肺ランゲルハンス細胞組織球症は、組織球や好酸球(白血球の一種)と呼ばれる細胞が肺の中で増殖する病気で、しばしば瘢痕化を引き起こします。
症状がまったくない場合もあれば、せきや呼吸困難がみられる場合もあります。
診断にはCT検査が必要で、場合によっては肺組織サンプルの分析(生検)も必要になります。
どのような治療が有効かについては、はっきり分かっていませんが、禁煙は役に立つ可能性があります。
(特発性間質性肺炎の概要も参照のこと。)
ランゲルハンス細胞組織球症はランゲルハンス細胞組織球症の一種で、肺だけでなくその他の器官(下垂体、骨、リンパ節など)にも異常をきたす可能性があります。原因は不明で、まれな病気です。発症するのは、ほぼ例外なく20~40歳の白人の喫煙者です。肺ランゲルハンス細胞組織球症は、組織球(異物を取り込んで処理する食細胞)や、それほど多くはありませんが好酸球(通常はアレルギー反応に関与している細胞)の肺への侵入から始まります。
症状
症状がみられない患者の割合は約15%で、別の理由で胸部の画像検査を行って初めて、この病気であることが分かります。症状がある患者では、せき、息切れ、発熱、深呼吸で悪化する胸痛、疲労、体重減少などがみられます。肺嚢胞の破裂による気胸(肺の虚脱)は、一般的な合併症です。この合併症は、肺ランゲルハンス細胞組織球症患者の10~25%にみられ、最初に現れる症状の原因である場合もあります。瘢痕化により肺が硬くなり、血液と空気との間で酸素を交換する能力が損なわれます。少数の患者に、喀血(せきとともに血が出る)がみられます。
骨の一部が痛んだり、病的骨折(骨が病気によって弱くなっているため、わずかなけがでも発生する骨折)がみられたりすることもあります。少数の患者では、組織球が脳の視床下部を侵し、中枢性尿崩症をきたします。その場合、薄い尿が大量に出るようになります。中枢性尿崩症のある患者は、他の患者に比べ、予後が悪い可能性があります。
診断
胸部CT検査
胸部X線検査では、小結節、壁の厚い小さな肺嚢胞のほか、肺ランゲルハンス細胞組織球症に典型的な変化がみられます。CT検査では、これらの変化が細部にわたって見えるため、診断の確定に役立つことがあります。肺機能検査では、肺に吸い込める空気の量が、正常値を下回っていることが明らかになります。
CT検査でも診断がつかない場合は、生検が必要になります。
骨のX線検査で骨の病変も見つかることがあります。