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母体死亡と周産期死亡

執筆者:Antonette T. Dulay, MD, Main Line Health System
レビュー/改訂 2024年 4月
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母体死亡とは、妊娠または出産の合併症による妊婦の死亡のことをいいます。周産期死亡とは、分娩の前後の時期における胎児または新生児の死亡のことをいいます。

本ページのリソース

母体死亡

母体死亡とは、妊娠または出産の合併症による死亡のことをいいます。

米国では2020年に、分娩10万件当たり約24人の女性が死亡しています。米国の母体死亡率は、欧州の国々よりも高くなっています。

とはいえ、母体死亡数が最も多いのは医療などの資源が少ない国です。最も死亡率が高いのはサハラ以南アフリカ(ナイジェリアを含む)と南アジア(インドを含む)です。

母体死亡とは、妊娠に関連する問題が原因で、妊娠中、または分娩直後に死亡した女性の数です。

母体死亡率とは、出生(生存している胎児の分娩)10万件当たりのこのような死亡の数です。

世界的には、母体死亡率は人種や民族によって大きく異なります。米国における2021年の割合は以下の通りでした。

  • 非ヒスパニック系黒人女性では分娩10万件当たり約70人

  • ヒスパニック系女性では分娩10万件当たり約28人

  • 非ヒスパニック系白人女性では分娩10万件当たり約27人

ブラジルでは、アフリカ系の女性の母体死亡率は白人女性の約5倍です。英国における黒人女性の死亡率は、白人女性の5倍以上です。

母体死亡のタイミングとその割合を世界全体でみてみると、次のようになります。

  • 分娩前:25%

  • 陣痛中または分娩中および分娩直後:25%

  • 分娩後:約30%

  • 分娩から42日以上1年未満:約20%

妊婦における死亡の最も一般的な原因は以下のものです。

妊婦の死亡の一因となる問題には以下のものがあります。

  • 妊婦に問題がある場合の受診の遅れ

  • 医療施設への交通手段の不足

  • 医療施設での治療の遅れ

母体死亡の約5件に4件は防ぐことができるものです。

周産期死亡

周産期死亡とは、分娩の前後の時期における胎児および新生児の死亡です。2021年の米国での周産期死亡率は出生1000件当たり5.5人でした。

女性の人種や民族別の周産期死亡率は以下の通りでした。

  • 非ヒスパニック系白人女性の小児では5人

  • 非ヒスパニック系黒人女性の小児では9人

  • ヒスパニック系女性の小児では5人

周産期死亡の原因には死産の原因および新生児期の死亡の原因が含まれます。死産の原因は、胎児、妊婦、または胎盤に関連している場合があります。

新生児期とは、生後28日間と定義されます。新生児期の死亡の大半(75%)は生後7日以内に発生しています(世界保健機関:新生児の死亡[World Health Organization: Newborn Mortality]を参照)。2019年の世界における新生児期の死亡の主な原因は、早産、分娩に関連する合併症(出生時仮死または出生時の無呼吸)、感染症、および先天異常でした。

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