類乾癬とは,斑状丘疹状または鱗屑性病変を特徴とする一群の皮膚疾患を指す。治療法としては,様々な外用薬および経口薬の併用や,光線療法の併用などがある。
類乾癬とは,病態があまり解明されていない一連の疾患群を指す用語であり,それぞれの区別は不明瞭で,複数の臨床的特徴を共有する。類乾癬は乾癬とは無関係であり,鱗屑を伴う局面がときに乾癬に似ることから,このように呼ばれている。
類乾癬には大きく分けて2つの病型がある:
小局面型:通常は良性
大局面型:皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の前駆症
小局面型類乾癬からCTCLへの変化は極めてまれである。大局面型類乾癬は10年当たり約10%の頻度でCTCLに変化する。
類乾癬の症状と徴候
通常,局面は症状を伴わない;典型的な外観は,鱗屑を伴う光沢のないピンク色の薄い斑および局面で,わずかに萎縮または皺を伴う。対照的に,乾癬の局面は境界明瞭で,銀白色の厚い鱗屑を伴ってピンク色をしている。
小局面型類乾癬は直径5cm未満の病変と定義されるのに対し,大局面型類乾癬の病変は直径5cm以上である。
この画像には,良性の小局面型類乾癬(病変は直径5cm未満)が写っている。
Image courtesy of Susan Lindsley via the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.
この写真には,軽度の鱗屑を伴うくすんだピンク色の薄い斑を特徴とする,殿部に生じた大局面型類乾癬の病変が写っている。
Image provided by Steven E. Laurie Tolman, MD.
この写真には,背部の大局面型類乾癬により生じた鱗屑を伴うくすんだピンク色の斑が写っている。
Image provided by Steven E. Laurie Tolman, MD.
小局面型類乾癬では,ときに皮膚分節(特に側腹部および腹部の皮膚分節)に沿って指状の局面が生じる。類乾癬でみられる指状の局面は5cmを超えることもあるが,小局面型類乾癬におけるCTCLへの悪性化は極めてまれである。
類乾癬の予後
どちらの病型も経過は予測できず,定期的に臨床経過を追跡して生検を行うことが,CTCLの発生リスクを知る上で最善の方法となる。
類乾癬の診断
臨床的評価
皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の除外を目的として,ときに生検,遺伝子検査,および分子生物学的検査
類乾癬の診断は,臨床的な外観および分布に基づく。
CTCLが懸念される場合は,生検が役立つ可能性があるが(CTCLの診断を参照),そうでなければ,類乾癬の診断は臨床的に行う。組織学的所見はCTCLに典型的なものでない場合があるが,T細胞クローンが存在する場合は,その同定のために細胞表面マーカーの解析とT細胞の遺伝子再構成の検査を行うことができる。
小局面型類乾癬の鑑別診断としては以下のものがある:
早期のCTCLは小局面型類乾癬と臨床的に鑑別することが困難な場合があるため,CTCLを除外することが最も重要である。生検は有益な情報をもたらし,小局面型と大局面型の類乾癬の鑑別に用いることができる。
大局面型類乾癬の鑑別診断としては以下のものがある:
類乾癬の治療
小局面型類乾癬の治療は不要であるが,皮膚軟化剤,タール製剤もしくはコルチコステロイドの外用,光線療法,これらの併用などが可能である。
大局面型類乾癬の治療は,光線療法(ナローバンドUVB)またはコルチコステロイドの外用である。
要点
類乾癬は,類似の外観(鱗屑を伴う光沢のないピンク色の薄い斑および局面で,わずかに萎縮や皺を伴う)を呈する傾向がある,病因論的に不均一な疾患群である。
局面の直径が5cm未満の類乾癬は通常は良性であるが,より大きな局面の類乾癬は,10年当たり約10%の患者で皮膚T細胞リンパ腫に変化する。
臨床的な外観に基づいて診断する;皮膚T細胞リンパ腫を除外するために生検およびその他の検査が必要になることがある。
小局面型類乾癬は対症療法,大局面型類乾癬は光線療法またはコルチコステロイドの外用で治療する。