの症状のどれかがある場合は、病院に行ってください。
医師はどのようにして、私が不整脈かどうかを判断しますか?
医師は脈をとり、次のことをします:
心電図検査は、胸や腕、脚にはるシールとケーブルを使って心臓の電気的な活動を測定する、すぐに行えて、痛みのない検査です。
心電図検査で異常なリズムがみられる場合、医師はふつう、症状に応じて次のようなほかの検査をします:
心電図に異常がみられない場合は、検査中に心臓のリズムに異常が起きなかったと考えられます。その場合、医師はあなたに次のことをさせることがあります:
危険な心臓の問題があると医師が判断したときは、あなたを入院させます。心拍数やリズムを記録でき、それを看護師や医師が確認できる病室に入ってもらいます。
不整脈についてもっと情報が必要な場合、医師は次のことをすることがあります:
心臓電気生理検査は、心臓カテーテル検査に似ています。医師が細くてやわらかい管(カテーテル)を太い血管(たとえば、脚の血管)に入れて、心臓まで通します。カテーテルの先には電極がついていて、心臓の電気的な活動を内側から記録します。このカテーテルでは、心臓を電気的に刺激して、心臓の反応を調べることもできます。
医師は不整脈をどのように治療しますか?
不整脈の中には、無害で治療の必要がないものもあります。
場合によって、次のように生活のしかたを変えることが役立ちます:
薬を変えたり、使うのを止める
お酒やカフェインを飲まないようにする
タバコを吸わないようにする
激しい運動をしないようにする(運動しているときに不整脈が起こる場合)
異常なリズムの種類に応じて、治療法も変わってきます。医師は次のものを使うことがあります:
薬
ペースメーカー(心臓に鼓動するタイミングを伝える信号を送るために、医師があなたの胸や腹部に埋め込む小さな電気器具です)
正常な心臓のリズムを回復させる電気ショック(カルディオバージョン、除細動、またはエレクトロバージョンといいます)
異常な心臓の組織をこわす、アブレーションという治療
ペースメーカーには除細動器が組み込まれているものもあり、一つの装置で正常な心拍を引き起こすことも、異常なリズムをショックで止めることもできます。この組込み型の装置は、植込み型除細動器(ICD)と呼ばれています。
医師は、心臓の小さな組織が異常なリズムを引き起こしていることが分かった場合、アブレーションを行います。その組織が取り除かれることで、リズムの問題がなくなることが多いです。心臓電気生理検査の間にアブレーションをすることがよくあります。カテーテルを使って高周波電流を送り、心臓の小さな一部を破壊します。
あなたは、医師が治療の効果を確認するまで、しばらくの間、運転をやめる必要があります。