偽性低アルドステロン症I型は、まれな遺伝性の病気で、尿細管でカリウムが過剰に保持される一方、ナトリウムと水分が過剰に排泄されることで血圧が低下します。
(尿細管疾患に関する序も参照のこと。)
偽性低アルドステロン症には以下の2種類(病型)があります。
I型:さらに2種類に分類され、低血圧を特徴とする
II型:非常にまれ(ここでは説明しない)
偽性低アルドステロン症I型は、2つの異なる遺伝子変異によって引き起こされます。どちらの場合も、体がアルドステロンというホルモンに反応せず、そのためナトリウムと水分が過剰に排泄されます。しかし、これら2つの病型には違いがあります。一方の病型では、過剰なナトリウムが腎臓を通してのみ排泄されます。もう一方の病型はより重症で、発汗や他の臓器からの排泄によってもナトリウムが過剰に失われます。
重症型の小児では、頻繁な気道感染症など、嚢胞性線維症に似た症状が現れることがあります。また以下の症状がみられることもあります。
脱水、ときに吐き気や嘔吐につながる
疲労
筋力低下
低血圧、ときにめまいや失神
発汗によってナトリウムが失われることで、非常に小さな赤い隆起した発疹がみられる場合があります。
比較的軽症の病型では、低血圧によるもの以外、ほとんど症状がみられないことがあります。またこの病型では、年齢を重ねていくと病気が消失する可能性があります。
偽性低アルドステロン症I型の診断
血圧測定
血液と尿の検査
血圧の測定に加えて、ナトリウムとカリウムの尿中および血中濃度を測定します。また、レニンおよびアルドステロン(血液中のナトリウム濃度を調節することで血圧のコントロールを補助するホルモン)の濃度を測定するために血液検査を行うこともあります。
遺伝子検査を行うこともあります。
偽性低アルドステロン症I型の治療
高塩分食の摂取
治療法は、塩分(ナトリウムを含有する塩分)を多く含む食事をとることです。ときに、フルドロコルチゾン(腎臓のナトリウムと水分の保持を補助する薬)が必要になることもあります。
さらなる情報
役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
米国国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases[NIDDK]):実施中の研究に関する情報、英語およびスペイン語の消費者向け健康情報、ブログ、ならびに地域の健康促進プログラムやアウトリーチプログラム。