スタージ-ウェーバー症候群では、細い血管が異常に増殖します。顔面に生じるポートワイン母斑や脳を覆う組織にできる血管腫(血管の腫瘍)を特徴とします。
スタージ-ウェーバー症候群は遺伝子の突然変異によって引き起こされます。
この病気では、けいれん発作、筋力低下、知的障害、眼圧亢進(緑内障)などがみられ、脳卒中のリスクが高まります。
小児に典型的な母斑が認められる場合、医師はこの病気を疑い、頭部の画像検査を行って血管腫がないか確認します。
治療では、症状の緩和または予防に重点が置かれます。
スタージ-ウェーバー症候群は神経皮膚症候群の1つです。神経皮膚症候群は神経系(脳、脊髄、末梢神経)と皮膚が侵される病気です。
スタージ-ウェーバー症候群は、約50,000人に1人の割合で出生時からみられる病気ですが、遺伝する病気ではなく、遺伝子が自然に変異することで発生します。
この症候群では血管、とりわけ皮膚の血管、脳を覆う組織の血管、それから眼の血管が侵されます。ポートワイン母斑は、皮膚のすぐ下にある細い血管(毛細血管)の異常増殖によって生じます。血管腫(脳を覆う組織の毛細血管の異常増殖)ができると、けいれん発作が起きるほか、体の片側に筋力低下がみられることもあります。血管腫は、その下にある脳の一部で血流を減少させることがあります。眼の血管に同様の異常が起こると、眼の内部の圧力(眼圧)が高まり(緑内障の原因になります)、視力が損なわれることがあります。動脈壁の異常は脳卒中のリスクを高めます。
スタージ-ウェーバー症候群の症状
ポートワイン母斑の大きさや色は様々で、薄ピンク色から深紫色まであります。通常、額や片目の上まぶたに現れますが、下まぶたや顔にかかることもあります。上まぶたと下まぶたの両方にポートワイン母斑が認められる場合には、脳を覆う組織の血管に血管腫がみられる可能性が大幅に高くなります。
けいれん発作が起こるのは約75~90%で、典型的には1歳になるまでに最初の発作が起こります。けいれん発作はポートワイン母斑と反対側の半身に起こることが多いですが、全身にけいれんが起こることもあります。約25~50%では、ポートワイン母斑と反対側の半身に筋力低下や麻痺が起こります。協調運動障害が起きることもあります。筋力低下や麻痺はときに悪化することもあり、この現象は特にけいれん発作をコントロールできない場合によくみられます。
約50%の患者で、いくらかの知的障害がみられます。けいれん発作が2歳未満から始まり、薬でコントロールできない患者では、知的障害がより重度になります。運動能力や言語能力の発達が遅れることもあります。
ポートワイン母斑と同じ側の眼において、緑内障が起きることで視神経(脳と眼をつないでいる神経)が損傷し、視力障害が起こることがあります。緑内障は出生時に認められることもあれば、後から発生することもあります。眼球が拡大し、突出することもあります。
スタージ-ウェーバー症候群の診断
スタージ-ウェーバー症候群の治療
症状に対する治療
スタージ-ウェーバー症候群の治療では、症状の緩和に重点が置かれます。
けいれん発作をコントロールするための抗てんかん薬と緑内障の治療薬を使用します。緑内障に対する手術や、薬物治療を行っても再発するけいれん発作に対する手術が必要になる場合もあります。
アスピリンを使用することで脳卒中のリスクが低下する可能性があることから、通常は低用量でアスピリンを服用してもらいます。また、アスピリンによって血管腫の下にある脳組織の血流を改善できる可能性もあります。しかし、アスピリンが有効であることを示す根拠はありません。
ポートワイン母斑の色を薄くしたり消したりするために、レーザー治療を行うこともあります。